窓がとぶ
屋根がとぶ
全裸のマネキンが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる
傘がとぶ
帽子がとぶ
純白のパンティーが宙をとぶ
狂った風が吹きやがる
笑いやがれ、
笑いやがれ、
笑 ....
多分、初めて思う
病院で、見た景色
残された、老人の
心の景色
隣り合う、夫婦
齢を重ねた、二人
刺身とケーキと、記憶
そこにあった、幸せ
消失
心が壊れ ....
温められた皿が食卓に置かれている
「私を彩って。そして汚して…。」と
上気した白さで語りかけてくる
アンティパストでは物足りないと言いたげな光沢で
ゆるやかなフォルムの輪郭を際立たせている
....
突然クリスマス
激しくノックするのは恐らくサンタ
真っ赤に染まったのぞき窓
ニンニクの束と十字架をにぎりしめ
意を決し 開けた扉のむこうに彼の姿は無く
ドアノブにレジ袋
中にはリボ ....
きっと傷ついていられるのはまだ甘えていられるせいだ
ぼくは日記のような詩を書いた
それは語彙のない句読点のない作文でもなく詩でもないメモだった
研ぎ澄まされてはいないから宇宙には届くわけもなくて ....
箸に陰部(ほと)を貫かれ
哀れそのまま亡くなった
倭迹迹日百襲姫尊命※
(やまとととひももそひめのみこと)
三輪山大物主神の妻
大和の護神は
出雲の神
大国主の和魂(にぎたま)で
....
冬にひとりだけ生き残った蚊のように
殺がれていった私の身体に
悲鳴は一瞬で消えてしまい
なだらかな夕日が
両の眼で揺れる
ヒステリックに哀しみをぶちまけ
涙を流さず嗚咽だけを漏らし
....
(た)
たがめが
たまに
たんぼにいる
たがめがいるなと
おもっている
ひとの
ごせんぞさまとも
しらないで
しんだあとの
ひとのすがたとも
しらない ....
すれちがったトラックには
零れるほどのいのちが
ひしめいていた
通勤車両ではこばれる
ひとみたいに
いっせいに体をゆらしていた
くろい体毛
くろい顔
....
僕は白い光に守られた戦士
守るべきものはないが
守りたいものはある
理不尽な怪獣なんか
光の刃で一撃さ
地震
カミナリ
火事
おやじ
どんな奴にも負けないぜ
白い光 ....
十二月の今宵、それは生まれる
光りを放つ発光体さながら
何かの対価としてではなく
忘れていたすべてを思い出させる核のようなものとして
すでに街は、待ちわびる螺旋の中心を軸に動き始め
....
規定
十年後の自分への詩、または散文、手紙である事
誹謗中傷をしない事
参加概要または参加と分かる記載をする事。
※アピールしたい時は、十年後の自分へ、の文言をいれる事 ....
+
苦笑いの先の
たちの悪い後味が
列車に乗って 体の中を駆け巡る
窓の向こうで手を振る子供たち
飴玉を舌で転がしながら
噛み砕く未来について考えている
さらにその先では
色とりど ....
その唇で
言葉のシャボン玉を
際限なく繰り出しては
あらゆる色と形を
貪欲に飲み尽くす
その唇で
まことしやかな嘘を
丹念に織り成しては
曖昧に微笑んだ後に
こっそり赤い舌を ....
数日前
ちくちくと気になり
次の日には終日気になり
有料の食事を泣きながら食し
翌日新たなそれの子が横に現れ
後日、親子共に成長を遂げ、
合併し
今に至る。
あたしの家は電車でふた駅だけれど
そして背伸びをすれば見えるのかも知れないけれど
ここは遠い外国だ
あたしは外国に来てしまいました
ここでは花も変わった名前で違った風に咲く
それからあたしに ....
埼玉から都内の西に越して
一部屋減った
3LDKの都民住宅
なにも家具が入ってない
下見のときは
とても とても
広く見えた
が!!!
おとな5人と成猫2匹には
狭い ....
あり合わせの野菜と特売の豚ばら肉で作った野菜炒め
ちょっと辛めなのは彼の好みで
できたての熱々をふたりのお皿に取り分ける
彼はと言えば相変わらずのパソコンに熱中していて
彼のお皿にはお ....
(あ)
あかんぼうが
ないている
あー
あー
それはぐうぜんにも
ひらがなの
さいしょのおとだった
こもりうたをきかせると
いー
いー
と、わ ....
愛しているのは
ひとりきり
ともだちのはなしを
みつめている
そのおめめがいとしくて
だれにもまけないよ
さくらんぼがないている
なきんぼさくらんぼの
....
新世紀。
とは言いながら
殺戮の大義に明け暮れの
墓穴堀りは相も変わらず
{ルビ典籍=てんせき}{ルビ天窓=てんそう}に{ルビ堆=うずたか}く、
歴史は繰り返すと錯覚させるが
掘り返せる ....
まあるい墓石に水をかけ清めると
{ルビ空=くう}の字の彫刻から 遅れ水が流れてくる
丁寧に拭きあげるのだが
涙の跡のように、うっすらと水垢が残ってしまう
墓石用クリーナーとウサギの形の大小のス ....
目玉焼きみたいな台風
黄身は暴風圏内だ
そっとそっとやり過ごそう
黄身が破裂したら大変だ
吹き荒れる風
叩きつける雨
苦しくて
苦しくて
外に出て踊り狂いながら
黄身 ....
夕べから夜通し
留守宅の庭の物干しでさ
おにいちゃんのジーンズと妹のそれが
はたはた はたはた 風に踊ってるんだよ
足を竿に 通しながら
ふたりは決して仲がいいわけじゃなく
できるだけ ....
わたしを見ている
あなたのネクタイが
少しだけ曲がっているのが
気になって仕方がないけれど
愛しさが憎しみに変わる瞬間を
型に流し込んで作った
わたしの細すぎる指先は
ディスプレ ....
友よ
つらいだろう
さみしかろう
ひとりの夜は
さむかろう
けっして 無理だけは
しないでほしい
キミのことを
たいせつにおもって
いるひとは
たくさん
いるのだ ....
冬の風を受けて
自分の道を捨てに
道を歩き続け
喜びもついでに捨てました。
道の続く十一月には
話のできる者は去り
一人歩き続けて
悲しみも捨てました。
夢を探し続けて
....
リアルには実態がない
わけではない、勿論
ただそれが波及する場所に
なにかしらの不具合が
生じてしまうのだ、きっと
リアルはとても
いたずらっ子だから
リアルは
....
海流を眺める
油絵の具を指で擦った様な道
夜の灯りをギラリと跳ね返し
いくつもの美しいラインが交差する
背泳ぎを見ている
行く先も見えずにただ進む
後に残る軌跡は直ぐに消える
いつか ....
いつからか小鳥が来なくなった
名も知らぬ小鳥たちが
毎朝訪れ、よちよち歩いているのを見て
囲いのある私の生活も
悪くないと思えていたのに
いつからか朝の声はしなくなっていた
流浪の ....
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