毎日
夕暮れ時になると
必ずスーパーマーケットへ行ってしまう
何か買うべきものがあるように思うのだ
冷蔵庫の中には
肉も野菜もそろっているのに
心の片隅がすうすうして
それを埋めるものを ....
生まれた家の前
坂の途中に
おそろしく大きな石の門が
その中に白い木造洋館
年老いた医者のいる医院で
診察室の窓枠は
白塗り木の窓枠
窓の外には枇杷の木が…
枇杷の葉が風に揺れて ....
小さな太陽が
点々と続いて
水面にまで
その光を落としている
泣くもんか
景色が滲んだって
泣くもんか
新しい橋を
渡るよ
灯が
ぼくを導いてくれるから
誰かの理不尽な言動に
いちいち傷付いて振り回されたり
自分の無神経な言動で
誰かを傷付けたり
誰かに軽蔑されたり
人間に生まれた事が
損だったと思うのはそんな時
言葉いらない
....
藍の闇、琥珀の星。
三日月の船が西に寄る頃、太陽の塔の石階段を陽の守人がゆっくりと上り始める。
金の弓を手に、まるで世界を起こしてしまわないよう気づかうように、
一歩ずつ、音をたてずにゆっく ....
無駄だった
彼の美貌は完全に無駄だった
それは彼自身をも苦しめていた
それなのに彼は踊り続けてた
太陽の光
噴水
日曜の朝
あの娘からのメール
コンバースの靴
青い芝生
子供た ....
起きてすぐに布団の中で
体の上に重み 体の下に重み
一瞬を出来るだけ長く引き伸ばして
耳を澄ます朝 君を探す朝
引力がそのまま町を
地面に張りつけているなら
それはgravityなどと ....
ぼくの限界はどこだ
地平線を越えれば今のぼくが消えてしまうから多分その領域のこと
見失うこと、その打破のためにテカガミを
ぼくの目線は曲げられる!
アメンボが空を跳ぶ
おなかをすかしたネ ....
冴え冴えと月 秒針よりも鋭く
心まっすぐに 君へと向かう
新しいコート 最初にね
見せたかったんだけど
袖を詰めに君は
風の中に僕を置いていくよ
風が強い 誰もいない
いや 誰かがい ....
最悪サイポーグにでもならないと
いけないらしいと医者にいわれたよ
偶然見付けた悪口でもうお腹が一杯だ
お金をいれてガチャポンを回してみたけど
出てきたカプセルには新しい
....
やわらかすぎる窓辺で
まだ未来を知らない
不安を覚えるよりも
呼吸するのに忙しいと
しなやかで軽い繊維
気持ちばかりが走る夜
時間と季節を一足飛び
白いスニーカーに風
戻れるな ....
花の後から雨が降る。
雨の中から花が咲く。
その後煙る雨が降る。
花に嵐の喩えでないが
さよならだけで死ぬものか。
さよならの後雨が降る。
いつまでたっても雨が降る。
梅 ....
夏の
匂い
蚊取り線香の匂い
湿っぽい冷房の匂い
熱くなりすぎた樹脂の匂い
アスファルトに大粒の雨
三回以上したあとの女の匂い
虫たちの
みどりの影
....
空で迎える最初の誕生日に
どんな言葉を送ろうか
どういうわけかわたしの周りには
夏が好きな人が多くて
きみもその中の一人で
暑いのが苦手なわたしには
何度夏の良さを説かれても
賛 ....
十九歳だった
おれの周りを浮遊するものがあった
殺意だった
おれは恋人を友人を家族を学校を大人たちを
すべてを殺したくて仕方がなかった
ただの殺戮じゃ飽き足らない
何度も何度もナイフで突き ....
毎日
大学病院前の
ひろいバス停で
猫背のひと
みどりはつよく
陽にあたってきみどり
おばあちゃんのズボンは
昔からサルエル
床のタイルのここは
どうして一枚だけ
はげ ....
四半世紀ぶりに巡り逢えた
子宮の次に居心地のいい水
かえす波も照らす光も
ありのままを許す不思議な水
歩みを停めて足を浸ければ
すぐ渦創り吸い込んだ水
溺れてもいいと思えたときは
そ ....
夜中に体に違和感と吐き気を感じ
洗面台へ向かいました
けれども
嗚咽とは裏腹に
吐くものがないのです
あれ、今日何か食べたっけ
鏡を見ると
栗色の髪と白い顔の私が立っています
暑さのあまり着ていたシャ ....
ふと 涼しくなった
黒い雲の懐から
葉をゆすり 瓦を撫で 雨は静かに下りてくる
傘を傾け 空を見上げたその時
指揮者の棒に合わせたように
フォルテッシモの雨が降る
川は色を変え
ベー ....
蜻蛉が雫に映るとき、
雨の一粒一粒に
空は宿る。
濡れては飛べぬその羽は、
悲哀の純度で透きとおる。
雨の最後の一滴が
蜻蛉の羽に落ちるとき、
無数の空は連なって
ひとつの空を ....
さむいひなたで
パンをかじる
厚みはパンを
計る指標ではない
なぜなら
それはスライスされた枚数の逆数の比率だから
みごとにボクの日曜日の朝は
敗残の呈で横になる
土曜日は枯れ ....
飢えているのかもしれず
もって生まれた悲しみを
あなたがたは口にしない
島を取り囲んでいる
水のような白き砂を
波紋が渡っていくのを
凝っとみつめている
辛い塩水はもうない
考 ....
我と遊べや善き阿呆
事のついでの黄昏に
身体無くして魂が
プライドだけで悲しまむ
我と遊べや善き阿呆
事のついでの悲しさに
身体無くして魂の
底を喰ろふて吐き出さむ
我と遊べや ....
まだ前へ進めない
消せない記憶と焼き付いた温もり
貴方の笑った顔が眩しくて
あたしはまだ一途に想い続けてる
もう昔の事だよ
そう傾く夕陽が柔らかく笑っても
遠くを見るあたしの目には何も響か ....
出鱈目で駄目なうたが
全て認められて洗われて
返すことばがふれる胸に
春が来れば幸い
持て余す心が手放され
見棄てられた呪いが
誰人かによって密かに
祈りと変われば幸い ....
いい加減な気持ちで
好きだとか好きじゃないとか
そう口にするのなら
熱されて爆ぜる
種子のように気持ちが
重く澱む リノリウムに
真夜中 澱む バリウム
一回りして夏 そして
....
操作されるのは
コントローラーがついているから
敵はどこだ味方はまだかと
そんなこんなしている内に
独りきりになっていた
可愛く写真に写ろうとしても
いつも笑顔には ....
遠く
海はもう
燃やされてしまって
夜半、満水しつつある部屋で
あなたとくりかえしたのは
みにくい突起を擦る、あそび
皮膚をわずかに覆う
半透明のセロファンを ....
090729−30
輪郭が無い人は
お化けか
死人ですなと
噺家さんが鼻歌を唄ってる
長閑な気配の中にも
噺家さんの輪郭が明確であり
付け ....
座椅子に凭れかかり
1日の疲労を改めて我が身に回顧させる
ここはどこ?
アタシはだあれ?
左手が6つの弦を
押さえ
移動する
右手は弦を弾く
振るえ
....
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