なんとなく猫
松本 涼

最近《なんとなく猫》がよくウチに来る

なんとなく猫は一匹ではなくて
その日によって違う

茶色もいれば黒も白もいるし
大きいのもいればまだ子猫なのもいる

なんとなく猫は何となくウチに来ては
膝にちょこんと座ったり
夕飯のおかずをつまみ食いしたり

ヒトの布団に潜り込んだり
一緒にお笑い番組を見たり

一通り部屋の中をウロウロしたりして
何となく帰っていく


どうしてなんとなく猫たちがウチに
やって来るのかは僕には分からない

たぶん何となくなんだろう
だから僕はあまり戸惑わない

だって何となくなんてものはいつまでも
何となく続かないものなんだから


だけどもしもそれが
何となくじゃなくっても
僕はあまり気にしない

その時僕は
《なんとなくじゃない猫》たちと
何となくじゃない場所で

一緒にお笑い番組を見たり
夕飯のおかずを
考えたりしているのだろうから



自由詩 なんとなく猫 Copyright 松本 涼 2006-03-14 00:19:53
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