まな板本番ショー
ゼッケン

東京ドームのまんなかで腰をふったよ、わたし
観客5万4千人 全世界同時ナマ中継
相手は神さまだったから わたしもすごく真剣だった
わたしは処女でもなんでもなかったから
前に寝た男たちは全員、ショーの前座ではりつけ処刑
はじめての相手だったわたしを3万円で買ったおじさん
くたびれたスーツ姿で縛られて泣いていた
長い槍で脇腹を刺されるとき、わたしと同い年ぐらいの娘が
おとうさーん! なんて叫んで全世界がうるっときて わたしももらい泣き
インテリ気取ってた中学のときの社会の先生は日本刀で首をはねられた 革命バンザイ!
奥手だったわたし、初恋は遅くてなんと高校になってから 同じクラスの男子
おまえのためなら、おれ死ねると思う 言ってくれて、わたし、胸がきゅんとなった
犬のえさにされた
家庭教師の大学生も同じこと言ってたけど、サークルに彼女がいること知ってたよ
彼女が電話かけてきたもの 彼が携帯に保存してたわたしとのセックスの写真を見たって
最近、様子のおかしい彼の携帯電話をこっそりチェック 別れて、だって
わたし、つきあってませんと答えた そのとき、彼女は泣いたけど、いまではすっかり仲良し
彼が白人と黒人の筋肉奴隷に交互に金属バットで頭殴られ始めると 
彼女は見ていられないと顔を伏せたから、わたし、彼女の肩を抱いてあげた
もう顔も覚えてない人たちが大勢火あぶりにされて
わたし、身体の芯が熱くなった 神さま、わたし、準備万端になったよ
東京ドームのまんなかで、馬乗りになって激しくファックするわたしのあそこが泡立つのを
お父さんもお母さんも弟も見てた 戦争指導者も自己啓発セミナーの主催者も地元政治家の後援会会長も
売人も警官も不満だらけのサラリーマンも美容師もテレビキャスターも見てた

だから、生まれるあなたよ、全世界の人があなたのいのちが光を放った瞬間を見たことを知って

あなたは惑星最高の人間になることをわたしは知っているの


自由詩 まな板本番ショー Copyright ゼッケン 2006-04-29 21:03:47
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