雨の日のダンス
倉持 雛

空が降ってきた
 
その瞬間
青色になった彼女を
教室の窓から
眺めていた
 
 
粒の分裂音に合わせ
足踏む
泥だらけのローファー
センチメンタルに響く
 
ひらり、と揺れる
制服のプリーツは
不安そうに
迷っている
 
誰かのために生きたい
そう言った彼女は
とても弱くて
複雑なふりを繰り返す
 
揺れる睫毛も
液体と同化して
ぼやけていく
 
 
ガラスごしに反射した
青色に飲み込まれる
 
僕は目が離せないでいた
泣くことも
忘れていた
 
 
生きるように
消えるように
彼女は踊っている
 
ざわめきの中で
そっと
世界中の悲しみを
独り占めしようしている
 
 


自由詩 雨の日のダンス Copyright 倉持 雛 2009-03-12 03:45:30
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