すべてのおすすめ
あんまりにびしょびしょで
かまわないまま
それがなにかも気にせずに
奪いあったものだから
愛みたいにおもってしまう
ただのセックスを
それ以外のかたちにくり抜こうとしたから
からだは ....
扉の音がしたけれど
どちら側に開いたのかわからない
あったのかなかったのかわからない
いくつもの好意
あってもなくてもかわらないような
くりかえす行為、
いつまでも振り向けない ....
ゆうがた
べったりした体をオーブンにいれる
もうすこしでわたしになれる、というところで
あなたがわたしを齧りとるから
わたしはいつも、
そういうかたちで次の朝を生きるのだ
愛は長い嘘よ、と
つぶやくそばで光が鳴り
きみの髪を一本ずつ太陽が染めていく
壁の穴には吸殻が押し込められ
干上がったダムに不発弾
鳥がまっすぐ秋を飛ぶ
子どもたちが歌うメロディを ....
大事にしていた鎖が切れた
猫が転んだ
列車が衝突した
雨はまだ降らない
東京が歓声をあげる
世界が悲鳴をおしころす
僕はなんとなく笑う
君が呟く
( )
唇 ....
秋のはじまりに
かなしいのかうれしいのか
ほっとしているのかわからずに
虫の音のまじる夜をあるきながら
みていたのは
夢でなくて
たぶんあなたでした
音と色が消えた
雨を溜めているタンクは
そろそろまんたんになる
傷に敏感だ
腕を固定していたギブスを
予定日より早く取ったひとの話を
聞いただけで吐き気がした
普段はそれほど痛くない ....
いよいよふたりは
白木のようにかわいて
最後をはじめようとしていた
日々や色や、音や
そんなようなものたちに別れを告げ
横たうだけで
ぎたぎたに壊れていく
その破片のすべてに
蜜の ....
はりきって出かけた わたしは
きゅっと胸をはって歩いた
つぎつぎと 景色を変える町
太陽はいま 一番高い場所に
バターナイフを持つ母の指
コーヒーカップを持つ父の指
立ち止まって自 ....
傷だらけの赤い液体を
大事そうに抱えてる君と
言葉ではなにも伝えられないぼくが
ぐらり 抱きあって よろけている
仲のいい酔っ払いみたいに
ふたりしてよろけている
酔えるのならば実は簡 ....
ねじれた女は
男のかたちをして
朝の歩道に
放りだされている
季節はたしかにうつろいだが
ことばはひとつも増えず
減らずに
雪融けるような角度のなか
ゆっくりと腐りはじめる
....
頂点は たやすく折れて
なだらかな草原があらわれる
ぶっころすぞ ときみは笑って
ななめに とがった歯
あしたになったら きっともう探せない
うそみたいだね
うそみたいだね
きみ ....
天使の絵をくれた
女の子は
七年たって
三度堕胎を経験している
嫌いな子の
上履きをなげすてたあの子は
ふたり目の女の子を妊娠している
あかい眼鏡をかけていたあの子とか
いつも違う ....
夜空に
虎たちはみごとな円を描いた
あなたが笑ったので
電波は世界のすみずみを叩いた
たくさんの点で構成されるあなた、
膨大なたんぱく質で構成されるあなた
この世のなにかが
まぼろし ....
日が暮れるみたいにわらうのね
すばらしい夜と夜明けが待っているみたいに
すばらしい一日が終わっていくみたいに
静かに
きっぱり
わたしのいないところで
人びとが輪郭をつけた街とゆうのは
たいていどこかで矛盾していて
ビルのうらがわにまわってみるとよくわかる
ありえない影のおちかたをしている
景気よく噴き上がっては散る水の向こうがわで
....
空には
なみだが
すこしうつっていた
みぎ側が夜で
ひだり側が朝だった
きみに 僕がすこしうつっていた
だれがわたしを見捨てたか
指さしや目線の鋭角
とりどりの基準のなかで
きちんと焼却してください
水に落ちていく墨か、
あるいは墨に落とされた水滴か
どちらも、
すぐにそれとはわからな ....
この頃 奴のことを思い出す
十代
という壊れそうなほどの
脆くできた日々を共にした奴のこと
わたしが幸せになったから
「君もそろそろ愛すべき人を
手に入れたかい?」
そう思うの ....
あなたの庭はなんの匂いもしない
野球中継
祝日
汚れたスニーカー
擦り切れてゆく生活のなかで
煮える卵
砂壁
青空
だれがわたしたちを救えるだろう?
液晶モニ ....
あなたが眠るのを待って
部屋じゅうに花を飾ろう
あなたが起きるまでには全部捨ててしまおう
一瞬にからめとられるまえに
病室を出るのだ
花瓶を窓から投げて
割れる音の一瞬まえまで ....
忘れさられた言葉が
おしゃべりをはじめる海で
魚たちは言葉になって
人のなかへと泳いでくる
おおきな風は
おおきな影を
ただ、夢という魚に変換して
泳いでいる
どこを?
....
さようなら
さようなら
みんな簡単に手を振るけど
この夏は
一度きりの夏
君も
甘夏色の帽子を振って
家路につくんだね
うしろむきに種を食べていた
あのとき
あなたがわたしを好きだとしっていたら
あんなには幸福じゃなかったろう
鏡とするような接吻ばかりした
そのむこうに
だれかはちゃんといたのに
....
きょう僕は
空ろな骨を
たべた
おっけ・ぶーこ
という女の子であったらしいそれは
はじめ
ずいぶん抵抗していたけれど
僕がひとこと
寂しかったんだ、ずっと
そういって涙をながすと ....
凪いでる 凪いでる
ここはがらんどうの海
無風世界
石をちりばめる
空にちりばめる
ゆびさきがぬるい
目にしみる涙
んっ んっ
母をよぶみどりの子
宛て先な ....
その遠くない昔
南に安い島があったよ
熟れないマンゴーの実
渡り鳥も気づかない
それは青い人が見捨てた島だよ
きっとさよならを告げたのは波
※ココニ、オイデ、アル、ココニ、 ....
別に男を紹介しようって
わけじゃないから
そんで、幾らか
ピンハネしようなんて
思ってないから
ただ
出汁取ったり
醤油やみりんで
いい具合に仕上げんのが
結構難しいので
めんつゆ ....
だんだん死ぬひとを見ながら
それでもやめられなかった
もうおいしくも気持ちよくもなかったけど
あたしたちはきっと
ああいうふうには死ねないよね
やめられない道のとちゅうで
ささやき ....
いつまでも覚えている青さを縫って、
(勝手に)、
勝手に生きている、
終わらせない(終わらない)
自由を、(不自由を)
はしりまわって、はしりまわって手に入れて
おいで、と言ってく ....
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