すべてのおすすめ
髪を上げてみよう
唇に紅をひき
新しい上衣を着て
お茶を飲みにゆこう
ポケットには何も
入っていないから
冷たい掌つっこんで
香り高い紅茶を飲みにゆこう
....
未だ血圧の上がりきらない朝
乳白色の靄がかかった意識の西側から
コーヒーの香りが流れ込んでくる
オールを失くしたボートさながら
廊下をゆうらりと彷徨いながら
食卓のほとりに流れ着く
....
最期を迎えるならば
例えば
深い深い夜
病室のベッドに居て
国道一号線走る運送屋の
大型トラックの音に
ただ耳を傾ける事の出来る
そんな自分でありたいのかもしれない
....
中学時代から付き合ってきた
きみはもういない
焼酎が大好きで酔っぱらうと
「ありがとさん!」を連発していた
きみはもういない
何か相談事があると
真っ先に相談に乗ってもらっていた
きみは ....
風邪をひいた
目がペケになって
じっと寝ている
家族に会いたい
やたら
浮かんでくる感謝
心細い
おじいさんになって
旅立つ時は
朝方にひっそり
がいいかなって思っ ....
ご飯を食べていたければ
パンに変えてみた
同じジャムが続くと
すぐ飽きてしまうので
時々変えながら食べている
入院していたとき
私はいつもご飯だった
隣の患者はパンだった
....
○「今日」
年を取ると
今日が「何日」というのを
言えなくなる
○「人生の季節」
若いときが
さまざまな人との出会いを通して
人生を豊かにしていく季節なら
老いたときは
さまざま ....
すぼんだ花が
いやにいとしくて
捨てられずに
眺めていた
去年の春 と題して
絵をかいた
いやな女ね あたしって
煙草がいたずらに灰になるのを見ていた
....
雨の気配を感じて手のひらを空へ差し出す
つるりとして
なだらかな
わたしの丘に
今日の雨粒が流れたら
くぼ地の枯れた水路が
一瞬よみがえる
かつて
そこへ流して遊んだ
笹の葉や
....
両面テープの夏
順番が赤ちゃんの指のように
そのままの柔らかさで並ぶ
あなたは何事もなかったかのように
テープを剥し続けている
食べたい冷やし中華に置かれた
名前の無い名札
息の仕方だけ ....
ある女が 酒房に惹かれ
やかましいその片隅に
毎夜坐っていた
沈んだ目が時折光る時
女はカリカリと氷をかみ砕き
強い酒に挑んでいる様に見えた
何日かすぎた頃
....
鏡に映る自分
ずっと眺めていると
どっちが本当の自分なのか
分からなくなる
誰もが感じる
そんな感覚
私は目を閉じた
残像だけが残る
闇の世界
その向こうの
鏡の中の私は
....
懐かしの
ファミコンやったら
面白く
家に来る友
欲しいと思う
+++
ファミコンの
シンプルかげん
そのままに
絵だけ綺麗に
なればいいのに
+++
今ならば ....
○「表現」
全裸の女性とビキニの女性とでは
どちらがより興奮するであろうか
僕は後者であろうと思う
それは後者の方が
より強く想像力が働くからだろう
表現も似ているのかもしれない
僕 ....
あれが あなたでしたか?
傘をささずに濡れた舗道を歩いていた
男の人
何処か 空中を見詰めている様で
視線をたどってみたのですが
何もなかったので
変な 人だ ....
神への歌を忘れ果てた犬が
夜を彷徨う
細い脚が痩せこけた腹を支えて
乾いた目をまっすぐ下に向けて
舗道を行く
俺のねぐら
俺のねぐらは何処か?
彼は思う
....
○「終活」
年をとったら
できるだけ迷惑をかけないで
生きていくことこそ
いい人生なり
○「生き比べ」
僕たち年寄りは
1日1日が
生き比べである
○「死」
同級生に僕はこ ....
日曜日の夕方
猛暑です
私がどこで何をしていても
ここは猛暑です
この世に参加して随分経ちました
参加賞を貰いましたか
まだですか
もうぼろぼろですがいつもポケットに入れています
....
部屋の中に集落ができた
小さな集落だった
本家、という男の人が話にきて
畑で採れた作物を
いくつかくれた
学校が無くて困っている
というので、近所の小中学校と
市役所の場所を教え ....
可愛らしい小さな花を
踏みつけそうになった
避けようとした瞬間
目の前に大きな木が現れる
よく見ると
あれ?さっきの花?
まさかと思うが
「それってさぁ!
花が大きくなったって ....
祇園の石段の上から
灯の街を眺めさせたいと
私の腕をむりやりつかんで
つれて来た あなた
遠い異国の昔
王宮の血汐がはねあがった日
革命の巴里祭
そして日本では祇園祭 ....
海は準備活動を終え
ひらかれるのをを待っている
次つぎと飛沫をあげくる
首から下が海にとっては
たくさんの人間達のように
いつかは愛したいよ
あの空の
離れるほどそそ ....
感じる それ
そう過ごす時期がきて
すべての穴 おし拡げられて
戸惑いも
空が必要なくらい 青いから
蜜が欲しいくらい 痛いから
人としても必要とされたい
一度きり
....
アタシって
このマンションロビーのガラス張りな壁の隅で
時たま 糸垂らしてるわ
アタシが植え込みの陰で寝てる間に今日
プレイロットに大きな笹飾りが持ち込まれていてね
夕飯時さ ....
願いが叶わなかった日
遠く、命の向こう側から聞こえてくるのは
ニイニイゼミの声
毛穴から染み入り、毛細をとおって
脳内に聞こえてくる
頭上を爆撃機がかすめて飛んでいた
なのに街は箱庭の ....
君は丸いうさぎ
丸うさ
タヌキみたいでかわいいよって
いっちゃったけど
タヌキを目指すのは違うんだ
お腹を叩いたり
ちょうど良い葉っぱを探したり
キツネに会っても
勝負しち ....
こんにちは海の向こうの友達
あなたと手紙を交わした7日間のことを今
考えています
あなたの
妙に説教くさいところ
綺麗事ばかり言うところ
ロマンチックなところ
納得できないことばかり ....
夏の昼間の空は
澄んでいて
空っぽの
わたしの頭のようだと思う
どこまでも青くて
遠く冷たい宇宙と
頼りない月に
手を伸ばしている
呼吸も
愛情も
欲望も
暑くて仕方ない ....
○「人生」
生きている間は
自分の人生が確定しない
死んで初めて自分の人生が
どういうものであったかが確定する
だから人は
最後の最期まで
しっかり生きなければならない
しかし
人生 ....
雨は涙ににていてね
いつかこぼれるものなのよ
どんより空を見てごらん
うるむ瞳にみえるでしょ
雨は涙ににていてね
とまらなくなるものなのよ
空がわんわん泣くのなら
今はいっし ....
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