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前の家のばあさんが死んでしまった
腰より低く背を曲げた八十いくつのばあさんだ
息子夫婦は遠くに住んで
干からびたみたいな平屋に一人で住んでいたが
隣近所に迷惑のかからないように
死んだら近親 ....
夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
その葉裏からわき出る蚊 這い出すヤスデ
ときには蜂が茂みに浮かぶ花を尋ねて
低く飛行する

手入れし ....
ある日クローゼットを開けると
床の上に散らばったネクタイの塊が
視界に飛び込んできた
どうしたものか…?と一瞬迷ったが、
とりあえずそのまま扉を閉めた

数日経って再びクローゼットを開ける ....
踏切の横の空き地は草ぼうぼう
傾いた陽光が
影と日なたに草はらを分ける

通り抜けるものの風圧と
しつこい音の点滅にせかされ
ひとあし 踏み出そうとする
幼時の一瞬に接続しそうな時間の震 ....
それから、ぼくたちは
かくれんぼをした
十数えて目を開けて
探したけれどきみはいなくて


それなのに、例えば
ぼくの腰近くまで伸びた草だとか
時折何かがはねているせせらぎとか
どれ ....
しずかな つばさの抑揚に
呼吸を あわしながら歩きます
しろさの きわだつ蝶を
追うとき わたしの 肩甲骨も
空を感じてました

「おたんぽぽしてるの
ふうてん とばそ」
 ....
  あんパンを頬張る
  午睡のなかでぼくは
  とうめいな壁になっていた
  どこか遠いところから
  木魚の澄んだ響き
  井戸の水に棲むたくさんの微生物
  午睡から醒めてぼ ....
 いちごとたまごサンドの具

いちご1パックを買い
5、6個出してセロファンを戻し
3ドア冷蔵庫最下段の野菜室に入れた
2、3時間後
冷凍庫を挟んだ最上段の冷蔵室が
いちごの香りでいっぱ ....
ゆくすえは
どこまで見まもることが
できるのだろう

吃音のことで
それほど悩んでいたなんて
知らなかったけれど
親は子の悩みを
まるごと肩代わりすることはできないし
してあげたいけ ....
わたしはピクニックがしたかった

母にきくと
いいよと言った
ためておいたおやつを
バスケットに入れて
母が貸してくれたゴザを持ち
野原に行った
靴を脱いで
ゴザの上に座った
飴を ....
僕は軽くなりたいんだこれまでより軽くね
重すぎる心と身体はもう要らないさ小鳥になって遊ぶ
僕は何者だったというのだろうかそんなのかんけーねーってか
乗り過ぎはいけないがぶっとしていてもダメだ
 ....
あざみの花が咲いた
あざやかに 色づいた
笑い草が生い茂る藪の中に 野薊
たおやかな仕草で天につきさす刃の薊
白い卯の花の薫りの路に まごうことなく薊
どこまでも続く道のところどころに 負け ....
幼稚園のそばを通ると
叫ぶような声で子供たちが歌っている

歌っているというよりは
ぼくのわたしの声が一番大きいんだぞと
叫んでいるようで
うるさくてしょうがないんだけれど
楽しくなって ....
最後ですから百本を
断られて三十本
あなたを送る白薔薇たちは
一週間後に燃えました

木箱のなかのあなたには
みえましたか
ちゃんと香りましたか
それとも

壺の入ったさらにまた木 ....
「ママ、なんでみどりなのに、あおっていうの?」
信号を指さして
そう問う
まだ乳くさい我が子を
天才だ! と思った遠い日

わたしは
なんと答えたのだろう

仮に
みどり、と名づけ ....
きのう爪を切った
生きていることを感じながら丁寧に切った
今朝、前髪が目にうるさい
しっかりと目覚めてから切ろうかなと思う

1ミリか2ミリで全然違ってくることは知っている
前髪を切ったら ....
昨日買った文庫本
電車内で 読んでたら
意外なくらい するすると進む目。
逸るのではなく ただするすると。
奇妙な感じ。

そうだ!
デジャヴだ!
前にも読んだ。
ひとから借りて。
 ....
兆しばかりが高まっていく五月の

春という付箋を貼り付けておくには

些か暴力的な日差しを肌に感じているとき

わたしの柔い細胞がじりじりと焦げて

駄目になってる気がして

薄ら ....
家を出たとたん
タピオカころころ雨粒ころころ
大きな傘さしチャリに乗る
ぱらぱら降ってすぐ止むかんじ

春風ちょっと強いかな
子供が傘でちょっと浮いている
楽しそうに笑って
台風かね台 ....
泣いてばかりいる子どもだったんだけど
気づいたら大人の部類になっていて
それでも泣いていたら知らないひとにバカにされたので
思い切って殺しました
それからやっぱりこわくて泣いていたら
大丈夫 ....
次の冬のために
てぶくろを洗う
寒くなると
きまって血流障害を起こす
私のやわな指先を守るための
カバーたち

