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苦笑いの先の
たちの悪い後味が
列車に乗って 体の中を駆け巡る
窓の向こうで手を振る子供たち
飴玉を舌で転がしながら
噛み砕く未来について考えている
さらにその先では
色とりど ....
その唇で
言葉のシャボン玉を
際限なく繰り出しては
あらゆる色と形を
貪欲に飲み尽くす
その唇で
まことしやかな嘘を
丹念に織り成しては
曖昧に微笑んだ後に
こっそり赤い舌を ....
数日前
ちくちくと気になり
次の日には終日気になり
有料の食事を泣きながら食し
翌日新たなそれの子が横に現れ
後日、親子共に成長を遂げ、
合併し
今に至る。
あたしの家は電車でふた駅だけれど
そして背伸びをすれば見えるのかも知れないけれど
ここは遠い外国だ
あたしは外国に来てしまいました
ここでは花も変わった名前で違った風に咲く
それからあたしに ....
埼玉から都内の西に越して
一部屋減った
3LDKの都民住宅
なにも家具が入ってない
下見のときは
とても とても
広く見えた
が!!!
おとな5人と成猫2匹には
狭い ....
あり合わせの野菜と特売の豚ばら肉で作った野菜炒め
ちょっと辛めなのは彼の好みで
できたての熱々をふたりのお皿に取り分ける
彼はと言えば相変わらずのパソコンに熱中していて
彼のお皿にはお ....
(あ)
あかんぼうが
ないている
あー
あー
それはぐうぜんにも
ひらがなの
さいしょのおとだった
こもりうたをきかせると
いー
いー
と、わ ....
愛しているのは
ひとりきり
ともだちのはなしを
みつめている
そのおめめがいとしくて
だれにもまけないよ
さくらんぼがないている
なきんぼさくらんぼの
....
新世紀。
とは言いながら
殺戮の大義に明け暮れの
墓穴堀りは相も変わらず
{ルビ典籍=てんせき}{ルビ天窓=てんそう}に{ルビ堆=うずたか}く、
歴史は繰り返すと錯覚させるが
掘り返せる ....
まあるい墓石に水をかけ清めると
{ルビ空=くう}の字の彫刻から 遅れ水が流れてくる
丁寧に拭きあげるのだが
涙の跡のように、うっすらと水垢が残ってしまう
墓石用クリーナーとウサギの形の大小のス ....
目玉焼きみたいな台風
黄身は暴風圏内だ
そっとそっとやり過ごそう
黄身が破裂したら大変だ
吹き荒れる風
叩きつける雨
苦しくて
苦しくて
外に出て踊り狂いながら
黄身 ....
夕べから夜通し
留守宅の庭の物干しでさ
おにいちゃんのジーンズと妹のそれが
はたはた はたはた 風に踊ってるんだよ
足を竿に 通しながら
ふたりは決して仲がいいわけじゃなく
できるだけ ....
わたしを見ている
あなたのネクタイが
少しだけ曲がっているのが
気になって仕方がないけれど
愛しさが憎しみに変わる瞬間を
型に流し込んで作った
わたしの細すぎる指先は
ディスプレ ....
友よ
つらいだろう
さみしかろう
ひとりの夜は
さむかろう
けっして 無理だけは
しないでほしい
キミのことを
たいせつにおもって
いるひとは
たくさん
いるのだ ....
冬の風を受けて
自分の道を捨てに
道を歩き続け
喜びもついでに捨てました。
道の続く十一月には
話のできる者は去り
一人歩き続けて
悲しみも捨てました。
夢を探し続けて
....
リアルには実態がない
わけではない、勿論
ただそれが波及する場所に
なにかしらの不具合が
生じてしまうのだ、きっと
リアルはとても
いたずらっ子だから
リアルは
....
海流を眺める
油絵の具を指で擦った様な道
夜の灯りをギラリと跳ね返し
いくつもの美しいラインが交差する
背泳ぎを見ている
行く先も見えずにただ進む
後に残る軌跡は直ぐに消える
いつか ....
いつからか小鳥が来なくなった
名も知らぬ小鳥たちが
毎朝訪れ、よちよち歩いているのを見て
囲いのある私の生活も
悪くないと思えていたのに
いつからか朝の声はしなくなっていた
流浪の ....
夕暮れが桂川から帰化してる 魔界みたいな街をみつける
出発の笛の前にはsee ya later 言いたいことは線路に棄てる
風が吹く 神社がごうごう鳴っている 秋の夜長の妖怪フェスタ
....
「有害な空気を生み出す煙突のようだね」
そう呟いたのは、他でもない私の心でした
体内をぐるりと回り行き場を失くした有害物質は、ため息と共に吐き出される
透き通った冬の空気
吐いた息は煙 ....
霧氷を知らない 海風の町に
ひと夜の冬化粧
許された 雪の舞う月の夜
すべてを白く染める 悪のような力で、
あなたの寝室の灯かりが消える
僕は自分であろうとして
逃げ出 ....
あんなにも忙しくぼくの脚はうごいていたのに
それいじょうに
踏みしめていたものの方が素早いなんて
なので、いつまで此処にいられるか
ぼくはじっさい
心もとない気分です
....
何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか
下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな
女のひとだとしたら
無性に巣篭もり ....
細くサラサラとした髪に触れると、長い睫毛に縁取られた瞳がゆっくりと開いてゆく。
涙に潤った瞳がぼんやりと遠くを眺めたあと、確認をするようにこちらを見つめた。
そして擦れた声で寒いと訴え ....
おしゃべりのあいだ
だまってる
おしゃべりがおわるまで
だまってる
ふたりだけになると
はなしたそうにしてる
きみはぼくに
とてもよくにている
背のちっちゃな女の子
男好きのする笑顔が印象的で
逢う度に違う男の子と一緒だった
背のちっちゃな女の子
いつも彼氏の背中に隠れてた
風が吹けば彼氏の体を風避けに
雨が降れば彼氏の差した ....
いつかは死ぬのにね
母が言ったからどきりとした
いなくなった恋人を
そろそろまた恨み始めていたから
母は
死ぬということと
家の中のあれこれとを
同じところに平気で並べる
....
北風が冷たい
夏にセミがいたなんて
すっかり忘れてしまう
すっかり気弱な太陽
それでもマンションの窓に反射して
自分の分身を生み出している
カラカラと枯れ葉が舞っている
吹き溜ま ....
弾けもしないキーボードに指を添え
弾けもしないはずなのにコードを押さえ
弾きもしないはずなのにコードを鳴らす
知りもしない唄を思い浮かべ
知りもしないはずなのに唄を口ずさみ
知りも ....
赤く染まる
芥子の花が咲き
乱れる
どこまでも続く
白い墓標の列
海鳴りの
やむことを知らぬ町
忘れようとしても
消え去らぬ {ルビ戦跡=きずあと}
{ルビ頭 ....
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