虹のようなところに
キャベツが生えている
抽選でもれなく
誰でも食べることができた
今日はマリーという人が
当選した
まだ生まれたばかりだった
ソメイヨシノ
はクローンです
と理科の池野先生が言った
そこの桜も
不忍池のも
ポトマック川のほとりのも
同じように咲きます
その花達は
実を成すためではなく
咲くために咲 ....
魚を丸ごと
皮も内臓もぜんぶ食べた
それは
ゆうべのことだ
目覚めると
私の骨が泳いでいる
なんたるこった
私を食べてしまったのは私だろうか
どこをどうやって
....
080328
グライダーのように
空中ブランコのように
限りある人生を
ぶらぶらふらふらしていると
フラスコの悪魔に喰われてしまいます
化学 ....
五月の地表を離陸したこいのぼりたちは
太陽から吹いてくる風を上手い具合に活かして
素晴らしいスピードで重力圏を離脱した
それはこいのぼりたちにとって
反乱であり革命であった
こいのぼ ....
電車の好きな少年だった
窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった
やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた
いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
今日は
自分であることが
うれしかった
ぼくを囲むお年寄りの
無数の瞳をうけとるように
語らうことができたから
今日は
自分であることに
じっと耐えた
ぼ ....
噴水のそばでは
アビリティーが無効になります
仕事の話はやめましょう
大声で電話しながら歩いている人
あなたの内側を掃除したい
2004年11月23日制作の上記「噴水の話」から、昨 ....
息子を公園に連れていって
一緒に滑り台で遊びながら
あんな時もあったな
なんて思う日がくるんだと思う
仕事が忙しくて
一緒に遊んであげられなくて
お父さんきらい、なんて
言われた時も ....
エンジンのいらない 未来の飛行機が ひんやりとしずかに 旋回している メキシコのような景色の あちらこちらで 牛の化石が見つかり どれもこれも 老衰に違いない 長い時間を生きたのに 石になるまでには ....
裸の男たちが 松明をかかげ
夜を徹して 雪の上をはしる
燃えさかるのは 暗幕に
連綿とつづく ひとすじの夢
曙とともに 冬がおわる
ほとぼりがさめるころ 妻子の留守を
みはからって 鬼がかえってくる
おまえもおれの だいじな友だち
からだにめりこんだ 豆をほじくりだし
つまみにして 酒をのみかわす
たんぽぽ畑でたんぽぽをたくさん摘んで
たんぽぽの冠を作ったり
たんぽぽの首飾りを作ったりして
夕方になって
空を見上げても
まだ明るくて
いつまでも明るくて
ほっとしていたら
そこへ
....
足を拾いに行きました
海の匂いのする街でしたが
この街に海はありませんでした
足を拾いに行きました
この街にも海があればいいと
子供の頃から思っていました
父に海をねだったこともありました ....
080103
寂しすぎる空間に卵を落とす
目玉焼きを作るのだ
フライパンの中で目を覚ましたケダモノが
電磁探傷を開始するので
傷だらけのフライパン
....
14 絵
なぜ
観覧車が少女のために
あれほど傷つき
苦しむのか
わからなかった
今でも
本当に理解できている自信
はない
そ ....
13 鍵
建物じゅうがひっそりしていて
でも
拒絶感はなかった
足音が廊下を転がっていく
ころころ
まねたあたしの声が
あとを追う ....
海の動物になりたかった
海に行きたかった
底の方で
脊髄が列車のように並んで
色のない海老が
乗客のようにじっとしている
マリンスノーの中
錆びてしまいたかった
潮を ....
きよらかな ふゆの
卵を ひとつだけ
孵らせる ために
些細な じぶんを
しきりに ふりおとす
癒えるにつれて ひどく
かゆくなる 若いころの
途方もない ゆめをみて
あけがた 目をさますと
指先が 血まみれだった
一.
青を
反故にした
空
よりも
事情がある
真昼につき、
雨はふらない
二.
鋏の持ち手が緑だったことから
分け合いたくない
ままの
手 ....
美しかった言葉
怪物の中に
悲しみをまさぐる怪物がいる
彼方までの距離を測ると
すべて等しく平行で
いつまでも
いつまでも
途方のないまま
そんな父と母は出会った
+
....
2003/09/14
太陽光線が嫌いだからって
夜にだけ生きるわけにはいかないと
伝説の歌舞伎役者の
目玉のまっちゃん
大見得を切るんだから
もうキリキ ....
c
黒い火薬に火をつけて
炎の色をさらさらと崩しながら
風に流したの
風があるから
ほんとにきれいなのよ
c
教室の窓から腕を伸ばすと
煙の瞼を閉じて龍は
嬉 ....
c
ながれる島のことをわすれていたもの
空腹だったかしら、服の丈は充分だったかしら
3. 猫
なんにも感じなくなりたいと
いう願いは
叶ったのだと思う
ごくまれに
昔に出した童話などのつながりで
仕事が来る
童話は ....
胸は
すぐに
いっぱいになります
それゆえわたしは
多くを連れて
行けません
あなたを
はじめて呼んだ日に
こころの底から呼んだ日に
海は向こうになりました
永 ....
あの高い木のてっぺんにいるのは
多分ぼくだ
ぼくの知らないぼくだ
忘れていたのかもしれない
ぼくがすっかり忘れていたぼくなのだ
だから懐かしい
ぼくは手を振った
だがそいつは
....
石を投げたら
海に波紋ができた
ルーツ
無駄にして
深いところに落ちる
波紋を見上げて
できそこないの光に触れる
棒読みの辞書の中に
金字の注釈 ....
あたしのこと忘れたことも忘れる頃にあたしは君を忘れるんだろ
何もかもうまくいかないそんな日々 カレーさえ悲観的な味付け
鈍行の列車の速さでは駄目だと堪らなくなり目を閉じている
....
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