沈んでゆく亡き王女のためのパヴァ−ヌにさみしい初夏の夕ぐれ
ピアノは巨大にリビングしているけど
きみのいないみぎてもいないし
きみのいないくすりゆびもいない
どうしようもない僕はしっとりと
....
青い花だけの庭を作ったら
寂しいだろうか
なら、
かすみ草を添えておくことにしよう
蛇が住みつくほどに茂った庭に
猫の鳴き声
人間に
何の用だい?
それもこれも
目に ....
呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた
海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる
海はまた
それをまるごと
く ....
やがて知らない街で ぼくらは旅に出たことを心底憎み 育つだろう
明かりの消えた街頭が時折点滅する 宇宙の言語だテレパシー
保全のために まったき保全のための遊歩を 遊歩するんだ
こぼした飲み物の ....
青い扉を開けば
ぼくたちの思い出が始まるだろう
ぼくはゴキブリを
ゴキジェットプロで倒す
君は何をする?
こんなに日が昇ってるいるのだから
1時間の誤差はみんな気づかないだろう
ぼくたちも気づかない
みずたまり かきだせ
泥みず かきだせ
ぼく 夜の雨は好きだけど
朝の
雨がやんでしまっているときの
みずたまり
あれ
嫌い。
落ち着いた雰囲気で
何も起きない限りなにもなくて
な ....
私が真冬を歩いていると
太陽の童貞が落ちていた
私はそれを慌てて拾う
そして忘れてしまう
私が真昼を磨いていると
青空の処女が堕ちてきた
私はそれを慌てて隠す
そして再び忘れてし ....
空にはたくさんの色があった
傾いたその縁に支えられたのはいつだっけ
鉄塔が突き刺さった夕日
思い出せないほど前から続く
そんな夕暮れ
帰ろう
が口癖だった頃
いつも隣のあの人が
....
僕が叫んだら
みんな笑った
君も笑っていたし
僕も笑った
口を大きく開けて
風をたくさん食べた
悲しみから逃げる方法を知っているんだ
とても疲れていたので
キスをした
とても疲れていたので
キスしかできなかった
でもとても安心した
なかなか安心なんてできない
からびた つる
ならく の よ
とけられた え
さき にご す
ふれこう まい
なぜとう ゆび
ほほ それ て
の にちる し
細く開けたより扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから、差し込む昼の筋が
はっきりと割る、私
半分でいいから、どうか、連れて行ってちょうだい
とは、一言も言えぬうちに昼 ....
角膜の表面にて
夏の日は湿った瞬きだらけになり
結局はわたし目蓋でその色彩を瞑り流します
そう、悲しい映写幕として
角膜は常時日陰です
鼓膜の表面にて
夏の波動は痒みに酷似 ....
[あ]
明日は晴れますと断言する少女と、一概にこうとは言い切れない少女とが、嘘が上手すぎて悩み方を忘れてしまった少女の、絵になって仕方ない少女なので、大きな木の下で哀れなオレンジに照らされている少女 ....
僕は
アパートメントの窓から
君の住んでいた方に
見惚れている
君が
虹をつむぐ
優しい指の
君が
終わりを告げる
優しい眼の ....
けつえきとおんなじだと
でりこちゃんがもっともらしくいう
さらさらでなければ
なみだをながすたびちくちくするし
なにかをつたえたくても
のどがいたくてしょうがない
はんろんしたいのに
....
微笑みつ口から滴る灰色の雨だれのごとき友の嘲り
裏切りは雷鳴のごとく轟きて稲光のもとさらけだされし
裏切りをもたらす雲は見えずとも友の柔肌裂けば青空
目の前の笑顔の向こうにちらつくは画面に踊りし ....
県立病院前バス停で見知らぬ女性に声をかけられて
よくよく 顔をよくよく見てみれば
あの色黒で歯のやけに白かった娘じゃないか
こんなに色白でスマートになるならば
あの日の体育 ....
「 メカが きかいきかいしてる 」
って言うので
振り向いてみたら
君は
とても
くうちゅうを歩いていたね
( 算数では解けない質問です)
( もちろん、算数では解けない質問ですよ )
....
ひかりものに
おおくのさかなが
むれてくる
ひとが
ぞろぞろ
つれてくる
うみが
しずかに
わらっている
なつ
小さなピンクのつむじ風は梅雨前線をくすぐり
日本海に柔らかな雨を降らせた
灰色のおおきな背中を撫でられて
海はじっと沖を見ている
昼前にここ数年の病歴を書き込んだ診断書を
提出すると ....
自分は一竿主義だが
夫がいなくなった
丸一日かけて森を歩く
竹がよくのびることで有名だ
カツカツコンクリートを歩く日は
男の尻
背から足
くぼんだ腰の上着が たゆんでいる場合にのみ
男 ....
自分について語れない
夕陽が野原の風にすくわれて波となる
オレンジ色に染まった水色の傘が
骨組みだけ愛してと
叫んでいる
こうやって立っていると
....
この頃の空は
随分と遠いみたいで
息遣いもまた遠い
高いビルの天辺からでも まだ
空に穴があいているらしい
遠くない繋がった場所で
風船に針を突立てるみたいに
シューシュー音を立てて ....
帰る場所はないくせに帰るわって私は言った
引き寄せてもらえるのを待っているのに
引き寄せられると急にイヤイヤ
ひとりでいるとふたりでいたい
ふたりでいるとひとりにもどる
ひとりでいると気 ....
水たまりに右足つっこんだら
それはそれは土が柔らかで
地上に残った左足との距離は
またたく間に
何たらメーターのデジタル表示で
加算される
溺れたのは
水がある、数cmの ....
街灯はあたりをてらし
川はなにかのために流れる
夢のなかにいるような
うっとりと甘い夏のあめのなかに
かえるのくしゃみをきいて
はすの葉のうえにとびのった
傘がみずをはじく音
遠くの ....
痙攣している右手で
聞いたこともない山々や
見たこともない街並みを描く君
僕はくだらない登山家として描かれ
どんな街並みなのか見ることもなく
いつまでも登り続けている
だけど君の手が震えて ....
ぞうきんは古いのを
うんと搾れば
ぽろりとイヤリングがこぼれ
枯草の下で温泉につかっている土を
にぎりしめれば
ゆでたまごが硫黄の赤ん坊を抱えてでてきた
しとしと溢れる露を
石に ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131