煙りのなか、ただ どうしようもなく佇んでいる。
 煙り、のなかに、ただ、どうしようもなく

 灯りはある、そして機械がある。



  機械的に機械するわたしは機械ではない。
 ....
砲口のまえで、
つねに張りつめている、
灰色のくもり空のした、
まなざしは玉結びのように、つねにかたく、
未開にもひとしい、山道を、
まるで履きなれない軍靴で、
踏みしめて、
ゆくように ....
 忘れ物 に なったハンカチ
 あわいもも色 うさぎを飼って
 駅の向こうから来る
 おんなの子を見て
 つれていって
 と、輪をかいた
 石のむれをしずめた 海と
 とおい空 かすれた ....
高校に入って部活ばかりの日を過ごした僕が
はやく帰ってきた土曜の夕方
テレビを観ていると父が隣に座った
あたらしいガンダムが始まった

父はしずかな男だった
と言われたそうな男だった
こ ....
水の 
なか
に、
泳ぐ


記憶のなかを
 明滅する光
濾過されて
 蒸留する

西へ、
それから再び東へ
ゆく鳥は
籠を抜けて
飛び去った

 八月の日 ....
  
ちいきをまもる
ぐりりとぐらら
りんせんたいせい
すいかのもよう

ちゅうかんかんりの
ぐりりとぐらら
りそうのゆめは
すぐそこなのに

ゆめのような
うつつのような
 ....
君が「孤独」と名づけた場所
そのさらに奥に
小さな部屋がある

くすんだ象牙色の壁紙
いくつかの黒ずんだ木の棚
そこには本 小函 硝子壜
円い置時計 何処かの土産といった風情の
人形や ....
 ホントに海なんだって
 あるつってんだよね車座のばあちゃん連が
 あの丘をこえたらザザザ

 と、むかし たぶん一度きり
 お波とお供からあっとさらわれると云い
 舟のり達なら躊躇うわず ....
野球の音が聴こえる
野球をする音が聴こえてくる
誰もがみんな
胸の中に野球を飼っている
整備の行き届いた市営グラウンドから
夏草の生い茂る河川敷まで
球足の早いゴロが一 二塁間を
抜け ....
おさなごも仔犬も猫もみな眠る
夜明けまえのしずけさのなか
辞書にのっていないことばで
この世界に祝福をあたえる

冷蔵庫の扉をひらくと
星のない夜の焚火みたいに
ささやかな光がキッチンに ....
草を刈る
草を刈る
草を憎しと
草を刈る

草を刈る
草を刈る
作物を愛しと
草を刈る

どちらでも力はでるし
同じ作業だ
でも
全然ちがう

身体に蓄積する
疲れが違 ....
後悔しても
後悔を味わう

未来の今に
今を生きるために


その人のその時を
私が生きることは出来ないので
私は私の今を生きる
誰のものでもない
私の人生を生きる


 ....
人魚の名前が アリエルだとしたら
膿ばかり見てきた こんなアリエルも 有り得る
膿には 国境はない 
膿には清濁も いっしょくたん
わけることのない暗い世界で
大波小波 ちぢにみだれ ....
 お湯を沸かしながら
 まだ眠い気だるさには
 モカブレンドのドリップコーヒー

 昨夕スーパーの陳列棚に一袋だけ
 お買い得商品のプライスで残っていた
 この一杯の 目覚めが心地良い
 ....
未だ血圧の上がりきらない朝
乳白色の靄がかかった意識の西側から
コーヒーの香りが流れ込んでくる

オールを失くしたボートさながら
廊下をゆうらりと彷徨いながら
食卓のほとりに流れ着く
 ....
  


下りに乗ってしまえば
あの日の二人が見える
ような気がする




    君が
    嘘はつかない
    という嘘をつくように

    僕は
    ....
失楽園後

 

マザーグースを
読み終えたばかりの女は
膨れたお腹を撫ぜながら
私ももうすぐお母さんになると
今までのことも忘れて
失楽園後の日々のなか
大変だったことも忘れ ....
 ある女が 酒房に惹かれ
 やかましいその片隅に
 毎夜坐っていた

