君の歌が聴こえる朝には
泣きたくなってしまうんだ
少しだけ風の冷たい、
土曜日の始まり
齧りかけのトーストと
マーマレードのかすかな苦味
それから君がア ....
悲しみが生まれた頃は
見えないものなのです
それは
徐々に姿を現すのです
時間が経つにつれ
小さくなることはありません
同等の質量を維持したまま
心の真ん中に居座り続けます
....
もってけもってけ
べべんべべん
私の
こころは大安売りで
いまなら
過去は問わなくて
さあさ
お買い得だよそこの人
買わなきゃ
きっと後悔するよ
もってけもってけ
....
六月のつかの間に澄んだ夜更けの丘から大勢の骸骨が這い出ててくる
そのどれもが出来損ないで、ところどころ豚や犬の骨も混じっていた。
実際彼等は見世物小屋へ身売りしようと考えていたが
現れて二ヶ月、 ....
さよならの「さ」は
さよならの「さ」
さよならの「よ」は
さよならの「よ」
さよならの「な」は
さよならの「な」
さよならの「ら」は
らっぱの「ら」
突撃らっぱ ....
ワイパーが傷んでいるから
拭いきれない水滴で視界がぼやける
思わず停めたパーキングで
いらだちが募り空をにらみつけた
そう これが私なんだ
些細なことに感情を左右されて
....
ムーニールーがありんこを相手取って
裁判をしているころ
お日様は林檎を
真っ赤に染めて
林檎はムーニールーに食べられるのを待っている
カタツムリが雨の中
小さくくしゃみしたけれど
ム ....
歪んだ陶器のティーカップに
微かに波打つ紅茶の中で
{ルビ一塊=ひとかたまり}の砂糖が溶けてゆく
長い間 抱えていた悩みのように
「着々と時間が解決してるじゃないですか」
カウンター ....
赤らんでゆくトマト、
緑に染まってゆくピーマン。
畑のトマトはトマトくさい、
畑のピーマンはピーマンくさい。
八百屋で買ったピーマンを台所で切る、
ピーマンの匂いがしない。
当たり前かもし ....
アホの振る舞いは
小さい頃に母に叩き込まれたから
自然と所作として表れる
でもバイパスを渡るときは
高校球児のようにお守り握って
全てを忘れて決死の勝負
渡りきって汗をぬぐい安堵感いっ ....
雨。
蛙が
踊っている。
如何様にか
踊っている。
何故だか
滑稽。
暫らく眺めていたのだけれど
だんすはげこげ ....
雨に煙る山頂の駐車場には誰もいないから
誰にも見られないでいちゃつくことができるけど
そういうのも
もう飽きちゃったね
恋は続かないからいいんだよ
切ないと思えるうちが花
そうは言 ....
あなたを傷つけるためだけに
あなたの友達を
好きになろう
あなたの
肩越しに目くばせをして
帰り道の話をしよう
あなたの友達が
あなたに
相談でもしてくれたら
最高! ....
針はやがて
真っ直ぐに
体に 落ちて
朝は はじまるんだろう
道に ふさわしい風が
崩れた後を 戸締りする
大切なものは 隠され
破けないものは 消した
時刻は
....
母は
私の知る限りいつも
母の顔であった
私が幼すぎて
気づかなかっただけである
ときどき母は
ふと
女の表情をしていたことを
カーステ ....
今日はやたらとカラスが鳴くね
梅雨の晴れ間の風の強い日
まるで、おとむらいの鐘の音のよう
黒い飛行船が青い空に消えていくよ
風景を切り取って
荘厳な葬送
....
キューンとなった瞬間
胸のとこが縮んだぶんだけ
体の中の水の粒子が
目の端から零れ落ちる
痛いって思った
体を潤してたその水は
私の一部であるけれど
ナミダは声を発しない
....
足のつめを切ろうと丸くなる
その はだかの 背中
連なる背骨の緩急
張りつめたなめらかな皮膚
緩やかな凹凸をしめす筋肉
見えない熱い血流
触れては いけない ....
探さないでください
そんな手紙を残して
君がいなくなってしまったから
僕はちまなこになって探したんだ
押入れ、風呂場、トイレ
良く行くレストラン、レンタルビデオ屋
何処にも ....
まめのこ は
ぽくぽく
つち の おうち
で ゆめみてる
どうなるのかな
しろい おうちには
みんな と いっしょ
おおきなて
に つかまれて いまは
ひとり ....
ねじ回しを回すとき
いつもあなたは
のの字のはんたい、って
つぶやいているの
わたしは知ってるよ
あなたが難しい顔で何か
言いかけた時にはいつも
わたしは心でつぶやくの
....
もし世界が 黙るのならば
わたしは うたおうとおもう
そのくらいしなければ わたしは
この世界では 生きていけない
もし目を瞑っているのに 気づいたならば
できるなら 目を開けたほうがい ....
あなたが遠くに
住んでいるから
ではなくて
あなたの心が
深い霧に包まれていて
そこに続く道を
見失ってしまったから
思い出が居眠りをしているのでした
今日も少しづつ暑くなりそうな感じがしています
揺すって起こそうかと思いましたが
そのままに
夏 それぞれの葉が今にも喋り出しそうな
明るさの中で 震える ....
じっとしているかかしさん。
かんがえごとをしていると
だれかがいっていたけれど
それじゃしごとにならないと
ほんにんだっておもっている。
じっとしているかかしさん ....
時空ポケットに落ち込んで
遠い幻に踊るピエロ
忘れられた虚ろな世界に
たった一人 何を追う
たった一人 誰を待つ
情けないのは重々承知
だっだら
そろそろ戻っておいで
いつ ....
ショーウィンドウ
映る私の姿
女らしかったから
デコレーションケーキ眺める振りして
確かめる
ここに存在する私は
私は誰
アプリコットジャム
いちご
白い大地の生クリーム
赤 ....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど
あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって
繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです
そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
今朝
彼女はブランマンジェ
ねぼけまなこ ねがえりのような相づち
ひばりの上昇にのっかって ざわついている私の毛穴
素肌は 夏の掛けぶとんにくるまれた甘味
横たわる小柄な肢体は きっと
や ....
むねにすんでる
やわらかくて
せつないもの
いつでも
せんめいに
さいせいできる
いっしょにすごした
さいごのなつの
はなびも
あか、あお
ぱち、ぱち
さらり、さらり
....
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