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掠れてゆく記憶から
立ち上る陽炎
痛みだけが今もあせずに
あの恋の結末を主張し続ける
いやでいやで仕方のなかったはずの
あれやこれやは影もなく
楽しかったことの輪郭だけが
....
あの唇に触れたい
と思う
真昼の摂氏8度
あの手に触れたい
と思う
真昼の月をなぞる指先
その歌声があんまり甘く優しいから
自惚れてしまいそうになる
わたしのために歌っ ....
「比べてみよっか」と
あなたは笑って手を広げた
重なった五本指の向こう
あなたの笑顔がまぶしい
*
丁度指先三本分
ふたりの距離を
一気に埋めてしまいたいような
もう少 ....
聞こえるはずの有線や
隣りの席の喧騒は遠く
耳に響くのはただ
あなたが噛み砕く氷の音
薄暗い照明に
照らされる指先の卑猥さ
子どもらしい仕草はポーズ
いつだってあなたは
....