すべてのおすすめ
私たちは確かに同時代に並べられただけの
安直な食器に すぎなかったかもしれない

たった二人しかいない母と子が 流し台に溜めたお椀や皿や鍋は
この家にいた六人分の家族のすべてを洗い桶に入れても ....
肉体の、
肉体の檻が邪魔だ
空間をよぎって その声は
いつも私を焦らせる

部屋を暗くして闇にうずくまる
部屋の心音と私の動悸が重なって
あらゆる、存在に理由を付けたがる私の思考が
膨 ....
母が母でなくなる時 母の手はふるえる
乗り合わせのバスは無言劇
親切だったおばさんは 母の乗車後には夢になる
向かう先はお山の真上の病院で薬をもらえば
また手が ふるえる、ふるえる、大量の薬を ....
(心)はいつも正しかったのに (心)に一番遠いのは私だった
(心)は全てのものを正しい名前で呼べたし書いてみせたのに、
自分の名前は 知らなかった
(心)は正しいことが大好きで(心)の法則 ....
昭和という小さな家族の乗り合わせ
不思議で不可欠な力が運転していく昭和バス
十才半ば、私の春
道路工事の終わった平成通に差し掛かると
祖父の姿は消えていた
草履では歩きにくくなった、と呟いて ....
母のことを思う
始発のプラットフォームに立つ時は いつも母に一番近づく
故郷を離れてダウンロードした新曲が 終わらないうちに
新幹線の窓の田畑や山の緑は速度に燃やされ
灰色の街が 繰り ....
それは恋文でしたか
長く綴られた美しい文字でも
過去形になると
住所も名前も内容も
要らなくなってしまうのですね

中古屋で買ったシュレッダーに
「アパート」という文字を半分消されて
 ....
西日の射す部屋で
裾に黒い炭を付けたレースカーテン
輝きながら汚されていくことを思う

私は寂しい
ベッドの位置から進むことも退くこともできず
手のひらに収まる程の空気の厚みにす ....
声でなく君の姿が欲しい日に空の十五夜指で突き刺す

ギター弾くピアノも奏でるその指が昨日を歌う夜の顔して

約束の指切りよりも正直な顔をしてると指差すあなた

その指が何本あるか数えてない ....
先祖代々の墓石の隙間を潜って 緑の節目が
石塔の地下から 企みを生やす

萎れたシキビや花筒の中で息絶えた小菊を
嘲笑うかのように石塔の狭間を一本の青竹が
墓場の敷地すら貫き
天 ....
幼い頃に頭を撫でてくれた手のひらたちは
引っ繰り返され 
彼女を叩たり、指さした

(公園で、一人、少女が濡れている)

常識の文字を見つけると丁寧に赤丸で囲みながら
恐る恐る ....
{引用=ぼくの記憶の螺旋の、森
その先に蔦の茂った廃屋がある
寂れた椅子に 小雨が降りつづけ、
緑は天を刺す、あるいは、地に従属する
苔生した兵士たちは歩みを止めることもなく
繁茂 ....
{引用=ゆれる、ゆれ、たちあがる、あわい、影に、
くるまれた、ままの、「わたし」の、身体は
ゆびさき、から受粉して 髪は緑にながれる

血が赤いという現実を、見捨てて、
血が赤かった ....
トイレで赤い卵を流したあと冷蔵庫から野菜ジュースを取り出そうとして
玉子を床に二つ落として割れてしまった。かろうじて玉子の形をとどめた
まま中身は放り出されなかったので、フライパンで割れた玉子を溶 ....
(ソンナコト、イウ、ミサチャン、ナンカ、キライ。
ふたりは同じ薄ピンクのフレアースカートとツインテールの幼稚園児
ミサに、少女は拒絶の言葉を投げつける、と
ミサは酷く優しい顔をして、とて ....
ビニールテントのテラスから遮断された人と人
店の中でこじれる男女の恋愛騒動が綺麗に片付くころ
会社のやり方が気に入らない中間管理職同士のマグカップは 
同じ濃さの苦さで話をかき混ぜ 飲み干すこと ....
言葉が厚いナイロンシートの
壁にぶつかって流線形に歪む
喋るのは得意ですが独りです
世界は四角く私たちは丸いと
思っていたのに傾いた地軸に
逆らえない街の人と通じない
回転しなが ....
子供をたくさん産んだ 女友達
男を連れた 同級生
女が皆で ぼくの、ママになりたがる
   オマエハ、デキノ、ワルイ、コ、ダカラ
   (だったら、見なきゃいいのに
   オマエハ ....
吸殻だけが散らばった 歩道の隅に
吸殻だけになった女がひとり 見上げる男の影
さっきまで私をその口で 必要としてくれた人

炎のような熱さで 私を吸収して
求められるままに私は あか ....
小さな町は大きな街に憧れて 
いつも大きな街の姿をテレビで見ていた

小さな町は大きな街が大好きだったけど
大きな街に行くと自分がいかに 
小さな町であるか知ってしまうことを恐れて  ....
何も持たなかったはずなのに 多分荷物は重くて
何を詰め込んだかわからないのに 大切で
手放せないまま 逃げるように出てきた都会

何をしたかったのか 私の頭の標識は
真っ白に作り上げ ....
レモンさんの為平 澪さんおすすめリスト(21)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
年末の流し台- 為平 澪自由詩3*18-1-2
家出娘- 為平 澪自由詩917-12-2
ふるえる手- 為平 澪自由詩917-11-19
こころ- 為平 澪自由詩317-8-15
昭和バス- 為平 澪自由詩617-6-17
し、についての考察- 為平 澪自由詩617-3-23
シュレッダー- 為平 澪自由詩1116-11-22
鍵のかかる部屋- 為平 澪自由詩816-10-5
- 為平 澪短歌416-9-17
竹花- 為平 澪自由詩9*16-9-17
ブロンズ少女- 為平 澪自由詩516-7-25
夢の位置- 為平 澪自由詩416-6-5
五月病- 為平 澪自由詩616-4-24
黒い手袋- 為平 澪自由詩1116-2-15
魔女- 為平 澪自由詩7*16-2-9
都女- 為平 澪自由詩10*16-2-1
揺らぐ街- 為平 澪自由詩1516-1-24
マザー・ファッカー- 為平 澪自由詩10*16-1-1
吸殻- 為平 澪自由詩1315-12-22
狼煙- 為平 澪自由詩11*15-11-30
天秤- 為平 澪自由詩12*15-11-27

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する