桃色の甘い海に溺れながら
貴方だけを見ていた
・
あたしの愛しい人には
守るべきもの というものがあって
運命という 絆が強すぎるみたいで
あたしは遠巻きに
とぼとぼと ....
狂喜の薔薇
珊瑚の夢
遠のく景色
悪しき夢見ぬ
流石の記憶
高鳴る津波
絵師なら飛躍
日、ようく散ると
赤裸々、哀愁
「あしたは桜を観に行こう」
土曜の朝
なにやら騒がしいと思ったら
恋人が楽器をごそごそと出していた
ギターにキーボードにコンピュータ
それから何か良くわからない線とか
テーブル ....
土の香りを喜ぶには
まだ余りにも未成熟だった
美しく咲く花道の
景色を楽しみ 香りを楽しむ
甘いものを胸いっぱいに吸い込み
とろとろと溶けてしまいそうになりながら
溺れているのが少女の ....
さわらないでと
胸に茨を抱きかかえたまま
叫んだね。
マゼンタの色の野ばら
きみと、ぼくの
灰に涸らされてゆく喉で
必死に歌っていた僕ら
君は僕に蕾ひとつない
花冠を作って ....
わたしは、ここ
あなたは、そこ
この距離は因果律
決して縮まることはない
時間はいつも嫌になるくらい前向きで
振り返ってはくれないから
誰もが桜の空を仰いでいる ....
冬鳥の啼く声も掠れ
野火煙る薄闇に
遠い鐘の音とともに
虚ろに舞う、
まばゆい欠片たち
山颪(おろし)の風に攫われる
か細い梢の一瞬の落花、
土に眠る豊かな彩りと
ひややかな水の命 ....
この野郎、ピンポンダッシュしたろかな
マンションだと言われればそんな気もするアパートの角部屋
レースのカーテン越しに人の気配が行ったり来たり
どうやら生きてることは間違い無さそうだけど
....
恋歌に憧れていた僕は
物語に紛れ込みたかった
ある日、ふと気付く
僕は目になりたいのだ
彼らを眺め続ける透明な視点
春が来て
僕はあなたに恋をした
立っているだけで精一杯
好き ....
黄色のひかりがぶれる部屋で、
わたしは
左足で眠るかさぶたからゆくらゆくら
透明?
に、なりつつ
もう、なくなった筈の
/もしくは、見えないだけかもしれない
水掻きに脈を聞く。 ....
あの人が死んだ。
僕の彼女に言い寄っていた
ドレッド頭の やたらかっこ良かった あの人
病気で アパートで 孤独死で
訃報を聞いた僕と彼女は「死に様」を想い ....
作品…少なくとも自らは、そう呼びたい物を世に問うならば、絶対に避けなければならないものが、一つだけある。
『作為』
わざとらしさ。
自意識が作り出す醜さ。
肥大した自我。
芸術と自己 ....
歪んだ雲の地平線から
顔を出せない月
掻き混ぜて淀んだ熱が生んだ
君を抱けない腕を切り落としても
慰めになんてなるはずがなく
漂う気だるさに萎えた憎悪も
萎びて今では役に立たない
....
絹糸をよせあい
指の間にからませてみる
しゃらら しゃららと柔らかく
それはとてもしなやかで
最後に泣いた日を思い出した
寒天のように細かくふるえ
すぐに崩れ落ちそうになるこころを ....
この星系のどこか
色でけずったメタンガスにちかいどこか
バスの墓場がある
何億台もかさなりあって絶命している
すすけた錫がキーンと光っている
純粋だと主張する天頂方向に
....
イメージしてください
これはただのイメージなんです
イメージできませんか?
これはただのイメージなんです
あり得ない動きをする
奇抜な見た目で煽り立てる
だってこれはイメージなんだから ....
おはよう
おはようお月さま
今日はツンツンすまし顔
あのね今日ねぇ…
お話し聞いてよ
おやすみお月さま
また明日
おはよう
おはようお月さま
今日はとても ....
本屋ではいろいろな本を買うことができる。
街を歩いていると本を買いたくなる。
そんな時映画館の近くの本屋で本を買う。
本屋に行って店に並んだ本を見るとたくさん本を買いたくなる。
本を見てどんな ....
視線絡ませて
遠回しな台詞だけで
愛の告白
指先から熱を発する
肩のあたりで甘いタメ息
背中を走る歓喜に目が眩む
五感すべてが癒された箱の中
....
かあさんと旅した町は
あいにくの曇り空
灰の四辺に囲まれて
虹のリボンが
ゆれてます
ねがいよかなえと
ゆれてます
愛情はピンク 健康はみどり
お金は ....
―朝
ビルの階段を降りて行くと
何かの軋む音がする
たくさんの
時間の積み木が
押し合い
こすれ合って
順番を決めている
―歩道を歩く
山桃の並木が
慌てて生え ....
暗い薄墨色の空を
綿ぼこりのような
存在感のない雲が満たしている
空がすごく低い
薄い夜空から落ちる雨が
僕の身体に滲みこんでいく
街灯に透ける僕の指
二重にブレてぼやける
街 ....
控えめに訪れる
波の繰り返し
耳鳴りは怒りを洗い流して
眩い光りの群れが
手のひらで踊り出す
地平線で別れた
青と蒼が
波打ち際で
何億年ものの歴史を
そっと置いて行って
未来 ....
朝、仕事場のブチョーと一緒になってしまい、ヒジョーにメンドクサイ気分で会話を交わす。
ナゼかしきりにトラック運転手を勧められた。
何だ?ヤメて欲しいのか?
久しぶりに会ったあのコはちょっ ....
カギはかけてないのに
なんでだれも入ってこないの
ユーアーウェルカム
発音は完璧なのに
帰国子女の
「チュッパチャップスなめるとRの発音が良くなるよ」 ....
とおい秋に
実るものはなんだろう
わたしが実家の門を通るときに
ふと、かいだ
祖父が築いてきた
歴史のにおい
短いとも長いともつかない
毎朝はやく
仏壇に水をあげる、祖父
....
風の中で震えていた瞳
あの日突然奪ったくちびるを
二度と忘れはしない
美しい少女よ
一生分の愛を君に捧げよう
自分勝手な愛で
君を愛し続けることを許して欲しい
例え永遠にこの ....
そうゆうんじゃない
肌に頬を押しあてて
脈打つ血の
ほんとうの色が浮き出すのを待ちながら
したい理由をききたい
耳もとで
吐く息にまぎれ込ませて
「どうして…?」とききたい
衝動にもゆ ....
? 蝶
シ/モクレンの一秒は
蝶の魂と同じ
奇妙に歪んだ美醜の契りが
爪先で蠢いて翅にかわる
うす紫がゆっくりと溶け出し
バスタブの温度を下げる
浴室で眠る蝶の夢は
完全に対称 ....
?さなぎ
蝶になる夢は決して見ない
蝶はさなぎの絶命
羽化を怖れる振り子は
細かく震えつづけている
?さなぎの夢
夢を見た
全ての扉の色彩を留めたまま
完成を拒んで
壊れ ....
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