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今、僕は、旅先の尾張名古屋名鉄ビル9階の
「矢場とん」で味噌カツ定食を待っている。
景気づけに、豚の横綱がポーズをとっている
絵柄のグラスビールをくいと、飲む。

思えばあれは9年前…独り旅 ....
横たわる死者の耳は、空いている。
薄ら目を、開いている。
顎を天に上げつつ
何か、ものを云おうとしている。

力強い耳朶から
渦巻いてゆく鼓膜へ
吸いこまれそうに視る、僕は

鼓膜の ....
フランクルの「夜と霧」の頁を閉じた後
卓上のプラスティックのケースにぎっしり入った
何本もの砂糖達の、頭部に
強制収容所につれ去られる人々の
血の失せた顔が一瞬、浮かんで見えた――

両親 ....
近所にもらった卵等を  
朱色の{ルビ巾着=きんちゃく}袋に入れて 
割れないように気遣いながら 

時折かさっこそっと音立てる  
卵の歌が聞こえるようで
自分の歌に重なるようで

 ....
(ほんとう)を見なければ 
この口から{ルビ血反吐=ちへど}ははき出され 
この体は透きとおった屍になるだろう 

(ほんとう)が靄の向こうに 
段々と姿を現す時 
この足は自ずと前へ、踏 ....
飲み屋の座敷で 
一人酒の盃を傾け 
いつしかこの頬は赤らみ 
脳みそは何処までも歪み 

おぼろなる意識の内で 
{ルビ転寝=うたたね}にかくんっと首の抜ける時 
夢の夜空にたった一つ ....
暖かいミルクティーを入れた 
ティーカップは首を捻るように 
皿の上で少し、傾いている   

人生は、少しぐらい 
わからない質問のある方が、面白い。 

(僕等は日々のテストをクリア ....
僕等は一体いつ頃から 
目に映る世界の色を、忘れたのだろう? 

カーテンの木漏れ日へと、はいはいしながら
丸い瞳を見開いた、幼い頃の自分。  

大人になってくたびれたこの胸から 
今 ....
いつものようにキスをして 
電車に乗った君の 
窓越しの笑顔に、手をあげて 

一人になった休日の僕は 
駅ビル内の喫茶店で 
朝食のパンをかじりながら 
ふいに 
自らを漂う雲と思う ....
満月の宵、何処からか琴の音のする温泉で 
畳の寝台に横たわり、いちめんの夜空を仰いでいた 

霞がかった雲の向こうに灯るいくつかの星は 
遠くから、僕に何かを{ルビ云=い}っている。 

 ....
空丸ゆらぎさんの服部 剛さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
味噌カツを食べた日__- 服部 剛自由詩1013-11-25
呼び声ー高村光太郎展にてー__- 服部 剛自由詩513-11-25
恐ろしい夢__- 服部 剛自由詩713-11-25
夢の卵__- 服部 剛自由詩913-11-24
無題_- 服部 剛自由詩312-11-23
星の友達_- 服部 剛自由詩6*12-2-7
哲学者の顔_- 服部 剛自由詩3+10-12-4
木漏れ日の窓- 服部 剛自由詩110-12-4
雲の箱舟- 服部 剛自由詩410-12-4
瞬く星_- 服部 剛自由詩210-10-25

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