毛糸で編まれたもの
外国のお土産でもらった
ムートン製のグローブみたい ....
海藻の匂いが漂い
干し蛸がぶら下がる漁村の道を
おとめは エシエシ笑いながら歩く
焦げ茶色に焼けたうなじを
苦い潮風が打つ
塩をまぶしたような髪をほつらせ
おとめは よだれを拭きながら ....
アナログ時計の夕日が沈む頃
わたしにSOSが届く
しなやかな息継ぎが人人を魅了する
そんなクロールに憧れるだけの

泳げない魚は歎いて、ついに
陸に出て腹をみせて
跳ねて転がってそして
 ....
春の風は遠くから来ます
夏の風は遠くへ行きます
あこがれ、とは違う
何処か知らない所へと
私を誘います

秋の風は通り抜けます
冬の風は通り過ぎます
喪失を知らしめ
懐かしい者どもと ....
焼き芋売りのおじさんが
自慢の芋を 「新聞に包むんが一番 うまいんだ」とか
「栗より甘いよ ほら十三里だよ」と渡してくれて
九里たす四里で 十三里なんだよ とか なんのこっちゃか解らんこと ....
  五月、
  牛舎はくたびれて
  立っているのもやっとのようだ
  風のにおいはつんと饐え、
  鍬があちこちで土に埋まっている



  午後になり、積まれた干し草を
 ....
明け方
素になった
あしのうらが
のんびり呼吸をしていた

朝、起きて
人が再び活動を始めたときから
あしうらは忙しい
意にそまない誰かであっても
一緒に過ごさねばならない
破れか ....
 
うっかりしたり
どうかしていたり
つい他のことで
頭いっぱいになってたり
なんか体調でイラッとしたりして
間違ったことを言ってしまうことなんて
自分いくらでもあるんだから
他人の
 ....
違う私になりたいなんて
思ったことは一度もない

違う私になってしまえば
たとえば
眼もくらむほどの美貌とか
今より
たぶん7センチ
すらりとのびた背筋とか

だけど
あなたに出 ....
月はね 二つあるのだよ 
望遠鏡から離れて 自分の目で見てごらん
三日月の尖ったあごは二つに分かれているだろ
昔の人が見た乙女や兎が住んでいる月
今見る乾いた月の後ろに少しずれて
ぼくに ....
平瀬たかのりさんの自由詩おすすめリスト(834)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
前の家のばあさん- オイタル自由詩7*13-6-1
挽歌- イナエ自由詩7*13-5-31
クローゼットに潜む魔- 夏美かを ...自由詩25*13-5-31
夏草- Lucy自由詩18*13-5-30
天使は川辺にて- あ。自由詩8*13-5-30
天使は川辺にて- るるりら自由詩23*13-5-30
あんパン- 草野春心自由詩813-5-30
タルタル新聞- salco自由詩6*13-5-29
ゆくすえ- そらの珊 ...自由詩21*13-5-29
ピクニック_(詩人サークル「群青」五月の課題「緑」から)- Lucy自由詩17*13-5-28
風に乗る- 梅昆布茶自由詩1213-5-26
のあざみ- るるりら自由詩13*13-5-25
叫ぶ子供たち- 灰泥軽茶自由詩1013-5-25
三十本- もっぷ自由詩413-5-25
【仮にみどりと名づけてみる】群青五月のお題、緑から- そらの珊 ...自由詩20*13-5-25
爪を切る- もっぷ自由詩913-5-24
青い表紙の本- 凍湖自由詩7*13-5-24
五月とトカレフ- 一尾自由詩413-5-24
雨もよもよ- 灰泥軽茶自由詩1113-5-19
8:20(細長い缶入りのジュース)- はるな自由詩713-5-19
カバー- そらの珊 ...自由詩20*13-5-18
おとめ- 壮佑自由詩14*13-5-17
間違えたかった魚- もっぷ自由詩613-5-17
便り- salco自由詩29*13-5-16
栗より甘い- るるりら自由詩11*13-5-16
牛舎- 草野春心自由詩313-5-15
あしうら- そらの珊 ...自由詩23*13-5-15
自分お料理は苦手なんだけど今夜はカレーライス- Lucy自由詩26*13-5-14
東京恥ずかしい宣言- umineko自由詩18*13-5-14
- イナエ自由詩8*13-5-13

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