鉛筆を削る

尖らすために


がりがりという音の中

画用紙をすべることの叶わなかった

黒鉛たちが

ゆらりゆらりと落ちてゆく


鉛筆を

尖らすために

犠 ....
なにをためらっているのか なにもためらっていない
酷い傷だけ生きているの 掠り傷だけみとめられるの
気の遠くなりそうな曲がり路 死んでも越えてみせるわ

えらくなれ 燃えあがれ
壊せぬなら  ....
 
 
こびとの ふねが
ちいさな おおきな ふねが
たそがれの
うみへ きえてゆく

いま みたばかりの
まど まど まどが
そこからみえた
ゆうやけの
ひとつ ひとつでも
 ....
はじまろうとする
あらゆる終りに贈る
季節たちの語りは終わった
わたしたちは手をはなし
時間のものがたりではなく
空間のものがたりをつくる
これからわたしはここ以外をめざし
ここ以外の土 ....
     蕎麦屋の蕎麦はそれでも君を待っている



君がこの
罪の巷を見放して久しく
夢のまた夢のまた夢のまた
そのまた向こうの向丘遊園地に観覧車
そのクランクであんなにも素敵 ....
え?
キムチ?
キムチがどうしたってえんだよ
何?
キムチにまつわるいい話?
そんなもんねえよ
そんなもんあるわけねえじゃねえかよ
キムチなんてもんは、なあ
それにまつわるいい話なんて ....
ほっといてくれ
もう
悔やむことはなにもないのだから

汚れたガラス窓に
映るこの街をなぞって
私は
ラヴェンダーの空に泣く

そうすれば、もう
明日を謀ることさえ困難だ

さ ....
熟れたトマトを股間に挟んで
ふざけながら歩いているお前と
熟れたマンゴーを小脇に抱えて
京浜東北線に乗車している俺が
ひそかに交わしたテレパシー
その内容が周囲の人に筒抜けで
来週の週刊新 ....
まだ背の低い中学生だった


キリスト教系の学校だったせいもあって
敷地内には教会が建っていた
戦時中は負傷兵の収容に使われていたという
改築はしたことがないらしく
昼間でも暗くて冷やや ....
誰かが言った
海は母であると

誰かが言った
大地は父であると

なら空は
この大空は 何者なのか

始まりより前から そこに在り
終わりより後にも そこに在る空


空よ
 ....
鯖、青くあれよ
他愛も無い会話にひとりで萎れて
声を殺す自分以外の
殺生するな、その声で
正夢のなかで
静寂に甘えずに瞳孔を拓けよ
望遠鏡
向こう側の前に
焦点を見出せ横たわるのなら、 ....
坊主が屏風に上手に坊主の絵
を描いているところに
東京都特許許可局
の役人が訪ねて来て
裏庭には二羽庭には二羽ニワトリがいる
と教えてくれたので
青巻紙赤巻紙黄巻紙
を携えて駆けつけ ....
なきがらにそえる花を探しつづけて
旅人は死んだ
私は旅人を摘んでなきがらにそえると
花を探しにいく
徹夜でブドウ糖を齧りながら野球やりに行こうぜ磯野
安全な樹脂の開発を今すぐに止めて野球やりに行こうぜ磯野
素肌の潤いを保つ液体を路上に撒き散らしながら野球やりに行こうぜ磯野
出生の記録を保管して ....
私は朝起きたら虫になるのだと信じていたあの日から何日経っただろうか
よく考えれば、そんなことは信じてもいないからどうでもいい

彼女がほしいと友達(7歳年上)(既婚者)(一児の父)(できちゃった ....
絶対的にめしが不足している空間で俺は
カンフーの極意を知る尿と戦っている
知恵と勇気が通用しない相手に俺は
なす術もなく翻弄されているデイズ
尿瓶に満載された何者かの尿が
ガラス越しに挑発的 ....
本の続きが読みたいと思ったので
部屋を出て外へ向かう
ポストの裏側に続きは書いてあった
また続きが読みたくなったので
デパートへ行く
エレベーターの壁に続きは書いてあった
(僕だってこんな ....
16のころ読んだ

大江健三郎の小説を

古本屋で文庫で百円で買った

道を渡った喫茶店で

39の俺が読んだ・・・


墜落する物体を見る興奮

幻のように確かな手触り
 ....
僕達は容易に 
たくさんのものを失ってしまう
取り戻す事のできないものですら

時計はその時を
刻み付けたまま沈黙している
瞼の裏に
残響だけを刻み付けて

無くなってしまったものを ....
震える手で引いた線のおしまいの部分
そこから少しだけ離れたところに小さな点を打つと
その点から黒い煙が垂直に立ちのぼっていく
火葬場の煙突から吐き出されるものよりも弱々しく
煙草の煙よりはずっ ....
生き死になんてものが
畑に植わっているから
せめて軍手をはめて
つばの大きな帽子なのだ

