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穏やかに白く
少しだけ痩せた面持ちで
たなびく蒼い雲よりはるか
高くに在って潤むもの
この想い捉えて放さず
冬枯れた枝のすがる指先逃れ
軌跡すら残さずに
やわらかな光秘め沈黙の
あらゆ ....
冬の遅い日の出に染められた雲
青白い夢間の悲しみに落ちた火種
見上げても見上げてもただ冷たく
網膜に暗い紫の影を落としては
眼孔から骨の隅々まで音叉のように
十二月の痺れを伝えるだけ

 ....
口紅をつけた
自分のか誰のかわからない血の赤
すると足元が浮ついて
堕ちた天使のよう爪先で滑るから
慎ましく知的 胸元に
悶えに悶えた腹を割いて取り出した
真珠ひとつ
それでも世界は殺風 ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
胸の芯がゆるゆる融けて
濁った冷たさと澄んだ熱いものが
混じり合えず争っていた
揺れる 琴線の 綱渡り
まばたきばかりが早足で
なみなみと杯は晴天を仰ぐ
降らぬ雨を数えてか
真昼の螢を追 ....
手稲山の頂辺りに白いものが見える
――書置き 今朝早く来て行ったのだ
見つめる瞳に来るべき冬が映り込む
雲間の薄青い空
氷水に浸した剃刀をそっと置かれたみたいに
張り詰めて でもどこか 痺れ ....
今日がその日なら
     靴はそろえて

笑い顔で笑い泣き顔で泣く人の
歯に挟まった敗者の長い髪の毛を
結びつけた中身のない御守り袋が
まだ乾かない粘土の心臓をまさぐる赤ん坊の手だ
無 ....
アフリカの仮面の下で夜が流れていた
どぶ川で切った足から火の霊が入ると
真っ赤なオタマジャクシが身動きできないほど
か細い血管を遡り小さな手足を生やして泡立った
新月と時計の針が向かい合う
 ....
煽り煽られ踊る火に
鳴りやまぬ枯木林の
奥の奥
紅蓮の幕は重なり揺れて
熾の{ルビ褥=しとね}はとろけてかたい
静かに 微かに 
波打つ青い心臓のよう
円くなって まどろむ
火蜥蜴は涼 ....
骨から 時は 流れ
燃えるように 影もなく
匂いはないが 音はして
もの皆しめし合わせたように
口をつぐむ
秒針だけが雄弁な代行人を装った
あの 内耳に包まれる かつて
なにかの一部だっ ....
最初とりとめもなく
かわいた歩道にうずくまる影を
そっと押さえただけ
絵本の中の魚を捉えた
子猫の白い前足のように
半眼で
光の粒の粗い朝だった

明けきらぬ森の外れ
木漏れる光にふ ....
夕日が朝日へ生まれ変わるように
死は生と生のはざまの休息だった

あと少し もう少し
満ち足りて安らかに

しなやかで純粋な生の欲求
飼いならされて往くプロセスで

ただ月や星の光が ....
{引用=*小樽カントリークラブ}

空は灰 まだらに吠え
泥めく海 見渡すかぎりの獣
分厚い風を羽織り
霧雨でぬれた頬
それでもゴルフ
おそらく
たぶん
見るからに
上手くはない老 ....
この糸のほつれをそっと咥えて
赤錆びた握り鋏はその蓮の手の中――
信仰と諦念の{ルビ臺=うてな}に眠る 享年「  」


景色の皮膚を剥がした 
耳は遠く
階段を上り下る 
橙色の帽子 ....
  ――水脈を捉え ひとつの
薬湯のように甘く
 饐えて 人臭い
       廃物の精液  
            輸入された
どれだけ銭を洗っても
どれだけ子を流しても
      ....
{引用=どうかあなたという揺るぎない現実に対して
絵空事のような恋情を描くわたしを許して下さい
これらの時代錯誤で大げさな言い回しは
詩人気取りの馬鹿な田舎者がそれでも言葉だけ
精一杯めかし込 ....
すでに起きたのか 
これから起きることか
おまえの吐息 ひとつの形のない果実は
始まりと終わりを霧に包み
不意に揺れ 乱れても 損なわれることのない
水面の月の冷たさへ
わたしの内耳を し ....
雨の幕間に耳目を伏して
乾いた水脈を手繰るように


