空が降ってきた
 
その瞬間
青色になった彼女を
教室の窓から
眺めていた
 
 
粒の分裂音に合わせ
足踏む
泥だらけのローファー
センチメンタルに響く
 
ひらり、と揺れ ....
わかれ ちぎれる 雲間を
縫いとじてゆく聖歌の雨だ
みんなして一斉に生誕をやりなおす
後ろ向きな朝が明けた

ルリラウラ ウルトゥルル
産声が湿り積乱し 大空をくるんで遮ってゆく
きっと ....
くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
繋がって
また
諦めた
歯がゆさで
ワンマン電車が走っていく

わたしの
肯定を知りたい

たくさんの競争心を
おぼえたふりをしていたらしい
甘やかされている時間にはふと
だれ ....
こじつけて
逃亡します、今夜
明かす寝台列車
明けるわたし

行き先は戦地ではないから
安心して送り出して

きみの脳内の
道徳をくすぐった名作を携えて
逃亡します、今夜
逃げ出 ....
「春待ちワルツ」



学校を遅刻した日みたいに小さな開放感(バカンス)
ほわほわの光と人気のない道
ワルツのリズムで足を出すのさ
てくてく歩こう寄り道しながら

いち にっ さん
 ....
たとえば今日
寒い風に吹き晒されているとして
さらに明日は
寒い雨に凍えているかもしれない
それでも破れ傘を差して
ボトボト歩いていくだけだ

たとえば今日
温かい陽射しに抱きしめ ....
トリコロールカラーを織り混ぜた不協和音が
螺旋状に響く午前2時
F♯dimとB♭7がクロスした地点に
ジンジャーエールを凍らせたような結晶が生まれる
そう、今わたしの左の腰に小さな氷山が突き出 ....
一昨日の朝食で
僕の耳に
ピーナツバターを
こびりつかせたまま
サニーレタスと一緒に
皿の隅っこに追いやったのは
誰だ

昨日の朝食で
僕の耳を
ホットミルクに
浸しこんだま ....
昨日が、夜の中で解体されていく



肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る



わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
 ....
0.97m前方
秒速0,7m
不規則な回転運動
ほぼ(237, 26, 61)
不完全すぎる球体
強化シリコーンの指
捕捉完了

擬似眼球スコープ
サブウィンドウON
アナライ ....
<余分三邪鬼>




脂肪


最後に君と食べたネギ塩カルビ
泣きながら飲み干した生ビール(大)
美味しくも哀しい想い出の数々が
僕の内臓にぴったり寄り添って離れない
鏡を見 ....
半蔵門って何処だ
紫の帯の地下鉄が開通したとき
まず思ったのはそのことだった

銀座/丸の内/日比谷/東西/千代田/有楽町

方角を示す東西以外の路線名は
東京近郊で産まれ育った僕でも
 ....
口語の時代はさむいがその寒さの中に               ※2
自分の裸をさらすほかない時代
ひとつの恐ろしい美が生まれた                  ※3
三角さん、錯覚しなければ ....
{引用=死ぬ気になれば何でもできる…

それは瀬戸際に立たされたことの無い人間の言葉}


新地に棲んでいた頃の母を良く知っているといって
狐目の男が自宅を訪れることがあった

その度 ....
白梅も微睡む夜明けに
あなたしか呼ばない呼びかたの、
わたしの名前が
幾度も鼓膜を揺さぶる

それは
何処か黄昏色を、
かなしみの予感を引き寄せるようで
嗚咽が止まらず
あなた、との ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
やめてけろ

ひと恋しさにちゃちゃ入れた
わたしの思いを
やんわりと断つように
春の兆しは白い肩口の奥へと隠れた

厳しさだけではない冬の素顔を知ってから
流されるのとは異なる
自ら ....
おじいちゃん
ゆうべもあかんことしはったんやてね
ビニール管抜いたら帰ってこれへんようになんのに
看護師さん かんかん
わたし とぼとぼ
  キリン…とおじいちゃん
はいはい、わかりました ....
ほとんど水平に近い角度で
やっとその星をとらえたことがありました
あと三日で見えなくなるという百武彗星
あれはアトランタオリンピックの年でした
宇宙にいくつも弧を描きながら
あなたの天体望遠 ....
夜空を見上げていたんだ

真っ黒な夜だよ

幾千の明かりが灯った
クリスマスツリーの上
巨大なビルとビルの間の
ちっぽけで 真っ黒な夜空だ

星が一つだけ瞬いていた
明るい星だ
 ....
「死んでしまいたい」が口癖な君に
「生きていれば良いことあるよ」
と言いかけて言い切ることができなかった

それを時代のせいにしたところで何になるのだろう

夢とか希望を持ち難いこんなとき ....
小学校に行ったよ
山奥の
廃校になった

なにもかも小さくて
洗面台なんかほんと低くて
でも何でも揃ってて
まだ、ひとの気配がした

あんまり陽あたりがよくて
運動場も広いから
 ....
ピンポーン
とチャイムが鳴る
あなたの顔を思い浮かべる
シャワーを浴びたばかり
少し濡れた髪を
わしわしと
拭きながら玄関へ向かう

早いね。
そうでもないよ。
左手でタオルをわし ....
神さまからひとつだけ願いを叶えてあげる
と言われたので

幸せになりたいとお願いしてみた

神さまはふむふむと頷いて
では、早速明日から叶えてあげよう
と言ってくれた

期待に胸膨ら ....
  瑞々しさ

 かじかむ
 手があれは
 「かがやく町だったと言った
  なにごともない町並み
  を抜けてゆるやかに
  傾ぎながら地下鉄は春の
  空へ。出る駅前はぐるりといたる ....
あんなに荒れ狂っていた
場所
砂が乾いてゆく

反転し
苦しく水を蹴った足の記憶のまま、踏みしめる
砂にはわたしの
しずかな歩みだけが続いてゆく

高鳴り
呑みこむ夜が病いなら
 ....
剃髪に立ち会った日の陽の光 淡く結んだらせんのつづき



葉脈にミシンをかける神様は季節のすきまは縫い合わせない



にんにくで追い払うんだ君のこと季節外れの桜の匂い



 ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる

わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる



いつだっ ....
生前の君と最後に語り合った 
このCafeに来るといつも 
テーブルに一つ  
硝子の灰皿を置いてもらう 

向かいの空席に 
ぼんやりと君の面影を浮かべ 
日頃誰にも言えない 
秘密 ....
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