ぴあの の上
木
根が 張って
指に さわる
薄暗い へや
夜 の 木
眠る
なぜ
日本文学盛衰史
高橋 源一郎著
出版:講談社
ISBN:4-06-210585-3
発行年月:2001.5 本体価格: \2,500
この600ページ近い大冊を書評するのは、個人的に ....
古本屋の女主人は
若くて
美しくて
両の目の間が人より少し離れている
本をめくりながら
チラリとその方を見たりすると
何故自分が生きているのか
時々わからなくなる
☆萩原隆詩「氷海」の場合
白い皿の上で
蟹を解体する
節という節をへし折り
甲羅を割り
白い肉をせせり喰う
朱金色の脚の内側を裂き
固いはさみを砕き
脳味噌をひらき ....
歩け
私よ
高い高い 青い 硬い硬い 空に
息も出来ぬほどの銀杏
高い高い 青い 硬い硬い 空へ
撒かれた イエロー
湧く イエロー
破れた イエロー
の 咆哮
....
痩せた背中に我思うあるいは思わなくてもいい
じっとしていれば砂に埋もれて砂を吐くだろう
公園で
砂場にうずくまってひとつかみひとつかみ喉へ
気付かなければ永遠に忘れ去ってしまうだろう
気 ....
言葉を使いすぎだ。
「以心伝心」というものはございます。あります。
「思っていることは言わなきゃ伝わらない」「人の考えていることはその人にしかわからない」とか言います。
(注:ここでは、「言葉」 ....
荒野には屍などない。屍は豊饒の証である。荒野は小気味よいほどの空白であり、そこにはふくふくした糞便も滋養豊かな腐肉もない。目立つものといったら枯れ木だけだが、その枯れ木ときたら、湿っぽいので燃料にもな ....
「浅間山荘に二人で泊まりたい」
と 君が言っていたので
私は ずっと 重信房子の髪型のままでした。
が、飽きてきました
今は ジャニス・ジョプリンぐらいです
銃のこと
最近知りまし ....
片目を瞑り、絵描きの筆を持ち
灯台と私との距離をはかる方法は
私には大切なもので、片目だけ瞼の裏を見る
そこにある虚像は
私の中にある真実だから
これをいっぱいにしたくて
絵を描き続け ....
エレベーターに乗るとお線香の匂いがしておじいちゃんが帰って来たんだと思いました
10階にあるマンションのドアを開けるとおじさんやおばさんや知らない人がいっぱいいて
みんなでお寿司を食べ ....
(十八歳のノートより。走り書き。)
整然と暮らす人々への激しい憎悪
違和感が劣等感でしかないことを理解して私は身悶えた
一時もここにいてはならないという強迫観念
しかし他にいるべきところもない ....
がむしゃらに肌を重ねる
この行為が愛というものに
繋がっているなら
甘んじて受け入れましょう
この快感も
罪悪感も
がむしゃらに彼方に微笑む
この行為が愛というものに
繋がっている ....
朝の土手のチンピラの遠吠えから(採録)
*
ちょっとだけ
オレのはなしをきいてくれ
土手をあるいていたら
ひとりばあさんがいたんだ
ばあさん
さむいのに
はん ....
空はややこしく物悲しい
こつこつと誰かの一人帰る音がきこえる
車の高いクラクションがなる
冬の風が耳にしみる
先ほどまでうすいシャツ一枚でいられたのに
わたしはカーディガンをはおり
つ ....
私は、私を
君に伝えた 伝わった?
国道38号線へ
わからないことは
ますます増えてゆくけれど
信じていることは
これっぽちも変わらない
許せない許せない許せない
....
あなたは、加藤商店で
アイスキャンディーを
買ってくれました
川沿いの道並んで歩き
アイスキャンディーを食べました
おばあちゃんが待つおうちへ
「あ、おばあちゃんのがないよ」
....
[バリケードのこっち側]
その前日
あたしは工場で残業した
まんまるいちんち段ボールの箱と格闘して
それでもまだ働けとベルが鳴った
自転車をこいで家に帰ると
戦いは明日だと言う ....
いい天気ですね
がはじめの言葉だった
G線上のアリアが流れていて
あんまりできすぎたシチュエーションに
笑いをこらえるために
コーヒーを一口すすってから
やっと私は
ええ
と答えたのだ ....
ゆらゆら揺らめく
かげろうの下にある水に入りたくて
僕は走り出そうとする
遠くに行っちゃだめよ
手を引き寄せられた
夏の日のいつか
日傘を差した母を困らせるなんて
したく ....
まちがいさがし
赤い帽子は青い帽子
青い手袋 赤い手袋
ショルダーバックのかけかた逆で
ついてるひざは右が左
積もった歩道に あしあと増えてて
くつひもを結んでいるおとこのこ
....
「町田康みたいになりたい」
と言って出ていった人は
「みたいに」
と言う時点で
きっと 駄目なのだけれど
そういう私は
映画館で赤い便箋を買って
別れたい男に
「愛しています」 ....
[か]
彼女は語る
空笑いを髪に飾って
かりそめに交わすカタルシスを
からみあうカドリールを
軽やかなカデンツァを
金切り声で語る語る
彼は彼で
寡黙な肩で風切って
....
[あ]
憐れみを集めても
飽きられあしらわれ
愛されない
諦めはあたしに合わない
綾織りの雨を浴びて
あてなく歩こう
嵐のあと
あげひばりは
明るくあらがい
....
「わが青春の詩人たち」三木卓著 岩波書店 ISBN【4-00-002642-9】\2,500
本を読んでいて、巻末に著者年譜があると、いつも、現在の自分の年齢にあたる部分を熟読してしまう。この ....
右耳に車は聞こえない
左耳に降る金属音
追い抜くたびに空は笑う
切れぎれに拍手は過ぎてゆく
飛び去れ
飛び去れ
ひとりと
ひとりの道
ひとりの自転車の他はみん ....
おいしい
ためいきと沈黙の時間に
脇にはベッド
シャワールームには
不思議な大きな女の子の絵が
目隠しに貼ってある
濃密な時間を過ごすための空間
で
おでんが冷めていく
こういうホテ ....
この世がひとつの鍋ならば
阿呆らしきことのごった煮じゃ
杖を頼りに散歩から帰り
ブラウン管を開けば
空母から戦闘機が
美しい水平線へ消えてゆく
イラク人の出稼ぎ労働者がバスに揺られ ....
お姉ちゃんが
こまぎれになって
道路に落ちていた
わたし
ひきずる
お姉ちゃんの右腕
ずるずるとひきずって
「はやく帰らなくちゃ」
アスファルトに
右腕が描いた
赤 ....
笛の音
振り返らない君には
耳鳴り
笛の音
振り返るばかりの僕には
聞こえず
笛の音
誰もが通る道をただ歩いて
行くだけ
笛の音
....
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