生命の中核へ
堅い樹皮を穿つように
かつて滾り迸ったもの
跡形もなく
洞に ただ
ぬるく饐えた匂い


記憶――暗愚な夜
 ....
コーヒーをかき混ぜるとスプーンが何かに触れた
すくい上げると 懐かしい腕時計
そっと指でつまんで 見る――当然死んでいると思ったが


――蘇生するような
        秒針の震え!
 ....
 残雪に
     鴉

   なにかを咥えて木の間に消え た

 黒々と濡れた道の上
枯れ枝のような足を引きずる音がする
淡く暈した{ルビ空=から}の{ルビ天=そら}

惜しまず捨 ....
――ミルカ ヌカルミ

そんな回文が虻のように掠めた時
女のなにくわぬ横顔は真新しい日記帳で 
天道虫だけが慌てて這いまわっていた
とても大切なものを落としてしまい
それがなにかも思い出せ ....
あの陽だまりに置き忘れられた深い裂け目
おれの胃袋はもう紫色の朝へ停泊していた
窓から女が見えた裸のまま
微笑んでいた カメラの前みたいに
ブラインドが降りるまでの一瞬だった
おれはその一瞬 ....
シニイタル(裸の王様の)純白の衣は光を撥ねる
飛沫は激しく辺りに散って眼球も例外ではない
橋は静かに燃えている 赤い闇が河のような朝
盲目に見知らぬ鳥のタクトだけが縄梯子として風に揺蕩い
「握 ....
大きな箱だった
膝を抱えてすっぽり隠れられるほど
そんな立方体を展開図にして
悲しみの正体や理由
いちいち解説してくれるけど

「まったくなぐさめにならない」 そう言うと

 《なぐさ ....
一枚の写真が燃えている
黒い鉄の花びらの上
ひらめく炎をその身にまとい
そりかえる
水蒸気と煤があいまって
白くにごった煙とともに
封じられた時間も漏れ出して 
霧散する
平面の中の奥 ....
原初のひとしずく
ささやきのように生まれ
岩肌の乳房
地衣類の産着
山あいを渡る風も目覚めさせないように
産毛を揺らす
静かな吐息
うつらうつら
千々のひかりにあやされながら
死への ....
意図は回りを濡らしてしまう
意味へと上手く収まり切れず

ことばは未満の盃
発しては 少しだけ 欺かれ

揺るがないものを前に
自らの揺らぎに幻惑されるのか

受けとめては傾ける 刹 ....
毛虫の襟巻をした男が蝸牛の殻に腰をかけている
鼻にツンとくる冷気
上着の内ポケットを弄って
煙草――かと思えば
むかし別れた恋人の
薬指の骨ひとつ
飴色の思い出を
こころなしやさしく
 ....
真冬の朝
道を歩いていると
飛べなくなった小鳥を目にすることがある
数年に一度
いつも忘れた頃だ
そっと捕まえ
コートの内ポケットへ忍ばせる
少しおくと
飛べるようになって
やわらか ....
冬の光に抱かれて
こくり と 眠るように
夢の浅瀬を渡るように

用事はすっかり忘れ
身ひとつ
見知らぬ風景
懐かしい街を往くかのように

身を切る冷たさ
かじかむこころ魅かれるま ....
レモンさんのただのみきやさんおすすめリスト(118)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
大晦日の空に- ただのみ ...自由詩17*17-12-31
時間外- ただのみ ...自由詩6*17-12-24
太陽は病んでいる- ただのみ ...自由詩5*17-12-2
嘘の種- ただのみ ...自由詩14*17-11-15
耐え切れず- ただのみ ...自由詩6*17-10-28
白髪の朝- ただのみ ...自由詩14*17-10-18
今日がその日なら- ただのみ ...自由詩7*17-10-11
アフリカの仮面の下で- ただのみ ...自由詩9*17-9-30
サラマンダー- ただのみ ...自由詩15*17-9-27
- ただのみ ...自由詩4*17-9-9
半眼- ただのみ ...自由詩8*17-8-19
混血神話- ただのみ ...自由詩4*17-7-12
海辺のカソカ- ただのみ ...自由詩7*17-7-1
秘密のラッコ隊- ただのみ ...自由詩9*17-6-28
世代論- ただのみ ...自由詩16*17-6-21
ミューズへの恋文- ただのみ ...自由詩9*17-6-10
濡れた火の喪失- ただのみ ...自由詩18*17-5-3
ガラパゴスの雨- ただのみ ...自由詩7*17-4-19
春と詩はよく似た病と嘯いて- ただのみ ...自由詩11*17-4-8
残雪に鴉- ただのみ ...自由詩14*17-3-29
淡水系- ただのみ ...自由詩12*17-3-23
ビショップ- ただのみ ...自由詩15*17-3-15
詩絵- ただのみ ...自由詩7*17-3-11
悲しみの展開図- ただのみ ...自由詩18*17-3-1
炎の遊戯- ただのみ ...自由詩15*17-2-11
小川- ただのみ ...自由詩16*17-2-8
返盃- ただのみ ...自由詩18*17-2-5
吟遊詩人- ただのみ ...自由詩10*17-2-1
いのちさめる- ただのみ ...自由詩15+*17-1-28
ヌード- ただのみ ...自由詩13*17-1-4

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