すべてのおすすめ
「愛情不足だったから
棘だらけになった」
――サボテンが?
自分の間合いで生きればいいさ
手前勝手になれなれしくするやつは
痛い目に合わせてやればいい
傷ついたなんて言う ....
スーパーカップを平らげて
もう一個食べられそうな
そんな午後
二歳児がゆくどこまでも
小石を拾いながら
もう何に怒っていたかも忘れて
落ち着くための珈琲も忘れて
時にバンボを ....
風にのって走る
超人ハルクのようにニーチェの箴言を唱えながら走る
葡萄棚の下で交わした接吻をいつまでもわすれないように
市場で買い集めた食材で君との思い出の料理をつくる
部屋にはホッド ....
フィボナッチ数という概念以前に
自然は数理をすべて把握していた
僕の心の中で君との関係性の黄金比は
生物学的に柔らかく深くとても妖しく
揺れ続けているがそれでも
日常の僕はいつも不安 ....
外界は、
無数の浮遊映像
透明な皮膜越し
人々が車の列が
太陽に焼かれ
ふわふわ微睡んでいる
不意に、
道路を裂いていく亀裂は
青過ぎて暗んでいく空と共に
雪の砂漠の空洞を穿ち
....
人数合わせで呼ばれたコンパだった
見計らうように薄着になる女の子たちの肌がまぶしかった
そのときだけのLINE交換
誰が注文したのか分からない烏賊のお刺身が手をつけられずに乾いていった
....
湯の歌が激しく聞こえて来て
夕暮れに
東京渡辺銀行が破綻しました
ニーナの歌も聞こえてきます
締まった詩に成る予感に
母の田圃も駄目に成ります
何処からでしょうか
原始人でしょうか
激 ....
眉間(みけん)に皺をよせあつめ
浅い吐息をくりかえす
卒寿となったお独りさん
時々刻々にながれゆく
素朴な四次元は渦のなか
気にこだわって うず ....
トッポギ
(突然六本木に行くこと。)
韓国のお餅ではない。
うっちゃり
(うっかりぽっちゃりしてしまうこと。)
相撲の決まり手ではない。
ネット用語はどんどん進化しているよ ....
足音は足跡から乖離する
帯びた意味を秘めたまま
けむりのように漠然と白い
地球を見上げる朝に
ちぎられた円環のビーズ
偶然が描いたあなたの星座を
子猫がシャッフルする
無邪気さと予感の熱 ....
裸の冬がくる
十二月の姿は、あられもない
わたしのからだは白くひらかれ
とめどなく上昇してゆく
まぶしい白さに混練され
細胞のように、奥千の分裂をなし
ひかりとともに微細な羽虫となる
白 ....
星の見えない夜が続いている
食欲を失くしたぼくは
あれやこれやとメニュウを探してみた
レアステーキでもなく
寿司でもなく
フレンチやイタリアンでも中華でもない
あぁ…
それだ!
ニンニ ....
あなたの小指に糸を巻きつけました
赤い色をした糸を
風にふるえて揺れている
その糸の先にわたしの小指
(ねえ きれいでしょう この世界は
心でしか見えないものがある)
ど ....
ハーネスを付けた老犬が
散歩している
ヨタヨタと…
仔犬の頃から
遊びあった犬
散歩中に私を見つけると
尻尾を回し飛びついてきたのだが
「マリリン」呼んでみる
近寄ってこない
....
わたしの愛しいお月さま
借り物の光で身を装いながら
あなたは女王のように天を渡って往く
わたしの愛しいお月さま
ちょっと見わからないが肌は荒れ
あっちもこっちも傷だらけ
わ ....
その川は病院の屋上にあった
男はゆっくりと川に入った
早暁の屋上には看護師はいなかった
監視カメラも男をとがめなかった
男の中で長年…
そう 半世紀ものあいだ
渡りきれな ....
渦を巻く心の中に
永遠の夢をみた
真夜中の空を観てみれば
それはあまりにも美しい
果てしないクロニクルは
金銀銅の煌めきを放ち
ぼくを魅了する
夢は永遠の嘘であったとしても
な ....
僕の部屋は詩と光で満たされ
君という音楽が遠くから流れてくる
部屋干しのジーンズがぶら下がり
台所には洗い物が山積みなんだ
愛用のマックもコーヒーやスナック菓子の砕片で
薄汚れてはい ....
けだるく湿っぽい梅雨どき
ねずみいろの空を取っ払って
エーゲ海の空をおもわせるほど
青いこころを呼び起こすものはない
ねむたくかびくさい梅雨どき
雑木林の ....
寄る辺のない心持で湖岸に一人立ち尽くす。
微妙な色彩で空に浮かぶ雲のように時間だけが過ぎ去ってゆく。
確かなものは目の前の現実だけというのはあまりに寂しい。
まるで見向きもされなくな ....
梅雨の隙間が薄日を誘い
湿っぽい四次元のけだるさを
いっときなだめすかしてくれる と
広場をめぐる木立ちからは
チッ チッ チッ と
....
もっともっと、
きみをかきたい。
もっともっと、
顔のちがうきみを。
きみはとてもうつくしいのに、
きまぐれで少し意地悪だ。
でもそんなきみに、
ぼくはずっと恋をしている。
き ....
かなしいがいっぱいになって
泣きだした
よくとおる声で
しゃくりあげ
虐たいではなく
とおり魔でもない
がんぜない
わがまま
しわのない顔をせいいっぱいゆがめ
大つぶの涙おしげもなく ....
フロントガラスの向こう
傘をさした女が滲んでいた
雨にうなだれる花のように
あれは昨日のことだろうか
瞬間の感覚の飽和を無限と呼ぶしかなかった
悲しい詩人の形見 憂鬱
古い壜のよう ....
次々に侵入浸透してくる音像、
粘つき交わったり飛び跳ねたり
それぞれが何ともランダムに
形象意味を打ち鳴らし波打ち
意識の内界に絹糸の言葉響かせ
凹み穿っては逃れ去っていく
豪放な震動 ....
あなたはいつも、
私の前を歩いていた。
私にはそれが、
とても誇らしかった。
はじめて出会ったのは、
高校の入学式。
女子校だった私たちは、
友達づくりに精を出した。
あなたは ....
あじさいが虚ろに白く弾けている
八重咲きの皐月の朽ちた先に
猛々しく百合の立ち誇る
結ばない実を体じゅうに埋めた女と女が
安らかな泥濘を探して
月夜 月夜 と鳴いている
愛犬が吠えたてるなか
東隣りからは
車庫シヤッターの上昇音が
西隣りからは
二階雨戸の開放音が
平和なかぜとひかりを包みこみ
梅雨 ....
その名は釈迦という
森羅万象に眼を奪われ
哀しみと美しさに
その眼差しを静かに落とす
彼は旅を続け
悲しみを喜びに変えて
今も我々を救済し続けている
彼は神や仏といった
遠い存 ....
行倒れの男のように
靴が片方 ぽっかり見上げている
我慢しきれず漏らしてしまう
重苦しい空はぽつりぽつり
悲哀をくすぐりながら
見定めていたはずの世界を沈め
アトランティス
瓶の蓋 ....
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