黒い顔
A道化



細く開けたより扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから、差し込む昼の筋が
はっきりと割る、私


半分でいいから、どうか、連れて行ってちょうだい
とは、一言も言えぬうちに昼は退き、続いて、夏が退き
やっと呪いが解けたように扉をすり抜けたら庭の花壇では
向日葵が黒い顔を俯けるところだろう、そしてそれが
夏の方角へ全てを開放した結果だとしても、私は
羨むだろう、私は羨むのだろう、嗚呼、なのに
それを知りながら、何も言えず


細く開けた扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから差し込む昼の筋に
私、はっきりと割かれている



2004.6.12.


自由詩 黒い顔 Copyright A道化 2004-06-13 06:46:51
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