もーりさん
服部 剛
とぼけてしまった
お風呂上りのもーり爺さんを
いたずら好きなNさんが抱きかかえ
こころやさしいIさんがオムツをあて
ぼ〜っとしてるぼくが後ろから車椅子を入れる
車椅子に腰を下ろした
もーりさんが「あ、いたい!」とけなげに叫び
Nさんは「誰にあいたいの?」にんまりたずね
もーりさんは「
むすまっ
(
娘妻
)
! 」と迷わず答え
ぼくらは思わずずっこける
次から次へと
車椅子の老人が運ばれる
忙しい入浴介助の
最中
(
さなか
)
すっとんきょうな一言に
もーりさんを囲むぼくらの
緊張の糸がほぐれる
それぞれが
次の仕事に移り
もーりさんの車椅子を押すぼくが
風呂場の出口の戸を開いた
去り際
もーりさんの口も開いた
は は は
自由詩
もーりさん
Copyright
服部 剛
2008-02-24 20:51:51
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