すべてのおすすめ
それは しずかな午後
それは 名前のないもの
それは 木陰で見つけた小さな頭蓋骨
それは かちかち音のならない時計
それは わたくしのないもの
それは 壊れたもの
それは 懐かしいもの ....
鹿と衝突すると車が大破するぐらい
私は元気です
だから
貴方が
光への道を迷っているのならば
私が
身を持って進んで伝えに戻ります
宗教のようだと
貴方は
吹き出して ....
あらゆる鉱物が沈む未明
冴え切った鹹水に洗われ
海底に横たえられた銀河は
神々の争いの最中に
一つの大きな円環を夢見る
それは女の首を巡る伝承
或いは密かな呪い
やがて海神は天神に屠られ ....
一番支えてほしい人が
勇気づけてほしい人が
悪気もなく「空気でできたとんがり石」を
僕の胸に投げつけた
「グサッ!」と刺さる鈍い音で
傷ついたのに君を妙に気遣って
ひきつった 笑顔の ....
雨がやみ 虹がかかり
晴れわたるこの青空を
君は今 誰と見てる?
僕はまだ独りぼっち
独りで居ることに 孤独を抱きながら
独りで居ることに 不安を抱きながら
魔法使いは 僕に魔法を ....
夜はどこにあるのですか
しまってあるのですか
どこに
すぐそこに
見えませんか
そんなに澄んで見えますか
あなたの見ているあれは
実は
空ではないのです
あれは
ただのふろしき
....
魂が燃えて。かすんでって。消えたのを見ました。
一生懸命、生きていました。
泣いたらだめだと思い、こらえたけど。
何か、私はできたでしょうか。あの子に何かしてやれたでしょう。
届かない ....
おとぎ話のお姫様や王子様しか
しあわせになれないと
思ってったんだよなあ
子供のころ
幸福ってはるかかなたにある理想のことだと
理解してた
そんな俺が
いつのまにやら
しあわせにな ....
空が あんなに綺麗なのに
月が あんなに輝いてるのに
星が あんなになぐさめてくれてるのに
想うことは ただ君のことばかり
想えば想うほど 切ないだけなのに
想えば想うほど 苦しいだけな ....
最後のしずくが降りおちて
世界のざわめき いまおわる
迎えるものは光だけ
あついくもが はれるだけ
すべての命がまち望む
切り開かれた雲をぬけ
ぬくもり伝えにやってくる
それできる ....
嬉しいことがあるたび
大切な日記を出して
ペンで書き記す
何度もくり返し
消しゴムでこすって
消えないことを確かめる
怒りがおさまらない時は
許さない許さない許さない
鉛筆で書 ....
赤頭巾、ほんとうはね
狼さんに食べられたかったの
ある満月の夜、
窓から見えた狼さんはとても綺麗だった
毛並みが月光を浴びて金色に輝いていたの
お婆ちゃん ....
夏の濁ったにおいに爪先立ち
砕け散った星々の欠片のような
宿命論として小さきものの
俺がいて
夕刻のオランダ坂には
永遠に落下することのない
光の粒子の螺子があって
それは緩やかに巻き戻 ....
蝶々が空を飛んでいきます
信号が青に変わったので
横断歩道の白線を跨ぐ
振り返って立ち止まると
車のクラクションが鳴るので
よく見ると信号は赤だった
白い傘を差した人が歩いています ....
のみかけのココアはそのままに
あなたはここを出ていった
コーヒーものめない子どものくせに
あたしから離れていくなんて
のみかけのココアは
つめたい部屋にぽつんとおかれて
ゆき場をうしない
....
おやすみなさいとゆめをみない
おはようとめがさめない
こんにちはとてをふれない
さよならとふりむけない
しらないうちにわたしは
がらがらごえのばばになり
ひとりきりでさくらのしたに
ねむ ....
そのままの静かな脚の間から
見える色は枯葉だった
風と風ではないものの境に
あなたは立っていた
空き地に囲まれた家が
はじめて舞うもののようにふるえてい ....
「ふ」を付けただけで
不幸せになるのなら
最初から幸せなんていらない
「む」を付けただけで
秩序を失ってしまうような世界は
多分まぼろし
「み」を付けただけで
来るのだろうか ....
赤
壊れた傘 雨
錆びついた鉄の臭い
広がっている赤い水溜り
暗闇を切り裂くような絶叫
――――世界が崩れていく
....
今日も
空が 泣いている
広く
広く 泣いている
ずっとずっと なかった
雲が
ずっとずっと 青かった
空が
だから こ ....
テーブルの上に何かを忘れてきてしまった
いったい何を忘れてきたのだろう
それは大きなもの
ではなかった
かといって小さなもの
でもなかった
賞味期限が切れそうなもの
でもなく
....
こんな綺麗な夕焼けが僕を待っていたのに
僕の隣に君がいない
だから僕は指をさして言った
あのオレンジに染まった雲にのって
あの大きなまんまる夕日にむかって
そし ....
こびとは手紙の最後に
「こびとより」とそえたあと
「こ」と「び」のあいだに
小さく「い」の字を書きくわえた
しばらくながめているうちに
恥ずかしくなったのだろうか
てのひらで手紙を丸め ....
目にはふたりの天使がいて
朝のまばたきに言葉を交わした
ある日目覚めるとひとりの天使が
目の下の黒ずんだ荒野に去ってしまっていた
言葉の無い朝の光に
片方 ....
ささやかな言葉は
全てをふくまない
おおげさな言葉は
何も含まない
オルゴールのような
心の底をけずる
そんな言葉を探して
そんな表現を求めて
そんな詩人を愛する
なにを
....
それははちみつのいろ
きんいろにかがやくアスファルト
カーブの手前
かげのように
染みがきえない
きえないでいる
からすの世界はあかむらさきで
いいものだけ光ってる
たとえ ....
つながりと呼ばれるもの
つかむと消える不確かなもの
近づけば近づくほど感じる距離
つなぐものなどない
人であるための限界
肉体に宿る 精神の限界
混ざりたい
二人でいたくない
溶け ....
ご機嫌ななめの雲の下 一つ葉のクローバーみつけたよ
はっぱがひとつだけあるから 一つ葉
雫をのっけるのも ひとつ
もらい泣きする雲の下 四つ葉のクローバーみつけたよ
....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた
ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
濡れズボンが風にそよいでいる
明日ごろまで生きていれば
多分それを穿くわたし
ねえ
あそこに流れていくものを
いつから雲だと知ったの
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