一日の終わりに感謝が募る
愚痴の可愛さは勝手に元の圏外に戻る
感謝は勝る 何よりも勝る
意図にせよ能動の自然にせよ
一日の終わりに感謝は募る
感謝はべきではなく完璧の地球色の空
....
わたしはピアノなのだろうか
誰かが
わたしの蓋が開けたら 喜ぶだろう日に
開け放たれたの
なのに あなたったら こころが ふらっとにのっちゃって
わたしをメゾピアノにもさせないで
わた ....
目と口は似た者同士
じっとして居られないいけない子たち
耳と鼻は抗うことのない姉妹
{ルビ盲=めしい}で{ルビ唖=おし}の穴凹ふたつ
手探りすれば硝子より
始末に悪い情緒の破片
記憶に纏ろ ....
小さな
一人暮らし用の冷蔵庫
霜だらけの冷凍室の内部は
どんどん狭くなる
なのに
霜取りスイッチもない
しかたない
それでは
冷蔵庫と冷凍室を空にして
霜取り
....
咆哮せよ
のどからの
ひ弱な声ではなく
身をふるわせて
黒々とした
月の照る下
咆哮せよ
咆哮すればこそ
きみの声は
艶やかな音の 一点を突 ....
干しかけた洗濯物
風の一吹きに掬い上げられ
みんな地べたに、落ちちゃった
シャツにトランクス、靴下にパジャマ
着古した心から、思い出の沁みを洗い落として
まっさらに漂白したっ ....
そっと今も
地球に隠されている
新しい一日には
夜明けの太陽から
陽射しが煌めいて
鳥たちが
鳴き始める約束の朝
窓を開ける
君の微笑みに
旧来の知人から
感謝の手紙が届い ....
七色に輝く水しぶきを浴びて
キャッキャと走り回るあなたを
私だけのファインダーに
永遠に閉じ込めておきたくて
夢中でシャッターを押したのに
あなたのぶれた指先や
揺れるスカートのレースしか ....
見えないものを見 聞いたことのない歌をうたう
聞いたことのない声を出し 人と関わりたがる
私の目は 饒舌に喋り続け
下半身の纏った嘘を 脱がせようとする
私に口はないが 手はい ....
ただ 遠い出口の丸い光が見えていたから
「それでは また」
ポツリ一言 質量を伴わない声では背の側に当たったことに気づかない
ひたすら光の穴に向かって空回りの歩みをす ....
波音とスターマインの破裂音君と聞けるか次の夏にも
真昼の空気越しに見る空は青くて
目には見えない風がひんやりして気持ちいい
空気が透明でよかった
なんてね
でも
さっき君の声が僕を呼んでいるとき
君の声は透明で何も見えなか ....
あなたとわたしの汗が滴る肌 舌をはわせてあげる
あえぎ声 はてるまで
何もかも とけてしまうまで
埃っぽい一日が暮れかける
ゆくあてもない想いが影といっしょに夕闇に溶けて行く
ちっぽけな哀しみを手のひらで転がして
ため息にも似たつぶやきを繰り返す
幼い頃母に背を押されるようにして嫌 ....
空に中秋の満月が上るとき
ぼくは見付けた
彼岸花が長い首を空に伸ばした根元に
仰向けに転がっているアブラゼミ
つい先ほどまで生きていたような
みずみずしさ
ひぐらしの声を聞いたのは ....
同級生が口を揃えて
「秋の匂いがするね」と言う
そういう香水、出ないかな
わたしは秋の人になりたい
タオルケットを洗濯して
毛布を一枚出してきた
敷布はパイル地
アンバランスで心地良 ....
わだかマリは美辞麗句に対する発酵した恋情を
月明りに晒された真っ赤な隠語に注射しながら
言葉が死滅した宇宙を金縛りのまま浮遊する
陽気な殺意のクラリネットが舌先を蛇のように操ると
殻も割ら ....
ウジ虫の唄
今日も妻ととも
ある界隈を伝道に歩いた
こうして伝道者になって
聖書を説いて回ると
何でもむげに軽蔑できない
便所に湧くウジのことをふと考えた
彼らは便所の汚泥の中 ....
君は
覚えたての「こんにちは」を
わたしがこぐ自転車の前に付けた補助椅子から
道行く人はもちろん
畑仕事をしている人にも
隔てなく投げかける
たいていの人は
一瞬驚いたような顔をする ....
身の程知らずとか
自惚れ
自己満足と言われることが
そんなにも
辛いので
君が背負ってきたのは
身を隠すための
大きくて重い
空っぽの自尊心
翔ぶことも
大洋に漕ぎだすこと ....
海水の温度を測る
文明から放出された熱は
深海にどんどん蓄熱されている
淡水の成分を分析する
組成を組み替えるために
それでも地球は周り続ける
体内時計で逢う時間を過ごす
時 ....
{画像=140920123249.jpg}
*
あなたはわたし わたしはあなた
愛を頂戴、毒をあげる。
言葉を頂戴、嘘をあげる。
声を頂戴、棘(トゲ)をあげる ....
ちょっと長いけれど
暇だったら聴いてください
私は小学校五年の頃
お化粧に興味を持ちました
鏡台に姉の化粧品が入っていたので
ある日 赤い口紅を塗って
三面鏡に映った自分を見てい ....
【わすれがたみ】
ある夏の日
百合の花柱を
みつけました
薄紅に透ける花弁には
まっすぐな いのちの
いとなみが ありました
それは
ふと おもいだしたくなる
この夏の わすれがたみ ....
今まで歩いて来た道の途中に
弱くなってきた自分がいる
山が過ぎてしまえば忘れてしまうはずなのに
心の中に悔いが積もり積もってしまい
泣けてくるのはなぜだろう。
音のない木霊が聞こえる
....
所変われば旨さも変わる
しかも賞味期限つきときたもんだ
あんたとあたいの正しさも、そんなもんだろ
純白の雲から
いつか夏の終わり
銀色に耀く雨粒となって
熟れた小さな果実のように
堕ちていったBluesky
なくしていた蒼い傘が
見つかりました
遠く霞む
紅にたたずむ山脈の
....
ぼくらは言葉を繋げて
この暗い宇宙を何処まで渡って往けるだろう
一冊の詩集が時を越えることは
真空パックの棺が難破船のように
意識の浅瀬に漂着し鮮やかに燃え上ることだ
死んだ詩人についての{ ....
秋が来ていた
遠い遠いところから
この家のどこからか
そっと耳を澄ますと
秋がわたしを呼んでいた
遠い遠いところから
あの日と同じ声がした
呼ばれるままに
仏間の襖 ....
音楽の動機はすべて
レクイエムなので
今夜曇った夜空の下に
キミと同じリズムを感じて
死んでゆく人が
いるのだとしたら
どんな風に
泣いたらいいだろうか
情報をこんなにも
共有してい ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193