なんとなく猫
松本 涼
最近《なんとなく猫》がよくウチに来る
なんとなく猫は一匹ではなくて
その日によって違う
茶色もいれば黒も白もいるし
大きいのもいればまだ子猫なのもいる
なんとなく猫は何となくウチに来ては
膝にちょこんと座ったり
夕飯のおかずをつまみ食いしたり
ヒトの布団に潜り込んだり
一緒にお笑い番組を見たり
一通り部屋の中をウロウロしたりして
何となく帰っていく
どうしてなんとなく猫たちがウチに
やって来るのかは僕には分からない
たぶん何となくなんだろう
だから僕はあまり戸惑わない
だって何となくなんてものはいつまでも
何となく続かないものなんだから
だけどもしもそれが
何となくじゃなくっても
僕はあまり気にしない
その時僕は
《なんとなくじゃない猫》たちと
何となくじゃない場所で
一緒にお笑い番組を見たり
夕飯のおかずを
考えたりしているのだろうから