その生き物に色とりどりのガラス玉をもらった
それはよく見ると一個ずつが脈動してそれぞれの色で輝いている
ときおり澄んだ音色で囀る心臓のようだった
ふしぎな生き物は美しかった
息が止まるぐら ....
駅へ降り立った時
まだ空は青みを帯びていた
ちょっと買い物をした隙に
すでにとっぷりと暮れている
荷物を提げて
街灯が薄く照らし出す歩道を急ぐ
呼ばれた気がして
見上げると
鎌のように ....
みずいろの雨をききながら床に入ると、雨がふる
ぽっかり空いた穴を補完するように、雨がふる
決して満ちることはないんだけど、それでも雨がふる
*YouTube み ....
たくまずして誰かの憎しみをかってしまう
ほどこうにほどけない結び目
ただそれが君だっただけだ
おそらく罪状はかぎりなく
妥当な理由もあればやや不適切なものまでさまざま
あえてぬれぎぬとは ....
ひとつの恋愛が始まると
いくつかの虫歯が
できてしまう
歯医者に行くのを
忘れてしまうこともあるけれども
夜中に眠る前に
歯磨きもせずに
お互いの話をすることに
夢中になってしまっ ....
屋上のライブバンドや秋高し
戸惑い 落ち着き 秋霖に身籠る
乳酸菌をひたすらに欲していた
カルボナーラとシチュウをクリーム類を欲していた
浜辺の神秘の窓を拭くように その波は眠気を誘っていた
戸惑い 不思議 ....
透明なビルの屋上で俺は点を数えてい
た。雨で視界がぼやけても間違いなく
点を数えていた。三角の屋根の上で私
は線を引いていた。毎日たくさんの線
を引いていた。紙の城の上で僕は面を
つくってい ....
かーさん ももいろひよこ かってや
めっちゃ かわいーやんか
そらいろも いるんやで
にじいろも いるんやで
ハートマークも いるんやで
息も絶え絶えのひよこたち
鳴いてるんじゃない
....
古いノートに書かれた文字を
辿って行くと
余白にぶつかって
そこから先へ進めなかった私がいる
もう書けない
諦めてしまおうと
何度も思った
余白の裏に
余白の隅に
挫折の名残 ....
雛菊をみていた
毛氈のような緑に
ところどころ陽に照り映えてある白
海をおもいだしていた
流木の漂白された肌が
曇天に無色をそえる
時間の重さをはかる
手のひらの中の一握りの ....
四年京都に住んで
今でもよかったと思うのは
はる を覚えたことだ
生まれ在所に戻ってからも言っている
開けてはる居てはる植えてはるえづいてはる起きてはる
噛んではる切ってはる ....
「ねえ、これは骨?」
チキンナゲットを食べ慣れているお前達に
フライドチキンを与えたら
飢えたライオンの子供のようにそれを貪りながら
何かを思い出したように下の娘が訊く
「そうだよ。 ....
あなたの ちいさな裸形に わたしは慎ましく泣いた
蒙古斑の青さが 赤子のあなたを
きわだたせていた
ゆがんだ顔だと 云った人もいたが
あんな うつくしさを わたしは それ ....
「もう私これからはあなたのものだね」とか
「このままオートマチックに君は僕のもの」とか
いとも簡単に言ってくれちゃったりするけどさ、
異なった別個の物質じゃないと
融けて一つにはなれな ....
ふと
ショウウィンドウに映った薄ぼやけた自分の姿に
人生 楽しい?
楽しかった?
これから楽しくなりそう?
現在過去未来
わかりっこないって そん ....
嗚呼朱く赤く紅く
秋に明け暮れ飽くことなし
移ろうものこそ美しい
去りゆくからこそ愛おしい
不変の美は仮庵から
渡り鳥のように飛び去るのだ
文字の檻に閉じ込めるなら
ソレハヒトツ ....
私が子どもだった頃
十二色のクレヨンの中に「肌色」があった
その色を使って絵を描いていた
黒いクレヨンで輪郭を描いて
肌色で顔の中を塗りつぶす
手も足も全部肌色を塗った
何も考えずに無 ....
雨にとけて流され残ったのは、ちぃっちゃい欠片
ウチがウチであるための、ちぃっちゃいちぃっちゃいウチ
たぶん、もう傘はいらん と思う
成層圏の牧場に
幾千匹もの
群れなす羊
どこまでも透明な
追憶の彼方
舞い降りる
黄色い{ルビ木=こ}の葉
堆積する秋
深海の底に届いた
月光のように
青ざめた記憶 ....
前髪 ギザギザにしました
くりっとした眼の美容師の女の子が言う
ん? という表情の私に
真直ぐだとおかしいので とニコニコ
つられて私も ニッ コリン
おばちゃんは知らなかった
だいたい真 ....
両の手の平に抱かれる宇宙
手からはそれを引きつけ、また離す力が充てられるから
楕円形をした宇宙は落ちることなく、ふわふわと手の間をおよぐ
頭(こうべ)から髪が抜け落ちるように
....
死と生の間で
行ったり来たり
そして
時々
つりあってみたりする
遊具
傾いた板の上を
滑り落ちてくる
日常という名の欠片
秋のうすい陽をまとい
氷砂糖のようにきらめく
し ....
緑の丘をのぼる
ゆっくりと歩をすすめると
きらきらと葉擦れのおとがまぶしい
きみのスモックが風をはらんでふくらんでいる
慌ただしいいきかたはしなくていいんだもう定員さ
ぼくたちは ....
歳下が熟女と呼ばれている
湖べのレストラン
昼食は食堂テーブル肉料理
ハーバーにヨット出入りし青い湖
午前中訪ぬ家々人の顔
2時間もしゃべり続けて満腹と
日暮れにはまだ早いうち記録する
宇宙誕生の冷たい光にうっすら溺れていた僕の近くで、
きみのみなもとが粒に変わって、星のあいだに流れていく。
ただ空を見ていたんだ。すべてはただ広がっている。
膨大になるばっかりの空間が、 ....
詩にならない言葉ならべてインクのな
くなったボールペンに私は告白したの
です。今までありがとうずっと好きで
した。ボールペンは息をひきとり今は
コンパスの隣りで眠っています。退屈
していた言 ....
アニムスに目覚めし女秋の蛇
神さま、神さま。
お願いがあるのです。
あんたは神さまなんだから、聞いてくれるでしょう?
なんだい人の子よ。
わたしに何を強請るんだい?
聞いてから答えようぞ。
言ってご覧なさい。
....
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