右も左もわからなくなったら
手のひらをみればよい
右の手にはひらがなで
「て」と書いてあるから
そうやって教わった
あの頃まで振り返る
何かこの先に進むための
ヒントがあるよ ....
はかりしれないほど
スィートな加速度で
ぼくたちは走っていたので
日々の円周ばかりを、何十回とまわり
あしたの記憶だけ
どこかに置いてきてしまった
クラクションが、鳴ってる
....
エリンギとはなにか
考証してみた
いや
考証しようと考えた
名前の
瞬発力からは
超能力のある
伝説の占い師の名前であろうと考えた
古来、占い師は
男である場合が多い ....
鏡台のまえに座り
紅をひく
雨音が
静かにへやを満たす
なにをするでもなし窓の外へ目をやる
何億年もの上空で
移ろうおもいが重さをもって降ってくる。
そう何かで読んだことがある
こ ....
詩は、読者に読まれるまで状態が決定していないという
駄作から傑作までの幅は作者によって大小するものの
素晴らしい詩であるかどうかは読者に依存する
(「調弦理論」や「 SM理論」も参照のこと)
....
わかりあえない
という
隙き間を
麻痺させるために
キスを する
まぶたを閉じるのは
酔いしれるためでなく
誰かを
明確に思い出すため
ある種の昆虫は
だ液と漆 ....
国語は嫌いでした。
算数は嫌いでした。
さりとて体育は苦手でした。
モテナイ君でした。
9人兄弟の末っ子で、中卒でした。
情けなくてある日つい白状してしまいました ....
「おお、神様、いったい何故、誰がこんなことを!」
「お前が犯人だ」
「ど、どうしてそんなことを。何を言っているのかさっぱり…」
「まだお前しかいないんだよ、アダム」
....
あなたが苦しんでる
何かしてあげたいのに
何も聞けない
何も言えない
抱きしめてさえもあげられない
ただ膨大に伝わってくるあなたの不安だけが
私の心を浸していくの
どうす ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
引っ越すと言うので
貰った8角形のコップ
口づける度
あなたの味して
使えません
はっぱをめくればなめくじ
みんなにきらわれて
しおをまかれたりする
おまえなめくじ
うまれてからずっと
からだじゅうでないている
おれだっておなじ
みんなにきらわれて ....
降りやまぬ雨の重さにうつむきし額紫陽花より珠の零るる
泥濘に踏みにじられしすいかずら晴れない空と泣かないアタシ
わたくしが果てたらどうぞお食べなさい林檎の花は楚々とほほ笑む
生まれてからしばらく
うつむいていたのは
悲しかったのじゃなく
探していたの
欠けたコーヒーカップ
もうないって言われていたけれど
知っていたけれど
探していたの
粗末な客 ....
命をかけて
白い花を咲かせ
あおいあおい実をふくらませたピーマンを
たったひとつ生ったピーマンを
もいで
今夜
私の拙い手料理にて
いただきました
裏切らない
みどりいろの味がし ....
駅の階段を上がると
おいしいトマトソースが食べられるパスタ屋さん
「どうして地下鉄が地上にあるの?」
そう聞かれても
コーヒーとパスタのセットは550円で
メニューは二つしかない
トマ ....
ダメダメマンは
とても駄目なヒーロー。
早とちりや勘違いなんて
日常茶飯事。
猫どうしの喧嘩も
止めることができない。
ちょっとした買い物を頼むなんて
求 ....
夜のアンモナイトは仄かに蒼く光る。
海の恋人を想い出し、蒼くさめざめと光る。
遙か遙か白亜の海の底、アンモナイトの恋人達は。
手をつなぎ、心をつなぎ、ちゅらと散歩。
....
生まれ変わったら何になる?
いつかそう聞いたのはあなたです
あなたが
パンダになるのなら
わたしも
必ずパンダになります
あたたかい陽だまりで
あなたに寄り添って
新しい命を育 ....
種もつ闇の
ちらかる 真昼
夜から じっと
はりめぐらせた
たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風
かすれた なきごえ
かみきる したあご
....
傾斜した視界には、
卑猥なモザイクもないから、
グロテスクなまでに素敵にエロティック。
桃を剥くみたいにピンキーな、
林檎の芯みたいなニードルで、
カカオの噴水はエレ ....
俺は仕合わせだ
今日も煙草がおいしい
俺は不仕合わせだ
マッチがそろそろ無くなる
俺は仕合わせだ
一緒に電車に揺られている
俺は不仕合わせだ
身近な人を愛せない
俺は仕合わせだ ....
ポストになりたくて男は
ポストの隣に立ち大きく口を開けた
ご丁寧に首から
「本物のポストです」
と札もぶら下げてみた
けれど誰も手紙を入れてはくれない
華やかに装った初老の女性も
....
わたしはどうしていきてるの?
おんなのこがおかあさんにききます。
わたしはどうしてうまれたの?
おんなのこがおかあさんにききます。
おかあさんはゆうはんのよういをしています。
....
プールから上がって
耳の奥に
横丁ができたみたいに
ぼわーんとしていた
頭をかしげて
片足ケンケン
どすんどすんと
足の裏が熱い地面を踏み込んで
ぽわ
と
耳の横丁は落っこ ....
母さん僕は
あなたの子供であることを何度
嫌味っぽく言ったかしれない
似ていると感じるほどに
それを振り払うような喧嘩を何度
繰り返したかしれない
そんな母が
「田舎に帰 ....
郵便受けに溜まった新聞が日焼けしていた
古い日付は、風に晒されて
更に風化した遠いあなたの
背中に張り付いて
帰ってこない のに
201号室の、窓から入る西日を受けながら
忘れて ....
それは
いまにもきえいりそうに
ふわふわと
ぼくらのまえにあらわれ
ながれにおち
みずいろにひかりながら
ながされていったけれど
あのひ
だれにしられることもなく
ひ ....
きみは知らない
きみの昔が
わたしの中では 鮮やかに暮らしていて
きみの手を振るものが
ほんとうは
わたしではなく
きみであることを
わたしが悲しいのではなく
きみが悲しがっていること ....
老人を見ると枯れ木を思い出す
無駄なものは一切取り払われ、水を通すだけの老木だ
水を通す、それだけしか出来ない全く透明な存在だ
錯覚に過ぎないが
若者にはそう見える
若者を見ると泥の匂い ....
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