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ゴロゴロしてテレビを見ていたら
窓際で蝉が鳴きだして
テレビの音が掻き消された
でも腹が立たない
僕は何とか無事に辿り着いた週末だ
蝉も何年もかけて辿り着いた終末だ
お互いをたたえ合お ....
おぼろおぼろと
鳴くウサギ
月下
屹立する駿馬
蝉が泣き止む秋の空
台風一過の青空を
ひとひら蝶々が舞い踊る
つまり蜻蛉は宙を舞い
つまり蝶々は心を潤す
....
夜更け
あなたは名前になる
わたしは耳を澄ましている
身体に触れるように
呼んでみる
息だけが漏れていく
言葉は庭に埋めた
どこに埋めたのかわからなくなって
その庭も無くなって ....
ライトゴロを後逸した野球部員のその後
花火大会の最後の1分
河川敷にたくさんの人が集まり歓声をあげる
ワワワワワワワワ
足の爪にマニキュアを塗った浴衣の女
川ぞいに建てられた特別養護老人ホー ....
ネアンデルタールは愛を知っていた
葬列を組み
亡き人に花束を捧げ
そして葬った
クロマニヨンとも愛し合い
子孫を残した
それは考古人類学でも証明されている
すがたかたちは違うけれど
彼 ....
誰かの作った世界で
見ざる言わざる聞かざる
飼い慣らされて
俯いて取りこぼした夢
言われるままに行進する
息を殺したまま
三猿たちの断末魔の足音
かつて某猿が摘んだ花だけが
上を向 ....
雨打つアスファルト 水の溜まり
波紋の拡がり消え拡がり
一瞬、一瞬 無数輝き銀の色
虚しき永久の 永久の虚しき
連呼する歌声に地が応え
宙へ返し降り続ける雨
水の溜まり 雨打つアス ....
光の
深い
いつくしみに
影の私は
満たされる
・
銀河の先には
星々の
海光り
光の波音
歌っている
夏の
残り火に
照らされて
じんじんじんわりとする
思い出
・
さようならは
言わないよ
またね だ
あなたの優しさを
忘れないよ ピース
○「早めの避難」
(年寄り)「八十、九十の足の不自由な年寄りが早めの避難が
できるわけないだろう!」
(市役所)「だからこそ早めの避難を呼びかけているわけです」
(年寄り)「あんたた ....
右手を背中に廻し
左手をお尻に添える
髪は乱れていて
ちょうど良い
形の
柔らかさの
温もりの
自由に
絡まる舌や
いくつかの部位
思わずにはいられない
アフリカ西海岸と
....
セックス
世界が変わるとき
一人と一人の世界が終わり
あたらしい世界が生まれる
ラポール
貴方を認めるとき
乱暴もネグレクトも精に成り
深きゆえ また我を忘れる
....
夏の日に
僕等は少しだけ詩的になる
降り注ぐ太陽は殺意とともに肌をじりじりと焼いて
そんな苦役さえも受け入れて
僕等は夏を楽しむのだが
夏の日に
僕等は少しだけ何かを予感する
この喧 ....
フラスコの洗浄
柔らかな
ガラスと午後の触感
他には何も無い音と
別の日
満員電車で吊革に掴まっていると
かなかなかな
隣にいる男の人が
ヒグラシの鳴き真似を始めた
夏が終わ ....
海が集めてくれた流木を
彫り、刻み、磨いて、
鴎を作る
なにも詰め込んではいけない
空洞は
空洞のままがいい
心を壊す意味を知らないで
語りつづけた弱気な希いは
....
明滅する{ルビ生命=いのち}の不思議
魂が魂を呼んでいる
前世の約束を果たすまで
追いかけっこを続け
明日を夢みる
もう、何がなんだかワケワカメ
物静かな人妻のパンティを脱がせたら愛の嵐でワケワカメ
中折れし、拳で殴られ鼻から垂れたワケワカメ
冷蔵庫の中で賞味期限の切れた深い悲しみのワケワカメ
入居 ....
私の母親の両親は どちらも良家の生まれだったらしく
蔵をいくつも持っているような村一番のドン百姓だった
祖母の家は代々蚕を育て 絹糸を紡いでいる家だったらしい
祖父の家も詳しくは知らないが ....
この体の
おかげで
いろんなことを
体験出来る
ありがとう体さん
・
よろこび
悲しみ
時には人を傷つけても
いつも感謝を忘れたくはない
最後を待っている私
・
....
澄みわたる
青い空を
深く深く
みつめると
静かさ胸にしんとする
・
形見の歌を
声に出して
なぞる
あのひとの
いのちを
・
今
今を通りすぎる
涙は
....
今は廃校になってしまった小学校のグラウンドに
ぼくら男子児童は立たされていた
50m走のタイムを計るのだと
体育の大森先生は号砲のピストルを
真夏の空へ向けて構えていた
過疎化の進んだ小学校 ....
風に舞う
赤とんぼたちの翅が
秋の陽を
反射するなか
草刈りを終える
・
秋の日の
かたむいてゆく時
こころも何かへと
かたむいてゆく
山鳩の歌ひびき
・
青空 ....
暑い季節にはみな熱い手を持っているのに
それでもふと触れた手がひんやりとしていて
溶ける魔法を解かれた
永遠に溶けないやさしいこおり、みたいだった
つくつくぼうしが鳴き始めると
耳をそばだて ....
遠いパヤパヤは、ヤバイ音。
とおいぱやぱやはやばいおと
来る、逢うユリイカ。蒼白い路地を赤い理由歩く。
くる あうゆりいか あおじろいろじおあかいりゆうあるく
宵、鹿住むは陰湿 ....
日々が山となって積もる
あまりにも積もりすぎて
日々の山は崩れる
麓の地平は突然の崩落に大騒ぎだが
俺は山の頂上にいて
ぐらつく足下も気にせず
泰然自若としている
日々は崩れる時は崩れる ....
お盆を過ぎると、
いつも風が少し涼しくなるのは、
多くの死者たちが来訪していた、
その磁場の名残なのか、
死んだカブト虫たちを裏庭の暗い土に埋めて、
その上にできるだけ細長い小石を立ててゆく ....
静けさをたたえた穏やかな、翠の眼の馬。
遠い日の、ある場所において、
目の前に立つ人間の、胸のあたりに歯をたて、
涼し気な空色の半袖シャツの、上部を斜めに裂き、
白いボタンが飛び ....
ひと夏の夜
家族に背を向け
庭に咲いた月下美人を
見つめていた父
そんなこともあった
今ではどんなことだって
苦笑いくらいはできる
寂しい時ほど
思い出すのは後ろ姿
張り裂けた夏の青空の向こうから
ミンミンゼミの声がしている
エアコンの水滴が窓の外側に滴り落ちて
きっと外はまだ暑い
小さな町の病院の診察室で
まるで終わりの始まりのような説明を受けてい ....
ゆうぐれどきの
西の空は
蒼く透けて
闇に解けるまえの
悲しみの果てです
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