鈍く光る銀色のドアノブをひねり
といれに入ると
窓辺にはうす桃色の{ルビ薔薇=ばら}が咲いていた
水色のすりっぱには
背中合わせのふたり
男の子は贈る花を背に隠し
女の子は四葉のクロー ....
子供を抱いて病院を後にする。
今日は風が強く寒い一日だった。
子供の体が冷えないように
ぎゅっと抱っこしてあげて車まで小走りに行く。
車にて子供が「二人っきりの、きりってなあに? ....
若く情熱があり頭の回転の早い人たちは、はやく自分が何者であるかを定義したがる
早く世界に出て自分の態度を説明しようとする
どれだけ自分が一人前であるのかを社会に認めてもらおうとしている
分かる、 ....
液晶が 関東平野を東へ走る青年 を映す 速度にまつわる素朴な
感嘆は冷気にあてるとしぼむ はずだから「ああ」という呼気をふ
くらまさず口のなか でビールと混ぜてのんでいる 速度よりも ....
厳しく枯れたアスファルトへ
刺さり損ね
刺さり損ね続ける、冬枯れの枝葉の
その陰、から
密かな微かな摩擦、それは残像です
かつて彼らは節足動物でした
密かなのは、そ ....
なにか?
とあまりにも
涼し気に微笑む君
のせいで
僕はとりあえず
牛乳飲んで
落ち着こうと思う
確か僕は
君の肩に手をまわして
さりげない愛情と
そこからなにげなく続 ....
それなのに
知らないリズムだ
ヘッドフォンから
グレーの土手を
吹き上げる風をR/L
掬いとる
冷たい鼓膜
乾いたロック
冬をもう少し浴びていたい
サイドウォークは選ばない
影を広 ....
何か、ひとつ書いたらテンション上がってしまった。
腹も減った。米を水にひたしてる間に、もうひとつ書こうと思う。
日本人シリーズ、行くぜ!
知っている人は知っているが、現在俺は英語圏に住んでい ....
パンとミルクと水滴とカエルが
手を繋いで飛び降りた
おかゆの中に飛び降りた
ぐつぐつぐつぐつ煮えちゃった
ああ 可愛いなと人間が
自然の原理といぶかしがって
....
宝石は黄昏
茜色の泣き声のように
かすかな叫びが
鳴りひびく
地平線の不安に
母はにがい魂を引き裂いて
貧しい明日を燃やしている
行方不明になった死骸が
ぼんやりとたなびき
....
まだ幼くて小さくて
舌がもつれる女の子
一所懸命読んでいる
あきはゆうぐれやまのはいとちこうなりてからすのとびいそぐさへあはれなり
小春日和の昼下がり
声高々と
空に届けと祈ってる
....
タランは耳が無い
タランは聞きたくない音が多すぎて
耳がなくなるように進化した
タランは子を産めない
タランは子供なんていらなかったから
子供なんて産めな ....
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何もかも傾いている
時間にもたれかかっている
不安なのだ
矢印を明日に向け
地に足をつけば斜めになる
上り坂の頂上に
日が昇るのを待ち
やがて
ビルとビルの間から
....
空襲警報の夜
逃げ遅れ
群衆に踏みつけられて
押し潰された
松岡君のランドセル
遮断機の上にも拡がる空
雨の日も
上がったり
下がったり
忙しい暮らしの中で
溜息をつく暇もない ....
ひょうしょうじょう
あなたは
とてもきれいな
おほしさまを
みつけましたので
ここにそのえいよをたたえ
いっしょに
てをたたきましょう
ならんで
かわらにねそべりましょう
....
肉食が
人類の
脳の巨大化を
うながした
肉という
脂が付いた高エネルギー食物を
盗み出しては食べ出して
美味しい美味しいと言い出して
人類を人類たらしめたのだ
そんなこと言われ ....
死ぬのを忘れたカナリアは
月夜の晩に酔いつぶれ
死んだふりする卑怯者
二月の雪を貯め込んで
春の来るのを妨げる
迷惑至極の無礼者
如意棒もどきの長い竿
背中に担いで歩いてる
あした晴れたら
レモンキャンディー舐めながら
コンビニ強盗でもやってみようか
それとも
この腕枕している右腕が壊死するまで
きみとふたり眠り続けてみようか
丘に寝そべっていた少年が
組んだ足の先で 空を横切る電線を踏む
と
はりつめていた空は ぴりりと裂けて
へき開し
裂け目の奥からふうわりと
薄紅や
橙や
菫色の花びらが
うっとりと目 ....
かつて死んだ人のことをうたった人が死にました
そうやってみんな
小指一本で繋がってゆきます
いつか自分があの繋ぎ目を切ってやるのだと意気込んでいた人たちは
例外なく、自分は生きているのだと主張 ....
怒髪天を衝き
コタツに空手チョップ
一刀両断
見事なまでに真っ二つ
でも全然スッキリしない
今日の朝刊で読んだんだけどさ
太陽の直径の千五百倍もある
馬鹿デカい星が見つかったらしい
....
右手にもったきゅうすを傾けたら
青い湯飲みの底に花が咲いていた
一瞬にして
そそがれた緑のまどろみの下に
花は消えた
この湯飲みで
数百杯の茶を飲んでいるというのに
知らなかった ....
空を
どこまでも飛んでみるということを
振り返った視線の、端のほうの夢の中
ほんの少しの香りで、漂っている
今、この辺りで
いつのまにか、梯子がなくなっている
あの木の ....
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は眠っている
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は夢を見ている
私はオレンジ色のバッグを持っている
私は夢の中にいる
若い男が私に言う
「そ ....
鳥角度、見た(ぼくの)ひとにちを終電車、ふりかえり逃げる。どうしてあんなことを(こどもの)と流れてゆく(せせりだしてしまう)蛍光灯。つるつるとした(足の爪で)金属の棒にもたれか ....
がっこうからかえると
おかあさんのからだがばらばらになって
いえじゅうにちらばっていた
あわてて
ぜんぶかきあつめて
しんちょうにくみたてると
とりあえず
おかあさんみたいなかたちに ....
エレヴェータ
ボタンを押す
こうして
ひとつの街が沈んでいく
そんな日があってもいい
ひとつの
エレヴェータのために
真昼の冬空
風は片っ端から雲に形を与えていたが
僕は言葉に出来ず 見つめる視線は気絶した
灰色が潰れた雲の上でジェット機が飛ぶ
ぼろぼろとなった空の鼓膜は 僕の声はおろか
トラクターの ....
上から下を眺めて
もし落っこちたとき
やっぱりコンクリの上じゃなくて
芝生の方に落ちたいなあ
なんて考えてるうちは
無理なんだろうな
デパートは
大好き
熱帯魚売り場と
屋上が
あ ....
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