すべてのおすすめ
ひと息ついて
何を飲もうかな と思った時に
いつもの紅茶のティーバッグが手を挙げた
だから紅茶にした
そういうふうに私は
一人暮らしをやりくりしている
風を聴く日は多く
大きな声では言え ....
詩人の魂は宙を漂う
世界の響きを繊細に読み取り
心の琴線の僅かな震えを感じ取る
言の葉の海に身も心も投じ
狂おしく悶え苦しむ
時に歓喜の旋律を奏で
時に絶望の闇の淵 ....
「眠り猫」
眠りたかった
眠り猫のようにまるくなって
幸せな眠りの世界に入りたかった
好きだった
すべてを合わせても足りないぐらい
そのぶん言葉にできなかった
「猫の眼」 ....
世界のどこかで
猫が丸まって眠っている
その背中を撫でてみたとき
自分が誰かわかる気がする
どうしてあんなに
夕焼けが燃えていただろう
どうしてあのとき
泣いたりはしなかったろう
レモ ....
等速運動をつづけているうちに鳥は羽根をもがれて
上腕二頭筋と三頭筋間のしがらみに別れをつげる
慣れない歌をうたいつづけて喉が嗄れたよるは
冷蔵庫のかたちをした夢をみる
B♭ないちにちの ....
太陽の匂いが漂うんです
懐かしいあの土手沿いの道の一画に
両手から
はみだしてしまう大きさの
おおきな亀裂のあるトマト
とうさんが ....
きえねばならない思いをかかえて
心の溝を覗くとき
淵に足をすくわれそうな闇を前にして
問うてみる
闇は誰のため
誰の物でもない
とてつもなく広がる
だれそれのたそが ....
その日の朝はうすくかなしい匂いがしていた
すがすがしいの意味を考えていた
不安なような
もはや何もかもどうでもいいような
けれど水を飲まなければいけない気がして
うすぐらいキッチンで ....
流星群は遥かな時の大河へと降り注ぎ
銀河の魚は朝の食事の最中だ
僕の骨は白く乾いた砂に埋もれて
グレープフルーツムーンはたわわな君の胸のよう
僕はたぶん前より人との距離の置き方が上手く ....
まどろみのなか
昭和の夏を漂っていた
モノクロの日差しを浴び
切り取られたジブリ映画の中を
由美かおるが微笑んでいる
蝉しぐれが騒がしく
少年のランニングシャツの白がまぶしい
海で泳 ....
何の留保もためらいもなく
故郷の風光は私を厳粛に迎える
故郷の振り撒く花粉を
身体の至るところで受粉して
私は故郷と賑やかに斉唱する
人が生きていく循環において
亀裂のように打ち込まれる物 ....
僕は継ぎはぎのコラージュ
君は端切れで出来たパッチワーク
お似合いのカップルだと思うのだがどうだろう
僕は季節外れの風車
君は糸を忘れた糸車
似た者同士のような気もするのだが
もう ....
梅雨の隙間のヘドロから
カルマがしみでる
にじみでる
そのとき 救急車のサイレンが
渦をまいて
たちのぼる
....
海岸線に沿った国道を二人歩いた
何処まで続くのかおれは知らず
お前が指さす方向を
トボトボと歩いた
波濤に向かい立つ釣り人の釣果は
50㎝ほどの石鯛だった
豪勢な食卓を飾るだろう
....
むせ返る 土曜日の落日前
街なかの みすぼらしい
原っぱでは 飽きもせず
黄ない喊声が渦まいている
なんで そんなに
....
日付けようのない、濡れた手紙でも
生きていれば、きちんとした
差し出し方を思い出せるという意味の
薄さ
わたしの指の腹で縁どられた
限りない不透明(のりしろ)
できあいの
夏の日の明 ....
ママは戦火の中で僕を生んだ
戦闘機の轟音が子守唄だった
気がつけばママは居なかった
僕は人殺しの道具で遊び
何時もお腹をすかしてた
僕等は戦争しか知らない子供達さ
平和なんて言葉も意味 ....
熱の青だ、光の熱だ、太陽の爆発だ!
何という日だろう
用水路沿いの緑、生い茂り
艶やかてらてら
木漏れ陽、歩道の日陰に
懐かしい余韻ゆらゆら
揚羽蝶、不意に眼前を
華麗に舞い飛 ....
見慣れないスカーフを胸に
少女になり
出て行こう
テーブルの上には、昨日までの私への さようなら
きっかけは
太陽と星とがイーブンなのよ
テニスの試合でいうなら いままさに
ラブ ....
痩せては
枯れて
やがてはブラックホールに
呑み込まれてゆく
そしてパラレルワールドに生まれ変わり
前世の因果を背負い
戸惑い
流れてゆく
せめて
川面を埋め尽くす
花筏に ....
四丁目の角で組頭のライオンが吠えていたので
ゴリラの警察官に通報し
池袋で親友の牛さんと焼き肉を食べた後
キリンの娘と買い物をしてぶらぶらした
蟻の介護士にお袋の面倒を見てもらい
鯨の同僚と ....
顔の無い自分の顔の部分について考えている
なぜか?
非常識だからだ
洋服を着たからだだけが
ぺたんこになって地上に映し出されていた
これからもわたしたちは
なんとかマップにマッピングされて ....
ある朝
ヒナのために批評している
ツバメの雛が巣から落ちたのだ
百均の店員の
みなでしつらえた
段ボール製ヒナ落下防止板の設置位置について
ヒヒョウしている
作業が遅れ
巣からな ....
路上生活者のように毎日が過ぎてゆく
ランボーのように地獄の季節も創出できず
安吾のようにデカダンに遊ぶ余裕も無く
冷たい缶ビールで無聊を凌ぐ
僕の故郷であるペンギン村では
あられちゃんが ....
おかあさん、あなたのいない夏がまた来たよ
そうしていま選挙の時期です
口癖のように歌のように
あなたはいつも
社会貢献できてわたしの人生は幸せよ。
そう、甘ったるく高い声で
誰にも有無を言 ....
なにも期待しない
絶望も希望も過ぎてしまった
只、人々を この界を愛している
君のそろえた手のひらのくぼみに湖が
あるなら
ちょうど夜が明けて霧も晴れてきて
青い山々がすっかり見えるだろう
僕は湖畔に寝そべって
君に捧げる歌を作る
君がふっと息を吹きかけるだけで ....
丘ひだの わがやに
もう雀のさえずりが
まったくきけなくなって
しののめの窓辺に
明るみがさしたとき
指先で目やにをぬぐって ....
絶望とはこんな味だったか
初めて知ったくらやみの味は
どこかへ行ってしまった
私の絶望には
孤独の軽やかさと
哀しみという甘さが
もはや混じりあってしまったのだ
月日という火のもと
こ ....
突っ伏してしまうほどに
ただ文字が書きたくて
篭めるほどの思いもないくせに
ただ文字が書きたくて
伝えたい気持ちもなく
共感を得たいとも思わず
言葉を飾り立てることもなく
汚物に塗れた血 ....
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