蝶はサナギの間に祖父母の一生を夢で知る。
　

「お母さんに噛まれてしまう夢を見たよ」と子ライオンは笑い、「そう」と母ライオンは新しい恋に気もそぞろでいる。
　

おやすみと言った彼女の声が寂しかったので今朝の夢を思い出せない。
　

「同じお墓に入ってくれる？」と聞きながら彼は生唾を飲みました。
　

投票したのが一千万人目だったそうで、僕は内閣総理大臣になった。
　

突然、私の頭上が大きな影に覆われ、その瞬間、空からグランドピアノが落ちて来た。
　

どんな芸も一度で覚えてしまう天才犬が一瞬見せた目の色に僕は心底怯えてしまった。
　

蚊に食われすぎたので泣いてもバレなくなった。
　

残酷さが不足していると医者に怒られる。
　

このみちゃんは、木から生まれたからその名前がつけられた。
　

日本で三本の指に入る資産家が生前誰にも決して中を見せなかった金庫を、彼の死後親類一同が見守る中業者が苦労して開けると、そこには「バカはみる」と書かれたメモ用紙があるだけだった。
　

「プールの中で『プカプカ』と唱えれば泳げる」という噂を信じてはいけません。
　

光の速度で微妙に動き続け、自分と周りとの時間にズレを生み、会話から微妙に浮く事に成功した。
　

手にしていた鳥もちは賽銭泥棒のためだったが、こんな事に役立とうとは彼自身思いもしなかった。
　

目を閉じて、二人で向かい合って、一文字ずつ発声していたら、それはとても長い小説になって、わたしたちは一生、その中で暮らすことになった。
　

３２０万円で売られている犬は、教える前からオスワリとオテができる。
　

地球と火星、それぞれの惑星の命運を決めるサッカーの試合の後でロナウジーニョがモテまくる、火星人にも。
　

一万回唱えた祈りが呼吸音になった。
　

７０年間ずっとカタカナのシとツを書き分けられなかったおじいさんが今、孫にその違いを教わっている。
　

全然分からない数学の問題があり、参考書の同じページを３０分も開いていたら参考書の方が焦れてしまって、「だーかーらー、」とか「〜は置き換わんじゃん」とか言葉使いに苛立ちが表れて申し訳ない気持ちになる。
　

まるでブランコを漕ぐような音がギーコギーコうるさい。
　

ここが地球のツボだと直感し、思いっきり突いてみたがアスファルトには変わりなく、医者に怪我の理由を答えられないでいる。
　

何の必要もないのに枝を折り、何の必要もないのにカエルの群れへ石を投げた。
　

誰も責めてはいないのに、謝る女は、目がとても冷たく興味がない。
　

元気？って挨拶をして、太陽は真っ赤になって落ちてった。
　

優しくなりたいと呟きながらどんどん小さくなった人をたくさんの哺乳類が一口ずつ舐めた。
　

ハハハハ、手のひらの上で一生懸命作っていたのは、奇妙な針金細工だったよ、こんなに弱々しい。
　

ええじゃないか経のお坊様方はみんな声が大きい。
　

「それは誰にむけて言った言葉だろう」という声に振り向いたのだがやはり風だった。
　

自ら悲しみを探し続けた旅人は止まろうとする両足を必死に動かし続けた、太陽に向かって。
　

星の名前、88個目を忘れて、そいつが単車に乗って迎えにくる。
　

星の名前も花の名前も君の名前も知らない。
　

小さな手だね、そう言われたので奥歯ガタガタ言わしてやった。
　

世界一速い仔牛に乗って、僕らは街中の橋に「切ない」と書いたお札を貼った。
　

夢見る瞳、に憧れるお魚が、まぶたを自分に縫いつけながら「お、痛て、お、痛てて」目に涙。
　

「この雲は心の汚いやつにしか乗れないのぢゃ。」
　

代わりばんこに嘘をつき合ってお互いの鼻が伸びて目に入ってふたりイタタ。
　

家事をしすぎてしゃっくりが止まらない。
　

偏頭痛日和がくるよ、あと三日後くらいにくるよ。
　

待っているその少年の背中に長い波長の声は聞き取れない。
　

ホッチキスを空中で使うとギャアという声が聞こえた。
　

大分前に失くしたものが朝刊に挟まって戻ってきた。