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この世にやってきて
三ヶ月ほど経った赤ちゃん
乳しか飲んでいないのに
ぷくぷくと太った哺乳類
腕に輪ゴムをはめたようなくびれが出来ている
そこに分け入ると
赤ちゃんはわたぼこりを隠していた ....
帰宅すると腕時計を外した私の足許にも
転がっている ビー玉
それらを這いつくばって拾い集める
テーブルには星砂の砂時計
昼も夜も
理性という小瓶に詰めたはずの
今日 ....
瀧の轟音
小鳥のさえづり
風に揺れる葉擦れ
せせらぎの旋律
{ルビ渓=たに}は音に満ち溢れている
光の大洋 、
無限なる海鳴り
内に漲り迸出する
命の時を不断に織り成し
織り込まれる音聴きながら
私は生きる 、
この一度切り二度切り、否 無限切りの
変容し続ける魂を 永久なる ....
十四時をすぎて、
雨が上がった午後には
きっとわたしでもどこかへ行けると思ったし
もう少女でもなかったし
切符を買うこともできると思った
長い階段を降ってから昇って
手のひらの ....
○「余命」
中学時代からの親友から
「肺がんで余命数ヶ月」と言われた
というので
自宅に会いに行った
痛みもなく体調もまあまあで
末期ガンという気はしないということだった
何か食べたいも ....
快晴の青空に
真っ黒なちいさな穴がみえる
なになのかは
わからないけれど
細胞が怯えているのは感じる
けれど
なにを対処できるわけもなく
時はただただ過ぎてゆくだけ
....
ねえ、聞こえない?
空を見るとき空には全てがあるんだ
空白と、無を抱えて
あなたは、命を手掴みにして、
日陰に入れば、あなたは眠るだけ
それが、あなたの一生の、全て
空と、風と、眠り。
....
激しい雨が降る中でカーヴを攻めながら
深い緑の里にある道の駅を目指した
イワナとヤマメの通年入漁券を得るためだ
普通ならば釣師は梅雨を嫌う
ぼくは登山用のレインウエアを着込んで
梅雨の日も釣 ....
里山が消えていく
脱炭素を熱心に論じる
快適にエアコンの効いた会議室で
アルマーニのスーツを着込んで
化石燃料と気候変動の話を
ビジネスチャンスだと
ノリで上気した額をてからせ ....
また 会いましょう
貴方はそうして立ち去っていきました
それは太陽が空を染め上げる夕暮れの時
それは月も登らない暗闇の時
貴方の姿は天使にも劣らない
純真な瞳はあらゆる悪意を払い除けるこ ....
午前の仕事を終え
ベランダで煙草に火を点ける
あの子は朝食を食べずに
あの人の車で旅立ったろう
待合室には午後の客
インテリアは
東洋風のセッションに合わせてある
あと半日がんばろう ....
「あ」と言って
「あ」と伝わらない
孤独は人にある故に
人は持っているんだ
愛する力を
・
さまざまな存在と共に在る
孤独ではない私の
友だちと仏さんたち
銀の指輪と植物たち ....
鳥の声もなく
くちなしの花だけ白く小さく
風もなく
空に 色はなく
ひたすら降りこめる小さな庭
かつて花にも心はあった
※
あなたへ
あの子 ....
わたしの気持が愛に近づくごとに
あなたの精神がつめたく枯れていきます
でもそれはとめどない欲求で
近づきはするけれども
決して愛にはならなかった
つめたい土に眠っている
こごえ ....
何故でしょうね
掌の上で独楽が、止まっているように回って
視線をさらいますけど、波のめくれや
バケツの蟹の回転はどことなく
記憶に繋がっているように眺めています
流しの栓を抜 ....
{引用=
日々の蓄積された労働によって、もうすっかりとひび割れて、枯れきってしまった。そんな心の大地の奥底から少しずつ滲みでてくる、君という存在を知っている、ボクの中から生じられた、補おうとする水な ....
百合の木の茂る蔭
煤けた石畳で
黄緑色した小さな毛虫に
小型のキイロスズメバチがのしかかっている
目に飛び込んできた
両者のカラダの彩は暗がりから浮き上がって
もだえる毛 ....
自らの肉の此の大地の
破局の日に
生き残っていく意志を
新たな芽を出すものを
あの人もこの人も還っていった
宇宙のベッドに
今頃薔薇を敷き詰め待って居る
復活の日に
生 ....
鈍い涙 朝もしくは昼の目覚めのあくびの涙
透明な涙 かげらずただそこにある太陽の眩しさへの涙
辛い涙 胸にくすぶる虚無あるいは無効力にこぼす涙
滂沱の涙 隣人とともにあろうとする人を憐れむ涙
....
僕の中学時代からの友人三人が
今病気療養中だ
その一人から今朝電話があった
「肝臓ガンの手術を無事に終えてほっとしていたんだが
先日医者からガンが肺全体に広がっていて余命数ヶ月と宣告された」と ....
生きているんだ
葉は光に
緑に透けて
私も
愛を教わり
六月の寒い日が
まやかしの告白の手紙を読んだ様に
そくそくと背筋に迫る
化粧水の冷たさが掌に残り
それすら重い
黒いオルフェにとりつかれて
ピーナツをかじりなが ....
うわさは
当てにならないし
一方聞いて
沙汰するなと
真実が言っている
・
人の
一生なんて分からないから
今が良ければそれでいい
でもね 今は
過去と未来につながっている ....
しずかさかさこそ
かさこそひっそり
小さきもの飛び跳ね
此の世に贈与された
じぶん確と受け取り
情熱と意志を込め
小さきもの解き放ち
かさこそそこここ
しずかさかさこそ
滲み ....
わたしが習ったことのない踊りを
みんなが踊ってる
わたしには聞こえない音楽
踏めないリズムで
ようようと
あたりまえの顔で
大通りで隊列を組み
ひとつの祭りのように
わたしの身体は ....
こわがる
ということは
ある場合では
必要なことだ
生きのびるために
・
悪い時もあれば
いい時もある
こんなもんだけれど
無駄ではない
味わえば
・
いいね
....
1.
ゆがくように陽光が照り付ける昼過ぎに、私は横断歩道を渡っていた。
暑さで揺れ動くのが自分か、世界か、あるいは陽炎か分からなくなった頃。
コンクリートは融解して水になり
全身から流れる汗は ....
詩は君よりも自由で
全ての矛盾を受け入れてくれる
矛盾を恐れる君の代わりに
詩が矛盾してくれて
愛も憎しみも
優しさも厳しさも
君の矛盾の無限大も
葉の上から零れ落ちるたった一滴の雫の中 ....
ゆらりゆらりと
漆黒の水底を泳ぐ孤独な生き物
彼らは輝く太陽を知らない
ぼくらは昼と夜が無いと
生きてはゆけないのだ
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