教会
あ。

まだ背の低い中学生だった


キリスト教系の学校だったせいもあって
敷地内には教会が建っていた
戦時中は負傷兵の収容に使われていたという
改築はしたことがないらしく
昼間でも暗くて冷ややかな空気が流れている


ある日の放課後
暇を持て余していた私は友人と教会に行った
シスターが掃除をしていたが
しばらくすると終わったらしく出て行った


教会には私と友人しかいなかった
校舎とは離れたところにあるため
同じ学校内とは思えない静けさ
その沈黙さえも音がするような


後ろのほうの席に着く
十字架を見上げ
何とはなしに手を組む
意味も解らず暗記してしまっている祈りを唱える


毎日唱えているものなのに
急に言葉に重みが加わる
思わず十字架から目をそらし
友人の手を引いて教会を出た


私はクリスチャンではない
だからいけないと思ったのだ
意味を成さない言葉を放ってはいけないのだ


数年後 教師が結婚式にその教会を使った
あんなに暗く感じたのが嘘のように
太陽の光を浴びていた





自由詩 教会 Copyright あ。 2009-02-14 15:23:08
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