暖かくなったら簡単に
咲いてしまうから花は
ぴたりと閉じた夜
冷気に凍れもしないで
焼けて朽ちるよ
ともし火は枠のほこりに
つもりまみれて居残らない
世間では今枕絵が熱いらしい
見たことのない景色みしてよ
わがままだけどいいじゃないか
こんな広い宇宙の中なら一つくらい
夢物語りの世界が合ってもいいじゃないかな
通り魔は ....
ちいさな声
まちがいでなく
そんな
気がしたのです
さくらの木の下で、
ぽつんと
咲きほころんだ
黄色いクロッカスの花に、
そこだけ、せっかちな春がやってきていました
“Ye ....
{引用=
とがった影は、みすてられ
切り取る冬の陽を証明する
見上げる円錐のモミの木から
どこまでも つらぬくように
まっすぐに伸びた
疑うこともせず、迷いもせずに
影を作り出し ....
{引用=
君がいて ほどけるきもちにつくなまえ 留めるホチキスさがしているの
君がいて 境界線を塗りつぶす その為だけの世界地図買う
君がいて きゅうにほしくなっ ....
散るために咲く花の 年々
洞庭湖の晩 暗く 俯き
薄氷の光を踏む
木立の沈黙 彩か鳥の姿まだ帰らず
君の歌声 一遇 銅琴の音 華やかなりし頃
遠く
宮廷楽人 詩酒の会
....
{引用=
光沢をみせる
明かりが窓からもれ出ています
街辻に面した旧い教会は、十字をかかげ
黒い街灯は、とがったその四角い頭をおもたそうに
旧さの中に時を埋めてしまう
子どもがくれた葉 ....
鳴らないチャイムを待ち続け
今日も1日が過ぎて行った
明日の僕に手渡す物は
多すぎて目眩がした
足も耳も目も鼻も手も全てのパーツは
一つも合うものがなかった
中古と ....
今日の鏡は
流体にちかいのです
あまりにたくさんの欲望を映し出し
水銀の鏡面に、他人のわたし
髪を短くすぎるほどに切ってしまったまま
ばらばらになった抽象画の
かけらが流線の色彩を ....
静かの海に来る前に、晴れの海に寄ったんだ
月の海、そうこの大きな穴ぼこ、クレーターは月の内部から湧き出してきた溶岩で覆われている
僕の銀色の船についている小さな窓からのぞいていると
ちょうど灰色 ....
レッドウッドの梢のさき
木漏れ日は森閑のゆらめき
私のなかで…落ちていきました
小さな音がかえってきては、
だからか、そこに声を聞いた気がしたのです
のどの奥でわ ....
ごめんね かぁさん
僕はあなたが生きている間に
謝れなかった
あのときのことを
謝らなかった
物心ついた時
母さんは家にいたはずだったが、
母さんの記憶は
千葉のサナトリウムから。 ....
例年通り僕の誕生日は雨だった
街の所々から音泉が湧き出ていた
それは素晴らしい日々の幕開けだろう
それ以外は考えられなかった
なんなんだろう
この不思議な気持は
プ ....
他人に銃口を向けられることと
自分で自分に銃口を向けること
どちらの方が気が楽なのか
私にはまだ分からない
今分かるのはどちらにせよ
あの鳥をこの銃で撃ち落さなくてはいけない ....
かなわないなんていっても
あきらめない
いまを乗り越えるんじゃないんだ
自分でも知らなかったつぎの覚醒
だめだって言ったって 僕は夢中だから
きみのすぐ横にいるならできそうで
いままで ....
暹羅(シャム)猫を飼うのは難しいから止めたほうがいいと友人は言っていた
でもお前を飼って正解だったと今は思う
私はこの2年仕事を終えると一目散にお前のもとに帰ってくる
ソファに寝そべって愛しい茶 ....
{引用=
夕闇が溢した色は夢だった 羊水でみたひとりの夢だった
猫足のバスタブの中ふやけてく わたしの小指を食べちゃえば良い
ひとりきり生きてる夜はおなかの中 呟いていた ....
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
お前と一緒に暮らしていて
いつも思い知らされるのが
与えた分だけ与えられるとは限らないのが愛だということ
誰よりお前を愛している
手入れされた上質の柔らかな毛皮
しなやかな体つきや
綺麗な ....
ホテルで本を読みながらたまにAVを見つめている
財務関連の本を蛍光ペンかたてに読んでいる
このての本は猥雑ななかで読むのにかぎる
ファミレスやこんな環境が最適なのである
若い女 ....
青空模様のタイルに覆われたような
ガラス天蓋のあるコンコースを歩く
ひとけのすくない午後の駅には
のどかな旅愁が満ちている
上空は強い風が吹いているのだろう
立ち止まった路のうえを
雲が落 ....
忘れてしまっていたはずの言葉を
反射させられるようになっていた
どうやら
自分は戻ってきたらしい
自然に発せられていたはずの言葉に
けっつまづいて
唇を思いっきり噛んでしまった
....
(末尾より)
こんな僕には才が無い
そう思うことはしばし在る
すぐに壁にぶつかる、や
すぐ辿り着いたことにしちゃう、や
向かい方すらわからない、や
こんな僕には才が無い
そう ....
空からおはじきが降った日
小さなうさぎが
震えていました
太陽の光を反射して
おはじきはキラキラと
七色に輝き
まるで
世界中の命のようです
皆は我先にと
おはじきを一つ受け ....
{引用=
大さわぎでなく
ゆっくりと歩む
足の裏に感じる砂の感触を確かめ
けして温かくないけれども
柔らかく反発してくるようなそれを
一足一足 注意深く進まなければ、
見逃してしまう ....
さかしらだ
さかしらな心だ
酩酊した夜道を
歯を食いしばって四肢を伸ばす
いまはもう動物
だって理性をどかした頭は
澄み切って○○を剥き出しだ
街灯も薄ま ....
変わらない景色に馴染めなくて
冬の雨も相変わらず嫌いなままだ
冷たい言葉遊びに対して
拒絶という、純粋すぎる答えを与えてくれた
微かにも願ったことがあったなら
さらば、青い花
....
寝返りをうつたびに冷やされていく
わたしには
チョコレートの甘美さも
ふとんのかび臭さもおんなじ
上手におよがしてください
貧しい味覚でもって
あなたがたいへん口に合うのです
は ....
主の居ない実家の風通しに行って
帰京する日の昼食は
親父が通いつめていたラーメン屋
生前
親父は帰省していた僕が帰京する日には
決まってこのラーメン屋で一緒に昼食を食べた
それだけ ....
わたしが今まで付き合ってきた人、ひと
みんなやさしい人だった
だからわたしはいつも
好きなタイプを訊かれると
「優しい人」と答える
きみはとても意地悪です
わたしの手が冷たいと ....
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