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見えない陣が静かに張られ
消せない悔いを学ばされる
通学の青にも馴れた頃
無菌にされてゆく教室で
午後の解答欄をはみだした
もっとひろい紙の方へ
未来をつかうことば達を黙 ....
ピーマン ナス トマト
カラフルでピカピカ
夏の野菜
元気印
ピーマンとトマトは大丈夫
でも
ナスは大嫌い
それがなんと
なんと なんと
ナスをたべれるようになりました
....
地元走るローカル線を無人駅で降り
山裾へのぼる細い道で足を止めた
通りすがりの一軒家
茂る枝葉を被った鉄の門
奥に木造の二階建て
軒下には蜘蛛の巣が灰色の層になっている
....
誰にも故郷があって
それが心の拠り所と呼べるものでなくても
またその地を踏んでみれば 何か思うものがあって
私はなぜだか 駅に降りたら涙が込み上げてきた
帰ってこれたことが ....
空へ空へ
伸びる茎
光を光を
求めて
枝分かれして扇形になった
それは
小さな木々のよう
草はらに
明るい森を成している
海の向こうからやってきて
異国の地に根をおろした
覚 ....
夏陽がじっくりと焦がす
白い坂道の曲がり角
大樹の木陰、繁り合う枝葉
セミの声
見上げる少年と虫捕り網
身体を揺らしながら
爪先立って手を伸ばす少年
ぼくは坂を下り ....
仏壇のロウソクに火をともし、それから線香をあげて、
いつも手を合わせて、そのように月にいちどは戻ってくる、
いもうとが、父の日に花束と缶ビール1ダース分をプレゼントしている、
天気の ....
地元走るローカル線を
無人駅で降り
山裾へのぼる細い道で足を止める
通りすがりの一軒家
枝葉被った鉄の門
奥には木造の二階建て
厚地なカーテンひかれたままの窓
....
ふんぞりかえっても
かりもの
つぶでできたわたし
つながることで
ここにある
+++
わからないけど
わからないことが
あるんだろうな
ってわかっている
けんきょてそういう ....
○「山旅」
久しぶりの北アルプス
一月ぐらい前から楽しくなるようにプランを練っているが
天気しだいである
この天気だけはどうしょうもない
○「CM」
外見をよくするCMばかり
肝心の ....
金色に輝く
イヤリング
ささやくは
誦文であり
引きちぎられた
物質はなく
理解できない
からと
ないものねだりするより
理解している素晴らしさを
あらためて再確認している
....
物質と非物質の間で
艶めく貴女は、
到来した明澄な夜
より深い層、
表面に輝き浮き出させ
色と形、その調和統一
互い呼応し支え合い溶かして
色は形と成り形は色と成り
そうして、
....
歯医者さんの窓
いい天気
ぽかんと待ってる
歯に穴があいた僕は
言われるがまま
口をあけて
何か詰めてもらった
もう食べても大丈夫
治療は次回から
外に出たらギラギラお日 ....
ある人を喜ばせる役目を終えて
そのメルヒェンを忘れ果て
路上に居る様には見えなかった
マスコットキャラクターの小熊
目的のある足は目も触れず通り過ぎて行く歩道で
しゃがみ込ん ....
既に色褪せて重たく落ちている花片を
踏みながら歩む林の中は
もう黄昏ている
椿林の木立
わずかな隙間から
聞こえる波濤のどよめき
腰をおろしてみなさい
....
拡がりが
拡がりを飲み込んで行く
私は 母の形をした服を着て
熱い、熱いと泣いている拡がりを宥める
いったいもうどんなかたちをして
街を許したらいいのか
どんなかたちをして 乞 ....
ゆうぐれ、ぼくの家のすぐ目の前にある小さな公園、だいぶ涼しくなってきた風、古いブランコがほんのすこしだけ揺れている。その座板のうえに置かれている、子供用のリコーダーには、しかし老いの枯れ葉が何まいも詰 ....
子供たちが整列をしていた
何をしているのだろう、とよく見ると
整列をしていた
身体の隅々にまでしみわたる雲のように
なだらかで滑らかだった
透明な水を植物にあげて
話すことなどもう ....
積乱雲を想って
紫の渦あじさい
順呼気に澄む
ふくらみ過ぎた花と緑は
まるで巨大なくるみ型の舟
或いは脳みそ
私はミソスープに伸ばした腕を
食卓の
小鉢に触れたいと ....
「うまそうやなぁ!」
いきなり頭上から降ってきた補佐の声
昼休憩時
開いたわたしのお弁当
ほうれん草の胡麻和え
切り干し大根の煮物に出し昆布の千切りまで入り
かぼちゃの含 ....
あなたの手のマメを撫でれば
マイスリーが夢を見せる
そしてわたしを抱く、腕の筋肉が
風景を透かせて見せ
ウグイスが季節を外れて
空に絡まるとき
どうやって{ルビ解=ほど}けば良いのだろ ....
○「年齢確認」
コンビニで酒を買う時に
いまだに「20歳以上」を押すように
言われる
これにはいつも違和感を感じる
せめて「60歳以上」にしてほしい
○「平和ボケ」
戦争になると
....
その日は夕方までに出張先を二箇所回る予定だった
庁舎の駐車場を出発した公用車のバン
走る 湖岸道路から
雪化粧した比叡の山陵が見えて
ハンドル握る主幹へ助手席の私はたずねる ....
「朝顔を咲かせてきたの。」
始業時間のチャイム鳴る前、
いつもより遅れて出勤した私は
理由尋ねる彼女へ答えた
君よ 開け
線路わきの道沿いで
私の手が一輪の花へ伸びた
....
日本海に春の来た時は
静かに 静かに
目をとじてみると
生命ない小石が激しい息吹をもらす
波 寄せる毎
丸くなり
カラカラ カラカラ と
妙に乾いた音たてて
踊り ....
それは凄くて 彼の胸は貝がらだ
完璧な夏に 投棄された貝がらだ
涸れないことをほめるのは
ただ軽蔑するのと一緒だ
彼は{ルビ薬匙=やくさじ}を咥えさせて
蛇も寝なさそうな夢を明か ....
言いすぎたあとは
待つしかない
すでに言葉は
離れて祈っている
あなたの心が
傷ついていませんように
私とあなたは
違うということ
お酒を飲んで
黙って横になっている
....
ジャンジャン横丁を
制服姿の女子の二人乗りが突っ切って行ったのは
もう十数年も前になる
後部に座る子の脚が長いのか
見送ると大胆に
自転車の幅からすんなり伸びる白が左右 ....
JRの車輌、
扉の傍に立った私の向かい側にいて
身を寄せ合う二人の男性
つい見惚れてしまう私の目には
まるで月のもと
ただ蒼白く静まりたる世界で
澄んだ瞳に引きし ....
もう見ることは無いと思っていた、
はっきりと思い出せなくなっていたあなたの横顔、
今こうして隣で金色の風を浴びて、
火のようにはためく髪と、
水底のような瞳が細められるのを見て、
どうしてこ ....
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