ぽっかりと口をあけて
君はねむっている
愛さずにいられない
その唇が
ときに嘲ることもあるというのに
睫毛をしんとさせて
ねむっている
....
今朝の風が運んできた
遠くの君のことのは
くすぐったくて
うれしくて
大事に大事に胸にしまう
どんなに苦しくっても
歩いてく
今の私のままで
君との思い出
いつか薄れてゆ ....
高速の事故渋滞のせいで下道も混んでいた
何台かが裏道に抜けてゆくのに付いていった
そしたら知らないふとい道に出た
駅前のように店が沢山あってマンションが並んでいた
なんで今まで ....
膣のないパン屋と
バグだらけの牛乳屋を
定期券片手に往復するだけの日々。
こういう月の見えない夜には
機上の人になりたい。
福引き末等の赤い赤玉を
小枝と一緒に運ぶ小鳥の
白い機上の ....
血が足りない
血が漲ってない
興奮に体が耐えてない
どことなく
全身が乾燥している
三ヶ月よく頑張ったよ
おまえもおれも
飲み干したカップを
静かに ....
川沿いを
髪のながい
女が一人
頭骨によく似た
薄赤い花を
五つ
のせて
乳母車を押してゆく
女がひとり
*
( ....
いま、立方体の中で手足を折り曲げている
きっちり蓋を閉めて 一分の隙もないように
それでもはみ出しまう「私」が漏れ出て
側面を綴りながら、ゆっくり滴っていく
シジン、と名乗っているうち ....
111016
経営陣は一連の不祥事の責任を取って速やかに総辞任いたします
朝になるといつもの顔ぶれが胸を張って正面玄関にやって来る
あれは単なる夢だっ ....
今年になってやっと
我が家の底冷えのする土間に
ウミガラスが営巣した
すでに蓄えは底をついた
ぎりぎりのタイミング
かつては家族全員
障害者認定だったから
近所の一部マスコミからは
....
宇宙に開かれた水の滴
表面張力によって浮かぶ
塵芥の島嶼の一部の
寄生する細菌細菌
細菌が人生
泥の堆積/火の木端/夢に沈む
雲の破片の沈殿物
屋敷の塀の高さに隠された
思い出 ....
A
枯れ葉が 裏も表も見せながら落ちて
そのうち葉脈だけになり
葉脈の下では 貴族のようなおももちで
うずくまっている それは わたし
B
独りきりの夜 ちいさく もりの ....
南国の旅の夜
ホテルの部屋ひとり
時に人恋しく
ポコチンに触れさせもせず
帰した女いずこ
だって好みじゃないから
熱きポコチン爆発寸前
代わりの女
早くおいでよ
ああ胸はそんなにデカ ....
またひとつの魂が消えた
そして別の場所で
またひとつの魂が生まれた
いのちをつないで
絶えないように
あなたのいのちは
わたしのいのちは
どんなおとを奏でる?
いのちの音楽 ....
透き通ったグラスに
白く砕けた貝殻を入れる
カラカラと乾いた音が
私の耳を潤す
グラスに耳を当てれば
澄んだ音色が
脳天から足の爪先まで
私の体を支配する
あなたは恥ず ....
えーっとマン
えーっとマン
ハイッ?ハイッ?ハイッ?
ハイッ?ハイッ?
えーっとマン
えーっとマン
霞む瞳
遠い耳
薄れる記憶
ついに本格的
老化現象(鼻毛も白い)
あき ....
一秒もたてば
抱きあったことなんか
うそと同じ
流行りの歌や
この部屋を通り抜ける
なまぬるい風と同じ
出会ったことなんか
....
夢の中で誰かの手が伸びてきて
グルグルグルグル
ねじまわしの音
目が覚めて
鞄を持ちながら
あっちの会社こっちの会社
くるくるくるくる
回って回ってときたま鞄を叩いてチャ ....
かり かりらん からん
鉦の響きが行列を先導する
満ちていく途中の
なまめいて誇らしげな月の下
馬の背には選ばれた幼子
金襴にくるまれて
視線を集める戸惑いを隠せず ....
111010
花電車がやってくる日に
チョー簡潔な祝いのお品
チョコレートのパイを焼く
暖かいうちに運ぶんだ
横断歩道の先にある
プラットフォームには人 ....
涙が邪魔だから
瞳はもう必要ない
見ることは諦めて
耳をすます
そんな日々が転がり始め
ホワイトシチューの中に溶けていく
しばらくこれだけを食べて過ごそう
鍋をぼんやりと見つめながらそう ....
1997年東京都港区
写真の題名はただそれだけだった
あの頃東京に住んでいた
写真に切り取られた街
あの頃の自分の
横顔や肩を幻視していた
清純だったけれど
....
群れからはぐれたのだろうか
一頭のキリンが
丸の内のオフィス街を歩いていた
時々街路樹の葉を食べながら
それでもなるべく目立たないように
歩道の端の方を歩いていた
郵便ポストを見つ ....
ことしも
かきのはながさいていた
それいじょうの
けっこんしきはない
ひやかして
かぜがくちぶえ
ふいている
それいじょうの
けっこんしきはない
やがてく ....
コスモス、小さく咲いた
香る花、美しい白
そっとつまんで顔を寄せた
あなたのような秋が来た今年
穂も色づいている
素敵な時間
わたしのそばに
花がある幸せ
二人占め
hot hot water
わたしの心を濡らす水
髪を洗ったら
明日に向かう
好きな言葉を思い浮かべて
すべての現実に対峙する
わたしの好きな色
わたしの好きな音階
あなたとわたしの間 ....
いつもの時間の
いつものバスに乗って
いつもの席の
いつもの窓に
いつもの体制で 頬杖付けば
いつもの眩しい日差しが入ってくる
いつものように 目を細め
いつもの 陽の当たらない反対 ....
つながり続けるアールイーから
mon 16:52
「きょうはサイダーとサングリアと いろんなラムネ20錠コースです。明日やすみだからもっと盛大にいきたいところだけど、からだが重くな ....
秋のひとひら
白紙の日記に舞い落ちる
滲みた文字が
やけに霞んで飛ばされそう
移ろいゆく季節にあって
留めておきたい
ひとつの場所
君は覚えているだろうか
僕が挟んだ栞の
あの日
秋がやってきて ....
{引用=引き裂かれた敵ではない。明快な裂け目など存在しない。 1}
(右のかかとの皮膚が痛い)
存在しない。
存在しない。
存在しない。
君の皮膚は夜に呼吸を始める
それととも ....
{引用= 悲しみを一匹の鼠と錯覚していた正午に、
石から石へと移ってゆく影こそが私なので
あった。落葉が、古くなってしまった楽譜
のようにぺらぺらと捲れてゆくときに、ゾ
....
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