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いやらしい小雨降るなか
この集合住宅 ひと部屋ひと部屋の
チャイムを鳴らす配達員さん
今日ばかりはポストが
口をつぐんで 退屈そう
大変ですね、おれの
気遣いのような 他人事のセリフに ....
あなたが水草だった頃
わたしは産まれた
あなたは水草の味がした
ここにつどうすべてのいのちは
いのちをきょうゆうしている
だから
それをざんこくなどとおもわないでおくれ
あなたは ....
あの街角にひっそりと立って
待ち合わせの標となっている一体の彫像
あれはむき出しになった街の神経だ
その敏感な裸体をさらしながら
人々の眼差しに貫かれ
あまつさえ人々にじかに触れられ ....
東京をサンダル履きで駈けたい
朝ごはんといえば
アジの開き、納豆に玉子、焼き海苔、葱とワカメの味噌汁がいい
トーストとベーコンエッグとコールスローサラダに珈琲がいい
出汁の効いた立ち食いの天玉蕎麦も捨てがたい ....
鳥になれ
大空を
はばたいて
往く空の果てまで
ぼくは見つめているから
やがて銀の龍になってくれ
君の瞳に映った世界を見せてほしい
いつかきっと
憧れの地を目指し
長い旅に出たはずだった
針葉樹林が空を突き刺し
波頭が眠たげにまばたいて
気球に乗った少年が
スローモーションで手を振っていた
漂う筏に寝そべって
分厚い書物を読み ....
今朝はやけにすずめが気にかかる
あまり明るくない雨上がりの湿った土の上を
ちいさくなにかついばんで
むくっとしたり首をかしげたり
尾羽を振ったりして
手のひらにすっぽり収まりそうなすずめが ....
彼女の名前は、林檎といった
日がのぼり 日が沈んで どんなときも
心に 一つの凛した樹、それが林檎だった
パオバブの木は 特別な木ではなく
桜の木は 花見のときだけが桜ではない ....
今に遺伝子を残しているBは
ぼくと何時までも旋律をコラボしている
何の縁かは誰も知らない
天と地獄の門番は角を立てて
ぼくらを威嚇する
手をつないだぼくたちは
その鬼を退治した
....
古代の水を湛えた深淵から
龍が雷鳴を唸なり
天を目指す
人々は飢え
慈雨を求めている
ヤマタノオロチを恐れても
人は龍を求めていた
巨大な対象に敬意をはらい
神をも創造した人々 ....
大相撲中継を観ながら
不思議に思った
男なのに
何で乳首が在るのだろう
クロダイは幼魚の頃は
雄で
成長すると雌になる
性転換をするのだ
その名残りなのか…
人間もかなり原始 ....
生真面目マジマジ子
神経質なマジ マジ子
私はマジ子
少し疲れたマジマジ子
生真面目に合わない世の中を
怒って泣いて消化する
怒って泣いてを繰り返し
今に至るマジ マジ子 ....
晩秋の公園の紅葉は
ひとひらふたひらと
夕暮れ蝙蝠のように
ひらひら舞いながら
砂の公園に舞い散る
死語となった落葉焚
子供たちが瞳を落す
僕は子供らに頬笑み
焼き芋でも作ろうか
子 ....
新聞の死亡欄に小さく載りたい
葬儀の予定など一切無しで
ほんの数えるほどの文字
ひとつの死 ひとつの終わり
シンプルで飾りのない
わたしの死 わたしの終わり
事実だけが落ちている
....
予想を遥かに上回り
伸び過ぎて
手に負えないほど
細い支柱に幾重にも絡まった蔓を
所々自分で縛った紐をほどきながら
根気よくはずしていった
はじめは
知恵の輪をはずすようで
楽しか ....
アフリカ鍋には
キリンさんの首と頭がまるごと入っている
そういうと、
動物愛護協会から
クレームが来るかもしれない
キリンさんも可哀そうだが、
それならなんで戦争がなくならないんだ
....
ボヘミアの森深く
小人たちが踊る饗宴
小麦の薫るパン
燻したソウセージ
キノコのスープ
厚切りのハムステーキ
クリームシチュウ
ドングリのクッキー
いつまでも終わらない
....
夢は遥かに銀河をこえてゆく
ぼくというとても小さな存在の瞳から
こぼれる涙
流れて
流れて
やがては天の川になるのだろうか
白い星
青い星
紅い星
黄色星
緑の星
黒 ....
深井戸を掘り水脈を探り当て
始原の意味を飲み干そうとする
ひそかにかくしもっている消しゴムで
日々の痕跡を抹消してゆく
整理できないものを片付けてゆく生活
アクチュアルな墜落が気持良 ....
1万円以下のママチャリ
きしむけど
安っぽいコンクリートの上なら
十分だから
4分そこらでスーパーへ到着
一番安い鶏胸肉
今日のおかずに買って帰る
ママチャリのカゴへイン
ママチャリ
....
過疎化が進むと
大型連休時には
BIGドーナツが 形成されるらしい
まことしやかに噂された
コンクリート・ジャングル
隙間風に 項垂れながら
歩く 人影も
まばらになった
....
それは普通の文庫本
短い外国の話しがたくさん綴られていて
あまりよくわからないのだけれど
親しげな笑み
お話しが終わる頃には眠たくて
眠たくてうっすらあける瞼
文庫本のページをめくるたびに ....
いつだったか私の境目に幸せの文字が消えていた
探しもしないまま周りだけ時間が経ち 取り残されている私
孤独なのは破滅だけではないけどなぜか
空を見上げてさみしさを紛らわして遊んだのは 満月の夜
....
あなたは無意味なままでいい
僕と同じように
意味不明で正体不明で
呼び名は他人に任せよう
風車を作ったり
壁を築いたりすることにも
僕らは全く以って気を使わなくていい
ただ吹く風でい ....
魂の丸い玉をぼくは割ってしまった
どうしよう
どうしよう…
どうにもならない
取り返しのつかないことをしてしまった
白い
白い
満まるな玉だった
おかあさん
おとうさん
....
冷たい夜に
悲しい言葉が一つ
私の身に落ちて
もう途方に暮れる
気分でありました
静かな街に覆われて
1人彷徨っていた
午前2時のことでありました
憂いの言葉は
具現化す ....
街がジオラマに見えるのは、音もなく電車が走っていくからだわ
遠くの雲が雷鳴しているのをわたしは歓声をあげてみていた
駐輪場に折り重なったそれぞれの帰り道は
街灯が濡れ始めたときにどこまで辿り着け ....
観覧車がまわっていた
あかしろきいろが楽しそうにまわっていた
君が乗りたいっていうから
僕らは観覧車乗り場にやってきた
500円札を2枚つまんで受付に渡した
目の前にあかいゴンドラがやっ ....
壊れちまった両手が蜉蝣の月掴もうとしている
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