ピリオド
大覚アキラ

震える手で引いた線のおしまいの部分
そこから少しだけ離れたところに小さな点を打つと
その点から黒い煙が垂直に立ちのぼっていく
火葬場の煙突から吐き出されるものよりも弱々しく
煙草の煙よりはずっと鮮やかに
黒い煙は天井まで真っ直ぐに届き
そこに黒い染みがじわじわと灼きついていく
なにかの不吉な徴のように
輪郭のぼやけた黒い点になって
取り返しがつかないほどにくっきりと
いつしか穴のように黒々として
もうそこから目を離すことができなくなる
決して解くことのできない呪いになって
なにもかもがその一点に向かって収束していく
おしまいの黒い点に向かって


自由詩 ピリオド Copyright 大覚アキラ 2008-05-13 15:01:13
notebook Home 戻る