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いくばくかの眠りののちに
順当に死んでいく 光
老いさらばえた愚かさで
燃え尽きていけ 雪が舞うように
それを見た子どもたちが叫ぶ
星だ と
秒針が指すものと 君のくせっけ 洗濯機 ....
もし私が一陣の風ならば
空の窓辺を叩き
君の頬をそっと撫でて
飛び去る、飛び去る、飛び去る
この広い世界に私の行く先がある
低い谷間には降り立たない
冷たい影には触れない
荒れ果てた ....
病気にならなければよかった
と母は言う
そも病気というものが
自分の選択であったと言いたげに
病気にならなければ
良い大学に行って
良い会社に就職し
良い生活をさせてくれた
....
松本さんは珍来のチャーハンが食べたいという
それにビールが飲みたいと
毎食ペーストと栄養飲料
牛乳だけの食事を希望したのは彼の意志で
病院からの強制ではない
ぼくはレバニラが食べたくて
昼 ....
うつろいゆく日々の向こうに明日があるとは限らない
さまよい経る向こう見ずさも、なまなましさの遠いみらい
わたしはこんなにも
存在しているのに
遠い星々を掴めたことがない
かすかに聞こえる喉笛 ....
──韻律と、それを破壊するもの/詩歌の技法と、私詩史を通して
ころげよといへば裸の子どもらは波うちぎはをころがるころがる
相馬御風の歌である。それにしても、「この音は何だ」( ....
雲はモクモクとして軽く柔らかく見える
時として重く見える
だが、固そうだと思った事はない
何故だろう
虹は綺麗だ
スッと天に立つ姿は自然が造りしアート
ゆっくり消えてしまうのに
柔ら ....
○「オシッコ事情」
年を取るとオシッコが近くなる
近くなるが
トイレへ駆け込んでもすぐには出ない
隣に人が立つとなお出ない
「もう一歩前へ」出ても
届かない
ちょろちょろである
やっと ....
王様は裸だった
煌びやかな服はみな
貧しい民に与えたので
裸で過ごすしかなかった
見かねた詐欺師が
お似合いです、と
透明な服を仕立ててくれた
優しい気持ちに感激して
皆に ....
私のこどもは一月三日生まれである
陣痛が始まったのは大晦日だった
ともあれ毎年一月三日にはケーキを買いに行く
ついでに正月だから花びら餅も買う
正月三日にでかいホールケーキは
いろいろな ....
まだ生きていたいような
もう果ててしまいたいような
狭間をゆらゆら
ベタの尻尾のように揺れて
布団にダイブ
ぬいぐるみは可愛いが
しゃべりかけてくれないし
ぬいぐるみの台詞を自分 ....
きみの王國と、ぼくの王國を秤に載せてみようよ。
新しい王國のために、頭の上に亀をのっけて
哲学者たちが車座になって議論している。
百の議論よりも、百の戦の方が正しいと
将軍たちは、哲学者たちに ....
大晦日の夜から元旦にかけて
年神さまが誰も知らない山から降りてきて
健やかな子どもの足裏に
ひと粒の種を植えてゆく
今年はせいちゃんの番かもしれんねえ
そう言って祖母は細い目をいっそう細くし ....
毎日が毎日カウンターにやってきて
毎日を注文して少し疲れた顔で笑う
私はグラスにゆっくりと毎日を注ぎ
愛想よく笑い返して明日のことを考えている
+
OPEN
CLOSE
どち ....
子供の頃の習い事は
どれも壁が出現した時
手折ってしまった
しまった
諦めが早すぎた
選択肢が多かった時期に
自ら摘んだ芽の根っこは
まだ生きていて
芽吹けない土壌を
地底か ....
自らの生存に絶望し
絶望し恐怖し忍耐し
朗らかに笑いながら
明らかな意識を持つ
これが最期と新年迎え
漆黒の魔手 、
今宵にもまた戻り来るか
棺に収められ蹲りながらも
貴女達は ....
妻との決着は穏やかに着いた
様々な想い出が走馬灯のように通り過ぎてゆく
長いと言えば長く
短いと言えば短かった
二人は別々の路を選び
晩秋を待って別れることになった
互いに別々の白い路 ....
涙はあふれ続けた 故人の眼から
森林はすっかり裸木の群れ、
冬空の青 木立の隙間から透かし彫りに
人間性から堕落し仲間を蹴落とし
自分自身の自由意志すら断念しても生き抜き
詫びても詫び切れず ....
枯れ葉が、自分のいた場所を見上げていた。
木馬は、ぼくか、ぼくは、頭でないところで考えた。
切なくって、さびしくって、
わたしたちは、傷つくことでしか
深くなれないのかもしれない。
あれは、 ....
○「お正月」
子供の頃はわくわくしていたが
今はドキドキしている
子供の頃のようにわくわくしたいなあ!
○「元日」
おめでとう!
おめでとう!
と交わしても
めでたさは沈んだまま
....
○「イキテイルことへの感謝を込めて」
イキテイル イキテイル
今日もイキテイル
「オギャア!」とこの世へ送り出されてから
ずうっとイキテイル
病死 事故死 事件死 災害死もなくイキテイル
....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
まあ読めるんよ
十代のころ滝沢馬琴とか読んだし
十返舎一九も上田秋成も読んだしな
だからまあ無理すりゃ書けなくもないんだな
幕末や明治の本も読んだしなあ
明治の本ってさ
むしろお江戸の ....
夢は別の世界で
自由なのに束縛されて
真夜中の街に出た
街はもうひとつの世界で
お金がなくても
歩いているだけ でも
楽しかったはずなのに
休まる場所が見つからない
暗い歩道に ....
○「二刀流」
大谷選手はやはり二刀流だった
昼も夜もバットを振り回していた
二世誕生おめでとう!
僕のバットは昼も夜も萎れている
○「ウララ」
ウララ ウララ 裏金よ
ウララ ウララ ....
手のひらですくえるほどの軽さ
ふっと息をかければ羽毛のように
水のようにさらさらと
それくらい
それくらいと言いたいのに
あなたが踏んだ泥は何億年後かにも
化石になって残るだろう
た ....
○「気づいた愛」
この年になって古女房への愛を新たに感じた
たった二週間のワイフの入院だったが
新たに愛を感じた
やっぱり独居老人は寂しい
知り合いの奥さんが1ヶ月ぐらいがん治療で入院してい ....
いつか森のいちぶだったもの
小鳥をすまわせ
そのうたに耳をかたむけていたもの
みどりの葉をめぶかせ
ゆびさきは空へとむかう
よるになれば流れる星のゆくえを占ったもの
むささびの発射台になっ ....
松本さんは重度の統合失調症で
時々大声で叫ぶ
その後にぼくとハグをして泣く
ぼくは背中を撫で、ポンポンポンと軽く叩く
ストレスで叫んでしまうと言う
お酒がないのでぶどうジュースで乾杯もす ....
煙草を吸うと体が痛むから
痛む体で起きることになるから
今朝は薬を多量飲んでやった
体は変調をきたし
今
とても気分が宜しい
光りあるところに影があり
この
気分の良さもの ....
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