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東京ドームのまんなかで腰をふったよ、わたし
観客5万4千人 全世界同時ナマ中継
相手は神さまだったから わたしもすごく真剣だった
わたしは処女でもなんでもなかったから
前に寝た男たちは全員、シ ....
綺麗ね、とならんで毎日歩いた
これが、あの子の世界
キレーネがゆれて
キレーネがキレーネの蜜を吸い
キレーネに囲まれた
キレーネを歩き
キレーネを眺めると
キレーネがのぼり
キレー ....
まだ小学校に入る前だと思う
うちによく関さんが来た
今度の日曜日、関さんが来るそうだ
父が言うと
あら、じゃあ美味しいもの用意しなくちゃ
それが母の決り文句だった
僕は関さ ....
夢のつづきを上映なさる、
あめ色に半透明な
翅のスクリーンに
隙もなく並べられた円卓が。
潤む瞳、
凸レンズ式の
灰皿におとした視線に煙り
鉛の筆跡で笑えず。
夕べは、霧の森で ....
ぽっ、と生き物の匂い
振り向いたけれど
ここはもう教室ではなく
ただ頬に、そして体に、雨でした
生き物ではなく
春で融けただけの
ああ
かつて
純だった
まば ....
牛柄の猫の話を知っている?
牛になりたいと、毎日祈っていた猫は、
神様から、牛の姿だけをプレゼントされたんだって。
その猫のおじいさんは牛だったから、
彼はクゥオーターなんだ。 ....
淡いピンクのチューリップがいけられた
硝子の花瓶のそばに
罅の入った銀色の金属製の心臓が
取り外されて置いてあった
彼はその代わりに
肋骨の中に脈動変光星をひとつ
納めようとしていた
昨 ....
(喪失の物語)
毎日の記憶が体積して
棚や机の引き出しや流しの下など
部屋じゅうに溢れて暮らしにくくなったので
彼女は思い立っ ....
雲ひとつない
ここはグラスの底
{引用=
では次に、炭酸水をきちんと測って
フラスコにいれましょう。さあさあ
....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
鶏の ように 飛べない 。鶏冠 を もたない 。神のようで ない 。雉のように長い しっぽを もたない 。鴨のように 美しい 羽根を もたない 雀のように 美しく 羽根を ひろげない。猿のように 鬼ご ....
ザラメ ザラメ
その名を呼べば
甘い夜風が
う
ょ
び
と吹く
夜のお祭り
始まって
裸電球
....
あなた、むかし、ひとがいました
ひとは足で歩いてました
あなた、でもそれは、あなたではない
足の、裏の、歩くの、速さの、
それらすべては、あなたではない
あなたはまだひとではないから ....
{引用=ソコは。}溢れている
ただ、天蓋はない
一斉に眠ることもあれば
一斉に目覚めることがあるという それだけのことだ
街に耳を当てカツテは聞いた雑踏の鼓動
力強かった
でも、偏在し ....
こいしける
そらたかく
おちていく
みどりいろ
はがしげる
はるのいろ
なのはなは
たまごやき
そらたかく
こいしける
ひこうきと
くも ....
人が減って
電車は軽くなる
「達磨さんが転んだ」
象の鼻をのばしたような
雪原の竜巻
「達磨さんが転んだ」
西の惨事を
引用しないで済ませてごらん
「達磨さんが転んだ」
....
空を
空を支える手があまりにも小さいのです
届いているように感じているのに
距離はこんなにも風を吹かすのです
急にバームクーヘンが食べたくなりました
空はもう星色
支えられない ....
ただ奇妙に笑う君の夢をみた
君の小さな手を握る夢だ
花はそのままで美しい
草木もそのままで美しい
根も葉も茎も枝も美しい
葉が還る土も美しい
あれらは光の受け手である
ケイソウはそのままで美しい
渦鞭毛藻類もそのままで美しい ....
書けなかった詩の断片が
ちぎれた草になって
風に舞っている
いのちは永すぎる未完
死してなお
始まりにさえたどりつけない 未完
私の夜はいつもと同じ旋律を
内側の街路にまきち ....
最近《なんとなく猫》がよくウチに来る
なんとなく猫は一匹ではなくて
その日によって違う
茶色もいれば黒も白もいるし
大きいのもいればまだ子猫なのもいる
なんとなく猫は何となくウチ ....
冬
冬という字
それは
ゆきだるまの目とかの
くろいもの
アレで出来ている
たぶん
そう
つくしは みな
めをつぶっている
はるのにおいを
かいでいる
せのびして
せのびして
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
たまねぎパリリ
皮をむいて刻みます
おきまりで涙が出ます
ついでにすこし
泣いてみます
じゃがいもクリリ
むいていきます
船乗りになった気分で
いくらでも
樽イッパイ ....
耳たぶを
どうか
噛みちぎってほしい
此処から出られなくていい
私が誰で何処から来たのか
なんのために生きているのか
なんども問いかけて
なんども見うしなう
歌なんか
....
午前十時過ぎの窓辺の光
外に出られない
私の有意義な一時
かけがいのない時間
私の為に残された時間
言われなくても気づいている
自分の身に何が起きているのかも
もうすでに朽ちている事 ....
腐ったリンゴを上手に切り分けても
誰にも食べてもらえない
手の中の熊蜂
うるさいわ。
黄色い布張りの
銀色の装丁の本
ある文字だけ黒く塗りつぶされている
「エチカ」
そうい ....
富士宮ヤキソバ
富士宮が町おこしとして売り出した名物
未だにB級を抜けられない感があるのは何故だろう
頑張れ、富士宮ヤキソバ
一度食べたら他のヤキソバなんて食べられないから
....
そのとき私は
この上なく上手に手を引かれ
視界は薄紅と肌
幾度瞬いても
ある薄紅、と、ある肌の
指の届く範囲に全ての指が在り
与えられた視界に全てが揃い
あの薄紅、あの肌 ....
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