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私は、ビートルズを聴くと新百合ヶ丘駅のプラットホームフォームを思い出す。
学生の頃私は、通学に小田急線を使っており、新百合ヶ丘駅は乗り換えの駅だった。
季節は春か、秋。
冷たい雨が降っていた。
....
おおきくあける
お口にはいる
いちばん おひさま
ぽかぽか じんじん
あったかい
にばんめ おはな
くんくん ふわふわ
いいにおい
さんばん ことり
....
気持ちの不安で落ち込んだり
あるいは高揚感に落ち着きの無くなってしまう時
深呼吸する
そして私はシングルポイントの六角柱水晶を握る
掌の柔らかい部分に三辺の角が当たり心地良く
....
もち 食べすぎた
おなか ぎっつい
(だいこん だいこん)
ふぅ ぎっついな
はぁ ぎっついな
(だいこん だいこん)
もち 最高
ぎっつい 上等
ペールベージュのストッキングの脚は歩く度
踵に隙間のできるパンプスが
擬音で表現しずらい音を立てる
そのアレグレットな足音に
澄んだ媒介を感じとって
追い抜かず 私は着いて ....
それは直径十二センチのバースデーケーキだった
スポンジ全体に
塗られる甘みをおさえたクリームと
細かいおろし金で削られたホワイトチョコレート
が、一面に振りかけられて
まるで遠い ....
木が
出勤する
細長い体を折り曲げて
平べったい車のアクセルを踏む
木が
押印する
枝のような指と指の間に器用にはさみ
重要書類にぺたり、と押し付ける
木が
驚愕する
予想外の出来 ....
あくびで一度とぎれた
ぼんやりとした想像が
ふたたび春らしい匂いをおび
洗われるまま
はなびらとして降る
爪先から土深く送り帰す
耳に触れる波を渡り
押し殺した時間を還す
語感で変 ....
会社では広大な敷地内を 車と自転車が往来する。
歩行者には「さわやかあいさつ通り」と名称される
アーケードの歩道が設けられている。
東の正門で守衛室に社員証を提示しても
配属先の ....
退院したら ご近所さんから苺をもらったの
毒々しいほど熟して 濃い赤色の甘いやつ
それはとても幸せで 嬉しい出来事
でもね もう貴方もいないし
一人で2箱はしんどいね(笑 ....
ああでもない
こうでもないと
よく悩むわ
暇だからじゃないの?
と、姪
生意気に言うな
と、わたし
だってほら
悩むのが
趣味と かしてるからさ
いま
そこ つか ....
自宅でお留守番するウサギは
あちこち破れたからだを丁寧に縫い繕われた
ぬいぐるみ
社員食堂で晩ご飯を済ませ帰宅する暗い空間
蛍光灯が点くとよろこぶウサギに
ただいま を言 ....
あのトマトジュースが飲みたいわ!
それは缶やペットボトルで売っていない
ある喫茶店で飲んだ
初めての味
こっからだと、ちょっと歩くけど大丈夫か?
夕刻にはまだ早い「 ....
にこやかに前を歩く私の後ろから着いてきてくれる
あなたの足取りはまるで
デパートの屋上へ遊具目当てにやって来る幼児の父親
やっぱり、ここからが一番綺麗なのよ!
自慢げに私がそう言 ....
お稲荷さん
お稲荷さん
じゅわっと 美味しい
お稲荷さんですよ
ひとつ
ふたつ
お稲荷さん
お稲荷さん
子供のころはよく食べたもんですよ
みっつ
よっつ
お稲荷さ ....
或日 遠い湖北の外れ町
心を病みどこへとも行くあての無い
たびの子が街からやって来た
幼すぎるその子に
ある禅寺のご住職が暫くの宿を
貸すことにした
親元を離れた日 ....
雨の止んだ朝
影を含んだ滴が
街路樹のてっぺんから
次第次第にころがって
葉っぱをかすかにはずませていた
背の高い少年が二人
昨夜みた夢の話か
声を低めてさわやかに微 ....
ベランダ打ちつける雨音
レースのカーテン越し鳴り響くものが
西の空も
東の空も
緋色 噴き上げ
花火の様に開いていた
湖に ぴかっと光った一線が在るだろう
そこに連なる峰 ....
歎くべきだっただろうか
みずいろの空が
私の上に落ちかかって来るのを感じた時
心は
果のない
重量感のない
依リ所のない
空の中に巻きこまれて
小さなわたしが
....
改札口を出ると いく筋もの河が流れる
灰色の淵に浮かび
すべらかにいく青をみつけた
水の歌
三月も終りの
生暖かい大気に 還ってゆく
透明な
水の歌
だが ....
春 おそく
雲低い空の下
裾のほつれをまといつけておいた
小花柄のフレアースカートはいて街へ出る
図書館の帰り、線路わきの公園で
ひとり眺めみる
八重桜
ぼったり ....
橙の灯りみたいに
優しい君の声は
頭の中では
涼し過ぎるから
心の中で
聴いていよう
音符は黒のはずなのに
君の歌はロウソクみたいに
探し物を照らし続けている
その炎を借りた ....
かつての仕事の途中の駅
ベンチでうっかり座っている
座れたら座る
座れないからこれまでは座らなかった
煉瓦造りの
イミテーションの屋根
屈んでみたら駐輪場だった
布マスクのおばち ....
沼の畔に立った時
私の真下に見知らぬ女が居た
山を 仰いでいる女が居た
水草の花は白く咲き
深いモスグリーンの森は夏なのか
ひんやりと うす暗い
私の真下にいる女は
口角 ....
湖のほとりで 歓送迎会が宴たけなわ
大広間のステージ台へ背もたれ向け座る
センターから外れる円卓、
あなたが 椅子に割り込んできた
別の課へ異動していくあなたとは
正式 ....
今年は季節の巡りが定まらず
戻り梅雨に降る雨の
街で 蝉が鳴いてます
初夏も過ぎると その年の
誰かにとって一番はじめに聞こえた声、
その方向へ視線を投げた人もいるでしょう
....
高架橋の手前で母子とすれ違う
歩道へ吹き出してくる走行車の反響音
二車線道路が湖岸の県道まで下っていた
すれ違った時
赤子はカラフルな膝掛けに包まれていた
ちょこっとだけ小首 ....
その日の空は画用紙に、水彩絵の具の青を薄めに溶いてから
ほんの少し白を混ぜて丁寧に塗った様な色だった。
山裾を走る県道の側に建つ総合病院で、予約の外来診療を終えた僕は
急な傾斜が緩やかに ....
会社の敷地内にある
貯水池
アシかマコモか
つんつんと緑、日ごと明るさ増して
今朝も彼は来ている
渋い濃度ある黄金色の水面で
伸びてきた若草は
彼の青灰色した全 ....
ああって叫びながらたつ屋上の自殺
少女ひとり しゃべるなにか
重さでひしゃげる重みはダイレクトに重み
赤いラメペンで切断したい手足
鏡は百均で買いました 白いやつ
さして可愛くないから戦う国 ....
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