開運の輪 〜京都にて〜
服部 剛
「 この茅の輪を
八の字に回ってくぐると
一年の穢れを清め
開運を招きます 」
大晦日の朝
京都駅の地下道で
八の字眉毛で真剣に
白看板の説明書きを
身をかがめて読む
ばたん!
友達とふたり並び
藁
(
わら
)
の輪をくぐった
女の子のひとりが
こけていた
吹き出しながら
よれよれ
縮んで小走るふたりに
思わずぼくは走り寄り
「 あなたきっと
来年いい年に
なりますなぁ 」
「 えぇ・・・
そうですね、
そうですよネ・・・ 」
女の子は
赤らむ顔で
軽く会釈し
隣の友達は
笑いを
堪
(
こら
)
えつつ
顔をそっぽに向け
ふたりは
靴音立てて
駆けてった
自由詩
開運の輪 〜京都にて〜
Copyright
服部 剛
2008-01-03 06:32:22
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