ラブとラブのあいだに愛がある
なんだかそんな気がしてね
久しぶりに歩いてみた渋谷の街は
良い意味での乱雑さを失いつつあるようで
道玄坂下から円山町
色褪せたラブホの佇まいは老娼の厚化粧に ....
無用人間
僕は無用人間
ネジにも歯車にもなれず
風に煽られるだけの塵芥
『役立たずは出ていけ』
社会という機械が追い立てる
無用人間
僕は無用人間
でも
....
どちらでもいいのかしらん
そう思ったときに
結果って出るものらしいです
お知らせがくるらしいです
つけ は月末にくるのですけど
払う気がなくてもくるのです
おぼえとけっていわれたら
....
街灯の先にある交差点、ボーッと浮かび上がる黒い物体 誰も顧みることの無い深夜 行き交う車も無い漆黒の深夜、黒い月
それは奇妙な物体、人体様のものだが、部位それぞれが異なる。体毛はうっすらと生えて ....
この命に何を求めるの?
光なんて望まないで
空っぽになった 言葉の引き出し
錆びたシャベルで庭を掘った
探していたのは君へのプレゼント
いつしか足の踏み場はなくなって
真っ逆 ....
あなたの手からこぼれた花を
得意げにくわえて微笑む
蜜を吸ってすっかり浄化して
光に透かした硝子の造花。
少女はこともなげに言う
おばあちゃんがいなくなったら
私がしてあげる
老女は静かに笑う
いてもいなくなっても
あんたがやってくれるか
受け継がれるとは空気のよう
暑いなり ....
夏空からのさそいは、
手にあまる 光りの束
私は私が赤く錆びてしまわないように
少しばかりいばった母親の顔になって
子供達の好きなパンを焼く
summer’s kitchen
女の ....
其処にあなたはいるのに
イラナイ
と云ってしまう喪失感
彼らの歌に嫉妬する
あまりに上手に歌うから
僕の歌は群集に掻き消された
もう歌う場所すらない
『お前は産業廃棄物』
『ギシギシ軋むのがお似合いだ』
嘲りの歌が聞こえてくる
そ ....
また背中にGがかかる
いや、重力ではなく塊りが押して圧迫している
左の肩甲骨の上に乗るコンフュージョン
緊張が高まり首筋まで凝ってくる
あまりの重さに頭の中で
コットンフラワーが咲き乱れ
....
泣きながら便所駆け来る男子いて一枚へだてその嗚咽聞く
歳だけは取りたくないが口癖の老婆の霊が座る終電
急死した男の棺運ばれるテニスコートの脇の葬儀所
河口まで入道雲を追いかけた「イエ ....
きみのし
考えたこともなかったし
その日の空はうそみたいな顔をしていたから
言葉は何も浮かんでこなかった
この物語では
信じられないことが
信じられないほど起こるし
それ ....
切なさに押し倒された心は
バクテリアに分解されて
影もなく
跡形もなく
消滅します
そう、だから
安心して眠るといい
悲鳴は求めています
私はマジックアワーに焦がれ
真っ赤に ....
1985-
空に敷かれた黒いうろこが
ぽろぽろと剥がれてゆくとき
一枚が地に落ち
流れ出す水の音が聞こえ
また一枚が地に落ち
呼気が甲高く
一枚が砕けて
それはなき声と繋がって
....
すっかり生ぬるくなったビールの向こうに
睡蓮の花が物憂げな顔で座っている
白い陶器の肌が青ざめて
透き通った光沢を放っている
その清楚な肌に触れることを許した
借金まみれの男の手が離れそ ....
一.
感度のよい
センサーライトが
いきばのないくらいに
点る
道は足に
ぶら下がったままで
二.
ひまし油
(メルセデス・ベンツのブレーキホース ....
場末のバーで仮面を外す
背中のジッパーつまんで下ろす
皮膚に新鮮な空気が当たる
嫌なことだってあらぁな
今日も日の出と共に家を出て
さっきまで怪人と戦っていたんだ
けどもうすぐ給金だよ
....
夕暮れが泣いているのだろう
高台から見渡す街の灯が
救いが無いほど光って見える
大勢のひとりが積み重なって作られた明かりだ
しばらく茫然とそれを眺めた後で
僕はただ静かに下りていく
....
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