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どこから、どこまでが
いのちなのか
そんなの、訊ねられても
わかんないよね
ましてや、人生なんて
いつから、どこまでだなんて
微妙だからさ
わかんないよね
考えるのもアホらしくって ....
久々に友人宅を訪問することにしたが、手持ちは持たない
既に十一月の末で、もうすぐ今年の最終月、言ってみれば大嫌いな季節だ
冬なのか晩秋なのかさえはっきりせず、グダグダと薄ら寒い風が吹き
みぞれか ....
雨の雫が涙のように乾いた私の頬を伝う。
黒、もしくは赤の色彩の中に、そう、それは夜だ。
魅惑的な静まりの中でガラスの心を持つ者は
人知れず暗闇に安堵し、一時の安らぎを得るのだ。
....
ふと
遠くはなれてしまった人の姿が
無造作に表れてくる
胸の底が熱くなり
息が気にかかる
この頃は生きていることに感謝もしなくなり
死んだように生きている実感もわかない
た ....
明かりの少し落ちた町で暮らしていたとき
身近にいる友だちと会うことがなにより恐ろしかった
だからこの街に引っ越してきたときに思った
あの人もあの人も果ては両親さえももう誰もいないのだと
....
白馬の群れ、
輝雲の底から放たれた
一気に、黙響 響黙響
輝雲乗り越え今頃彼ら、
凍り澄んだ青白い気層通り抜け
神性宙宇の荒ぶる静かな僕と化す
油蝉、歩道真ん中で仰向けに
六本の足を交差させ絡ませて
己の運命、知りつつ逝く のか
〇
油蝉、歩道真ん中で仰向けに
足を弱々しく蠢めかせて
己の運命、受け容れ逝く のか
〇
....
「食べる」
早朝から釣りに行った夫が、すずきを一匹釣ってきた。
君は大喜びして、おさかな、おさかな、と言った。
水面をパシャパシャとのたうち回った姿はまだ想像できないかもしれない ....
息のなかに混じるもの
糸 粉 影 色
羽 羽 羽 羽
内に境に積もるもの
文字と文字が近づくと
青い光が現われる
水の底から
見つめる花びら
見張られて ....
けだものに引きずられ
遠くも近くもないところへゆく
何かを諦めたような
朝と目が合う
布に覆われた空がぼそぼそとたなびき
まなじりは冷たく足は軽い
虫はおらず ....
ミンミン蝉の鳴き声がすぐ間近から聴こえる
用水路沿いの遊歩道左脇の樹木からだ
僕がその樹木に近付くのとほぼ同時にその蝉は鳴き始めた
樹木脇をそのまま通り過ぎようとして僕はふと足を止めた
余りに ....
【百合】
昨夜の薪が
まだ ほんのわずか ちろちろと している
寝る前に見た 夜光虫のまたたきと
星々とのまたたきとの
違いがわからなくなくなってしまった
ほんとう ....
朝起きる。
新聞配達のバイクがハーモニィを奏でて
ポストに投げ込まれる
合図はわたしをきちんとコーヒーへと導く。
隣でしっかり布団に収まる夫に
声をかけるとううーんとうめいて夢に戻ってしまっ ....
夜陰の太陽、遂に昇った
裏回廊走り回る鼠どもを散逸ちらす
夜陰の太陽、生命の冠
清濁併せのみ恒星を射る
分かっていたぞ、この時来るのを
天上は界の楽音、賑わしく
この夏やけにポシャりつ ....
遠くまでやって来た
この街に住み着いて
しばらく経つのに
こうして普通に暮らしているのに
いつまで異邦人なのだろう
思えば普通が一番遠い
わたしの笑いはだれかの笑いでは
どうもないらしい ....
物事はゆっくりと変化し続け
ふと気づいてみると以前とは違った自分がいる
いつか不毛の季節は終わりを告げて
また新しい子供の眼で世界に逢いに行こう
昨日の彷徨いの庭に朝の陽光がさすひと時 ....
いつもあなたの声は落ち着いて
仄かに微笑み受話器越し、
[大丈夫よ、お互い、しっかりと]
その響き一言で
混沌苦痛に呻くこの僕が
どれだけ救われるか、解かるかい?
僕は既に響きの世 ....
富士、五時、お鉢巡り
眼下雲間に河口湖の透いて浮き
遥か彼方に穂高連峰の白銀に輝く
わたしは思わず世界に手を振り
この地球に生まれ来たことの現実
圧倒され、只々圧倒された二十歳の時
....
いま歌っているのだろうか心から
誰かに伝える努力をしているだろうか
僕はソングライターではなかったのだろうか
きちんと生きているだろうか
きちんと本を読んでいるのだろうか
ドラッ ....
温雨
雨に洗われた
針葉樹の隙間から顔を出し
ヒヨドリは不思議そうに首を傾げる
蟻の休日
うつろな目をした夏
一緒くた
....
お前の喉を
つぶしたとしても
お前は
口をぱくぱくさして
なんか
言うんだろ
それを
誰かが
解読してくれんのを
ぼんやりして
待ってんだろ
からだが
....
ほんっとバカだったよな
羨ましいくらい自由で
でもなにかを抱えてて
時おり寂しい一面を覗かせてた
そういうところに弱かったんだ
遊んでいるようにみせて
誰より努力してて気づかせなくて
....
幼い頃に頭を撫でてくれた手のひらたちは
引っ繰り返され
彼女を叩たり、指さした
(公園で、一人、少女が濡れている)
常識の文字を見つけると丁寧に赤丸で囲みながら
恐る恐る ....
ベランダを覆いつくすケヤキの枝に
キジバトの巣がある
朝六時
キジバトの鳴き声で眼が醒める
ジュウイチジニキテクダサイ
ジュウイチジニキテクダサイ
十一時に?
どこへ?
夢 ....
猫背になって
かなしんでいる間にも
朝顔はぽっかり藍色に咲いていた
ああ
にんげんやめちゃいたいよ
胸に
おそろしいほどすきとおった何かが
じぐざぐ刺さって
なみだがぼろぼろ落ちるけど ....
古いガラスのように蒼ざめて鳴り響く
――あれは なに?
掌の海から跳ねる両目を失くした魚
それは
テノヒラ 温かすぎる子供のテノヒラで
....
夏になると
私の中の情熱が少年のかたちになって
駆け出す
迸る光と熱のただ中へと
緑かがやく丘の上で
積乱雲の巨塔を見あげ
四方から降りそそぐ蝉の声を
またそれらがふと止んだときの静 ....
万年筆の血液が乾いてしまったようだ
無理もない
数年うっかりと放っておいたのだから
いちにち、はとても長いくせに
すうねん、は
あっという間に感じるのはなぜだろう
風、が通り過ぎていく
....
涙をミルク瓶につめると海に流れる
浮くとか浮かないとかは
もんだいではない
夜の水面にぴか、るような愛なのか
恋なのか杞憂なのか
わたしの、恋情などほうっておいて
ロシアの夜空 ....
草葉に風の足音
夏の光の深い底で焼かれる虫たち
夜に置き忘れられた
艶やかな目に乾いた夢が映り込む
生と死の歯車が柔らかく噛み合って
素早く回転する
濃厚で豊満な匂 ....
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