 沈んだ目が時折光る時
 女はカリカリと氷をかみ砕き
 強い酒に挑んでいる様に見えた

 何日かすぎた頃
  ....
日曜日の夕方
猛暑です
私がどこで何をしていても
ここは猛暑です

この世に参加して随分経ちました
参加賞を貰いましたか
まだですか
もうぼろぼろですがいつもポケットに入れています
 ....
「氷つけ麺始めました」


愛を込めて紡いだ麺を氷水で整え
夏の日差しを冷やしてくれる
そんな一杯が私を包む

甘い冷たい麺が心にそっと触れる

氷つけ麺、その名に込められた愛
 ....
「70歳のきみが読んでおくべき本のリスト」を
いま、作っている
レポート用紙にたて線引いて
万年筆で 
大きな文字で
書き損じたら二重線で訂正しながら
「70歳のきみが読んでおくべき本のリ ....
 真夜中に点灯した冷蔵庫の奥であらゆる向きに齧られたチー
 ズケーキが発見された\反射的にわたしもかじりつき\素早
 く体温を加え咀嚼を開始\ねっとりうっとり\うまれるチー
 ズケーキのかがやき ....
灰青色のかなしみが
時計の針にまつわるので
空気が気怠さを増してゆく部屋で

六月の似合うそのひとを
あなた という二人称に委ねないために
窓外に滲むあじさいを
しずかにただ眺めていた
 ....
君達はすべてのものに、ほんとの社会の窓を
開け放つために生きている。それを抑えつけ
る、真実のない化け物たちに立ち向かい。




ふたつの気持ちが重なって消えてしまうこと
はよくある ....
青ぞらの日の、
雑用のつみかさね、
フォークリフトに雑巾をかけ、
ゴミを拾ったり、あるいはホウキで掃いたり、
している、
どこか緩慢な、土ようびのしごと、
けれども思いのほかいそがしい、
 ....
 暗闇の中には沢山の物語がある


  パリの老いた靴作りが
  ハンチングを傾けてかぶっているのは
  むかし街の女に
  とても粋だわ と口笛を吹かれたからという話

  それでそ ....
一人でふたり分の荷物を整理する

なんて過酷で残酷な(笑)

やり始めるとやっぱり記憶に飲み込まれそうで

それでも時々、楽しくて


壁のシールを剥がせば そこだけ白くて

こ ....
 雨
 {引用=水}
  に
 針{引用=が} 蟻

 革

  の本


 インク

{引用=は}
 柔らか

{引用= 𝘪𝘵}{引用=+}
 刻印


 香料 ....
我が家では

いただきますの後
ニャー と号く

あの日から
そうしてる



魚屋さんには夕陽がさす。それは、雨が降っ
ていても、モールの中でもかまわずに。その
匂いの中に ....
きらきらひかる
わたしの遊園地は
暗闇のなか
世界を彩っていた

頭のなかの
わたしの遊園地で
ぬくもりのなか
空を飛んでいた

貴方に出会った
あの日

翼が堕ちたわたしの ....
たもつさんのおすすめリスト(3924)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
20230805°- ryinx自由詩10*23-8-5
演習- 本田憲嵩自由詩923-8-5
忘れ物になったハンカチ- soft_machine自由詩12*23-8-5
月光頌(らいこう29)- れつら自由詩3*23-8-2
八月の幻影- ryinx自由詩10*23-8-1
虫送り(チグリス_チグリス_ユーフラテス)- AB(な ...自由詩923-7-29
小さな部屋にて- 塔野夏子自由詩11*23-7-29
ザザザ- soft_machine自由詩8*23-7-28
野球- ちぇりこ ...自由詩14*23-7-27
羊飼いの夜- 大覚アキ ...自由詩323-7-25
草を刈る- 日朗歩野自由詩11*23-7-24
※五行歌_四首「後悔しても_後悔を味わう」- こしごえ自由詩8+*23-7-22
こんなアリエルも有り得る- るるりら自由詩9*23-7-21
一片の空- リリー自由詩8*23-7-20
食卓に朝を置く人- 夏井椋也自由詩14+*23-7-15
待ち癖- AB(な ...自由詩723-7-14
失楽園後- 足立らど ...自由詩5*23-7-13
酒房の話- リリー自由詩8*23-7-12
日曜日の夕方- 空丸自由詩1523-7-9
「氷つけ麺始めました」- 足立らど ...自由詩223-7-9
70歳のきみが読んでおくべき本- 松岡宮自由詩4*23-7-8
チーズケーキとリルケ- soft_machine自由詩11*23-7-8
あじさい- 塔野夏子自由詩12*23-7-5
社会の窓を- AB(な ...自由詩523-7-4
土ようび- 本田憲嵩自由詩823-7-2
ヨル- リリー自由詩10*23-6-29
引っ越し- 短角牛自由詩16*23-6-29
午後。- ryinx自由詩7*23-6-29
お魚くわえない猫- AB(な ...自由詩11*23-6-28
初恋- utsuwa自由詩423-6-27

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131