すべてのおすすめ
(まさに、手を替え品を替え
といったところか
いろいろな声で鳴くんやなぁ)
飯食いながら、
網戸に両手で張りつくそいつを見ていた
「このっ、かわいくない
一ヶ月も餌あげとるのに ....
不思議であった
私の前にはいつも道があって
そこをしずしずと歩いている
ホウの葉とサワグルミの、落葉の上を
ソフトに足を進めている
まったくなんの期待もない山旅に向かったのだった
ただ、歩 ....
孤独である
関係を全て切断し
諦めている、静かに
幸せとか不幸せとか
ただ驚くのだ、
世界に自分に詩に一日に
オドロキは転がっているから
至るところに
オノレが在る、セカイ ....
ふとした陰りに
降り落ちてきた雨に
足元の不確かさに
救うように
連ねた文字列のその先に
わたしは生きている
温もりを失った瞬間に
光が差さない海辺に
沈みゆく夜の深さに
耐えが ....
青い空
わずかながらに流れ行く白い雲
軒下には
蜘蛛の巣に滴る雨粒が輝きを放つ
夏休みが懐かしく思い出され
向日葵畑の跡に立つ案山子は
夕陽に照らされ
土手に履き捨てられた
幼 ....
不自由な直線で描かれた雨に
うたれている
肉体
つまりきみは
一歩も動かないまま
ふるえてある
姿という姿はめくられ
白紙というには色褪せたページが
きみの瞳のなか ....
在ることの
謎に触れたとき
ウォーターと
手のひらに
書いてみる
初めて地球を生きた日のように
その鮮烈な霊気に貫かれ
ウォーターを
感じて、感じて
独り大地を
舞い踊る
....
拝啓と書く
敬具で〆る
小学生のとき
電話とメールというメディアの違いを考えよ、という課題があった
今はもう、そのどれもがふるい
既読がつき、いいねがあり
三分の空隙にすら意味がうまれ ....
肌色の肌が
疼くこんな夜は
月の光が輝く
いつもにはない
強さに喉の奥の方が
疼くこんな夜は
雄叫びの一つも
あげたくなるのを
抑えようと必死になって
四つん這いになって
のたうち ....
香る。見える。
金木犀と遠く突き抜けるような空
何年経とうが鼻の奥に、目蓋の裏にあるのだから
泣くほどのことでもない。
「思い出す」と書くには頻繁すぎるほど
些細なことが引き金になって
....
八朔が食べたい
いまは季節じゃない
けれどそう思ってしまった
こうなるともう
居ても立ってもいられず
ただただ八朔が食べたい
近所のスーパーにも
コンビニにもデパートにも売ってない
遠 ....
汗が滴る
額を伝う
首筋を伝う
背中を伝う
汗が滴る
暑さを覚える
日差しが照りつける
気が遠くなる
汗が滴る
影を見つめる
夕焼けを眺める
一番星を見つける
汗がおさまった
靴が脱げた
いや
脱げかかっている
右足だけ
白いスニーカー
薄汚れている
このまま脱いでしまおうか
立ち止まって
立ち直って
履き直そうか
左はなんともないのに
右だけ脱げ ....
網戸の外は青い空
網戸の内は灰の心
青はあくまで深さ増し
鬱はどうにもどん底で
世界と私は無関係
私が無くとも世界は続く
ああ、全くそれなのに
涼風が肌を不意に撫でる
その ....
人生の走行距離はもう僅かかもしれないが
スーパーカブ程好きな乗り物は無いと思っている
角栄大臣の日本列島改造論で大陸との現実の橋ができていたら
スーパーカブに跨って日本のあるはずもない誇りな ....
白く光る田舎の道を
カンカン鳴り響く踏切越え
海に向かって歩いていた
薫る潮騒、うねる波
空き缶一つ、浜辺に落ちて
わたし独りのたましいが
水平線を覗き込む
遠く船が落ちていき ....
砂浜であたたかな光を浴びながら
私たちは貝殻に閉じ込めたことばを砕いている
細かい粒子がキラキラしては手のひらで
掴み切れないものをかろうじて掻き集めて拾っている
足の裏に微かな熱を感 ....
焼きついてしまった夜よ、
アオカケスが鳴きだしてしまうまえに
壊れかけのストロボからにげ
海の跡をたどる二人のすがたを
巨人のごときかいなで隠してはくれまいか。
琥珀色のひとみたちが ....
海よりもとおい海の
浜辺には声の真空があり
水と石だけがきざまれて在る
列島の等高線をきりおとして
おんなたちは口々に
あれが星の曲率なのだとささやく
だがひとえに言ってしまえ ....
あなたみたいにゆっくり生きられたなら
そう呟きながら
その細い指先摘まんで額に押し当てる
ひんやりとした感触が
あなたの優しさなんだとわかる
私の指はどうやら幸せを掴むためじゃないみたい ....
雨が嫌いなくせに
今日だけは雨が降る予感に
嫌悪感が伴わない
子供の頃から認識している
七夕には雨が降ると
いつもそうだった
織姫様と彦星様が年にたった一度
会える日だから
今 ....
ねえ、さよならをしよう
後ろ向きに流れるメロディ
誰かが世界のしあわせを歌うよ
アスファルトを強く蹴る
自分ってなにか
求めすぎて自販機で炭酸飲料のボタンを押す
すべてが泡となって足元 ....
どこまで漕いで行こうか
こんなにも暗い夜だ
幽かに揺れている水平を
描いているのはいつの波紋か
この舵だけが覚えていることだ
銀の月が爛々と眩い
溶けているのだな、おまえ
うつくしく ....
十二月、空はひくい。
落ち葉の季節も過ぎた。
竹箒を立てたようなケヤキの並木がつづく国道。
鳥の巣が傾いたまま、
ケヤキの梢にひっかかっている。
いつ落ちてもふしぎではない、そんな気がする。 ....
うーん、とっ
斜めに傾いたような
だらっと弛んだ
秋の空はキライなんだ
アタシ
冷たい鉛色の
真冬の空の方がまだ心地いいな
冷気もキーンと引き締まってさ
落ちるんだか落ちな ....
青い闇の中に
うすく光って浮かぶのは
吊された
右半身だけの
白いレースの婚礼衣裳だ
その左半身を
纏って逃げ去った美しい少年は
そのまま白い流星と化したという
そもそもその衣 ....
血圧が低くなっているのを
眩暈を起こしそうになって自覚する
照りつける太陽の下
息が荒くなりつつあるのを
必死に抑えて歩き続ける
冷たい水を全身に浴びたい
そんなことしたら凍え死んでし ....
貴方の声が
虫のように耳もとにささやき
私の皮膚を穿孔して
血管の中に染み込むと
私の血流はさざめき
体の奥に蝋燭を灯すのです
貴方のだらしのない頬杖も
まとわりつく体臭も
すべてが私 ....
黙ってただ生きる
ということができない
永久に
見つけてもらえないから
暗いさみしい器の底で
発語したがる
別なあたし
世界中でたった一人の
ひとに向かって
そのひとだけに
....
医師の言葉に呼応して
治療を始めた
余命半年は拭えた
(彼女はどこ?)
3週間×13
ずっと増え続ける数字
たかが数字 だが重い
できる事はする
頑張れ 私の内臓
今では何処 ....
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