黒い土のにおいのなかに
かきまぜられもしない
軽々しさを聞く
ぽこんと泡を抱いた
空々しさを ....
赤い空に埋め尽くされた僕の街を
一羽の鳥が見おろして
どこまでも どこまでも 飛んで行かない

落下した鳥たちを
踏みしめて歩くその頭上で
擦り切れたフィルムをなぞるように
その光景は繰 ....
人身事故開脚
あなたなんでバレエ
電車の中で眠って
あなたなんでドア
辞めても辞めても連結する車両
ふと目を覚ますと汗だくだくで
額を拭う
何かが剥がれる
あなたなんで肉 ....
オレンジの錠剤を

窓から投げ飛ばし



袋に入った白い粉薬を

流しにジャーと流し



黒っぽいみずぐすりは

観葉植物に飲ませた



そしてい ....
にせものの葡萄のにおいがする
光のすきまを
さらに小さな光がとおる
貨物列車 埃の花
すぎる震え すぎる震え


高く遠く
直ぐに昇る鳥
真昼の星
青を青に打ちつけ ....
大人は忘れてしまった
中学生の頃、自分を取り巻く空気の薄さを
だってほら、なんということはなしに苦しかったじゃん
毎日のように新しい問題が降りかかってきて
解決なんてできないまま
また明日を ....
だから「それ」は
わたしになりました

  *

選ばれなかったから残った
と 言うのは
選ばれた
と 言うよりも
5センチほど
ほんのりさみしくて かなしい

だけど
選ば ....
僕が時々
夕食を買いに行くマックに
いつも立っているクルーの女の子

いつもオーダーを取りながらも
唇が乾くのか単なる癖なのか
唇を湿らすように舌を
チラチラのぞかせる

唇から漏れ ....
タイムマシンを買いました
十年先が懐かしい

タイムマシンを買いました
最新型を買う為に

タイムマシンを買いました
月賦が死語になる前に

タイムマシンを買いました
CD-Rが読 ....
来るな!
一歩前に出るな!
おまえがそうやって一歩前に踏み出すことで
そのおかげで俺の方は後ろへ一歩
ほらまたそうやって
じりじり前に出るものだから
おつに飛び出たおまえの腹と
俺の ....
若原光彦さんのおすすめリスト(354)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
黒鉛- くろきた自由詩510-2-19
- 十二支蝶自由詩210-1-6
浮舟- 小川 葉自由詩4*09-10-2
十二月- 非在の虹自由詩209-6-9
蕎麦屋の蕎麦はそれでも君を待っている- ふくだわ ...自由詩509-4-4
四畳半キムチ- ふくだわ ...自由詩309-3-28
夕暮れの電車の、スピードで- 鈴木まみ ...自由詩109-2-18
残夢- セガール ...自由詩209-2-16
教会- あ。自由詩7*09-2-14
- 会長自由詩109-2-13
黙殺- aidanico自由詩209-2-11
新春シャンソン・ショー- nonya自由詩12*09-1-1
土の碑- かとり自由詩3*08-11-5
野球やりに行こうぜ磯野- セガール ...自由詩25+08-11-2
事件がなかったら掃除ばっかりしてる私- がん自由詩408-9-5
TONYO- セガール ...自由詩408-8-5
宛てられる- 葉leaf自由詩10*08-5-25
幻のように確かな手触り- 吉岡ペペ ...自由詩708-5-23
- rabbitfighte ...自由詩20*08-5-20
ピリオド- 大覚アキ ...自由詩408-5-13
母の日に- 縞田みや ...自由詩6*08-5-11
色のない街に行きたかった- 自由詩8*08-5-9
人身事故開脚- 狩心自由詩6*08-5-4
ばんのうやく- むむ自由詩108-5-3
光過- 木立 悟自由詩708-4-29
忘れてしまったんだ- よしおか ...自由詩5*08-4-28
消去法で生まれたわたし- 明楽自由詩2*08-4-23
彼女の唇から舌が漏れると- kauz ...自由詩6*08-4-19
タイムマシンを買いました- 吉岡孝次自由詩408-4-6
侵犯- 六九郎自由詩1*08-3-19

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