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わがうたは闇にあまねくある星のいまはほろびし宴のなごり
この酒を忘れてならぬ痛みさえ癒されゆくをかなしむひとと
寂々とさくらしべふる宵闇にただのみかわし酔いどれていた
ここは何処でもないところ
かつて私が暮らし
いまも 少年の私が
棲んでいる町
※
森の向こう側へ大きく曲がっている道なりにトモコが姿を現した。固い雪の面をキュッキュ ....
昨夜パーティで食べたものが悪かったのか、どうも腹の調子がおかしい。ひどい下痢だ。朝から何度もトイレに通っている。宇宙空間でクリスマスなどやるもんじゃないな。ズボンのベルトを締め直しながらトイレから出 ....
シゲジロウは大戦前の生まれである。
幼くして酒屋の丁稚奉公に出され相当苦労した時期もあったが、まあ今となってみれば概ね平穏な人生だったと本人は思っている。
戦場に駆り出された時も五体満足で本 ....
☆萩原隆詩「氷海」の場合
白い皿の上で
蟹を解体する
節という節をへし折り
甲羅を割り
白い肉をせせり喰う
朱金色の脚の内側を裂き
固いはさみを砕き
脳味噌をひらき ....
☆立原道造「さびしき野辺」の場合
いま だれかが 私に
花の名を ささやいて行った
私の耳に 風が それを告げた
追憶の日のように
いま だれかが しづかに
身をお ....
☆石原吉郎「若い人よ」の場合
私はちがうのだ若い人よ
私はちがうのだ
私の断念において
私はちがうのだ断念への
私の自由において
堤防はそのままに
堤防であり
空はその ....
☆山中散生「JOUER AU FEU」の場合
いま私の手もとに「JOUER AU FEU」という一冊の詩集がある。このタイトル、外国語なので、もちろん読めない(笑)。が、検 ....
☆小山正孝「倒さの草」の場合
草むらに私たちは沈んだ
草たちは城壁のやうに私たちをくるんだ
倒さの草たちのそこの空に白い雲が浮んでゐる
青ざめたほほと細いあなたの髪の毛と
草 ....
☆村野四郎「体操詩集」の場合
次の詩を読み設問に答えなさい。
花のように雲たちの衣裳がひらく/水の反射が/あなたの裸体に縞をつける/あなたは遂に飛びだした/筋肉の翅で/日 ....
☆黒田三郎「逃亡者」の場合
黒田三郎といえば詩集「ひとりの女に」(1954年刊)であるらしく、はやくも60年代のはじめには「戦後詩人の恋愛詩のなかで古典的な位置を占める」(大岡 ....