砂粒のそろわない浜辺で、
泣いている、子どものわたし。
君は遠巻きにそれをながめ、
すこしだけ、微笑ってる。
こころが鎮まれば、
もう、海にかえるよ。
その ....
私の水がぽたりと落ち
この冬に凍えてしまいました
ひっかかる予定は無かったのに
遠 巻 き に 見 て い る 鯨 う ろ こ な し
冬 晴 れ の 仁 王 立 ち な る 廃 車 か な
低 血 圧 に わ と り 産 卵 終 え し あ と
は ....
ことばの枯れた井戸を掘ってみる
夜空のように星星が輝いていた
ぼくは夢を見たのではない
ことばの星は無数にあるのだ
掘削機はいらない
....
バ ス 停 で 誰 を 待 つ の か 時 刻 表
ダ ム の 底 校 舎 の 上 を 泳 ぐ 魚
婚 姻 の 日 も 沈 み ゆ く 夕 日 か な
ふ ....
気付きもしなかった。
こんなにも空が変わらずに流れていたこと
雲は世界をみまもっていたこと
時が流れても、なにひとつ変わっていなかったこと
永遠を信じられるくらいのうつ ....
時速180キロのスピードでしか、
癒されない悲しみがある。
古い体温計が、もてあそんでいた手の中で
音も立てずに割れました。
すらりと ななめに切れた指先から、
白いシーツに ぽたり と赤い血が滲みました。
体温計のガラスの管からは、夢のように美し ....
冬雲がカーテンを閉め始めます
夕日は少し嫌な顔をしましたが
季節の仕事なので、今日は早めに帰り支度です
向かい風の吹いている
地図の上です
収縮と膨張を繰り返す波打ち際の
緩やかなカーブをなぞること
波音は届かずに
待ち焦がれるばかりの
海岸線が近い
そうで
少しずつ僕らに迫 ....
育った道を
バスが交差して
くねりながら
震えるのに
指で
ケータイいじりながら言葉を差し込む
自分の未然形
スガシカオな戦慄で
歩く
悔い改めることが雨と流れて吹き ....
不思議な色の蝶々が飛んでいる
それは輪郭の曖昧な
色彩だけの蝶
夜の透明な影を磨く
電灯に錆びた灯りがともり
ナイフが鈍感に尖り
どこかで
海が泡を立てながら
消えてゆ ....
憂鬱な鳥が若さに飢えて転がる三階
防風林が倒れて久しい今夜の過去に
裁かれることは嫌
雪まみれのやわらかいを脱いでぬいでぬいで
今 分かち合う幻想の氷
冷たくて縫う/つめたくて縫う
濾過さ ....
天井に頭がつきそうなあなたと
どてっ腹に穴のあいた私は
どこか浮かれた心地で手を繋ぎます
やがて日暮れて
子どもたちはそれぞれのミノに潜りはじめる
私たちも
アンゴラのマフラーを身につけま ....
変色を免れていたあの日彼が歌集に閉じた水色の蝶
傷ついて体操座りで一千年蝶の呼吸と風化を見てた
美少年微笑している美少女の水晶体の奥でこはれる
もういちど橙いろの明るさに ....
花 を 空 に 投 げ て 毒 を 白 で ひ と つ に し よ う
橋 を 渡 っ て 泳 ぐ ひ と 津 波 の 度 に 旅 に 出 る
躍 動 美 激 変 せ し め る ....
寝転んで椿に話しかけるとき午後の紅茶もすでに冷たし
海のない地表の上を航海す既に明日も干乾びている
夕映えの冬の湖凍りつく阿修羅のごとく人生は鬼
バランスをなくしたきみは ....
身 を 任 せ 川 の 流 る る 渓 谷 や
冬 の 雨 宿 る 旅 人 つ ゆ 知 ら ず
さ わ る 脚 さ わ ら ぬ 脚 の 炬 燵 か な
冬 座 敷 少 年 ....
青空は世界の王である午後にやきそばパンを買いにゆくとき
みとれてるあなたの美脚やきそばの麺の細さを味わうように
屋上であなたとふたり風に似る高鳴る胸の火災報知機
焦がれて ....
きみにまた会ってしまったので
電線に止まった小鳥たちが見守る午後
長い髪に停止する空気たち
声はもちろん言葉みたいだけど
やぁやぁ、鋭い距離でぼくらスルー、そしてスルー、スルースルース ....
少しだけのしあわせなら正解です
屋上の端っこで見上げる夜空の月は
名もなき白い花の花弁がめくれるほど
唐突にこわいのです
こわさの延長線上にすでに伏せ字になって
しま ....
夜中にふと
トイレに行きたくなる
でも起きられない
ほんとはまだわたしは眠ってる
暗闇のなか
いろんなことを思い出す
並列した思い出たち
クリックしたらすぐ次のページに行くよ
かな ....
割れてしまった小指の爪が剥がれている
転調の兆しとしての赤黒い血が、一滴
卵黄のように盛り上がったまま凝固している
そして今夜も
別れの言葉はさよならです
別れの言葉は
こんにちはではない ....
立ち込める黒い雲の下で
ずっと穴を掘っている
解体されたぼくらの恋の死体を
埋める為
街は夜の鏡のように静かで
鳥たちはみな盲目の眠りのなか
指は、もはや僕の指ではない
きみと何年もの間 ....
時刻が
今は夜だ
という意見を可決した頃
満天
とはいかない星空を受信していた僕
ああ
この街は明るい
夜は眠らないようです
西の空
刑務所のサーチ・ライト
有り得ない ....
互いに無関心
けれど本当は
心配はいらないよ
僕はどこにもいかないから
睡眠薬みたいに
こんやも闇に隠れるがいい
どっちを選んでも脆弱な人生がもたれるだけ
開かれた扉なら安易に入ってしまうくらい
ぼくら愚かな季節 ....
少女たち暗黒舞踏を踊る夜旧市街へと駆ける少年
少年が少女の着替えを待っている土の器をふたつ並べて
蜜だらけベッドの上で酔い潰れ蛇足過剰の花をむさぼる
張り詰める音楽室の黒 ....
毎朝揺られる電車の中
同じ駅で降りる男の子
名前は知らないけど
きみどり色の靴を履いてたから
ピーターと呼ぶ
夢見がちな顔で上の空
フーセンガム食べてる
でも口笛は吹けない
....
思い出は美しかったと過去形で静かにきしめ回転木馬
さようならまたこんにちわ結局はどこにも行けない回転木馬
夕べから眠れませんという君に回転木馬の歌を聞かせよう
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