すべてのおすすめ
すっぽりと紅葉を被り
ひのひかりを浴びる
こっそりと山を歩きながら
誰にも気づかれないようにと
鳥の鳴き声をまねて
飛んでいく
雲が急に流れだし
しっとりと山 ....
幾何学模様の闇が重なる
夜の底に
ひそやかに灯る青白い共犯
夜が明けて
其処に残されているのは
誰にも読み解けない証拠だけ
誰もが息を呑む
美しい証拠だけ
寒中恋酒女
壊中金銭薄
身中満妄念
偲遠過去多々罪障
望月落涙虚
残少人生希清廉
要身辺整理整頓
遥山冠雪語狭小我
宇宙大深志更遠
自由何処在 ....
明日の色は
だれにも見えない
必ず見えない
もしかしたら、とか
うまくいけば、とか
思いを
重ねれば重ねるほど
夜は深く染まって
真っ暗だ
....
この部屋は四角い
建物も四角い
紙は四角く切り取られ
電車は四角く走っている
土地は四角く区切られて
名前は四角く囲われる
レンジは四角く温めて
テレビで四角くものを見る
君は ....
時の音と共に
音楽は鳴る
年の瀬が近づくと
人間共の鐘が鳴る
ガーゴイル達が乱舞する街へと
俺の魂は静かに落下していく・・・
いつか、誰かが見た死の味をこの舌に覚え ....
アン・ドゥ・トロワ アン・ドゥ・トロワ
壊れたトウシューズをどこかに置き忘れた少女がひとり、漆黒の夢の中
そしてその静寂がわたしにまとわりつく
青く開いた空の深みから
一つ また一つ
無言の頷きのように
頬に
建物に
大地に寄せられる
ふわりと白い口づけ
それは
氷柱のように尖らせて行く
生ぬるい毎日の中で肥大した妄想を ....
白くて少しざらっとした
鉱石のような植物
そんな草原で
石の人は
静かに一歩一歩
歩いている
目的は有れど
既にその石よりも
風化し忘れてしまいそう
傍らには
背中から ....
駅でたくさんの人が下りたあとの座席に
包みが置かれている
忘れ物だ
ぼくはあわてて取って
フォームを歩いて
事務室にいって
遺失物の届出をしようとしたのだが
形のあるものでないと受け取れ ....
いま項垂れているきみ
少しだけ顔をあげてみないか
いま立ちすくむきみ
少しだけ踏みだしてみないか
世の中は確かに酷い
世の中はとても苦い
でもね
ぼくもきみと同じだった
だ ....
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ゆるりゆるゆる ひらきます
さむさのゆえの ゆるやかさ
ゆびさえふれず ながめます
ゆうやけいろを すこしだけ
もらいこくなる ....
見上げる星よ、きみであれ
痛ましいほどに
疑いようもなく
きみであれ
忘れてくれるな、
燃え盛る目を
忘れてくれるな、
恥じ入る肩を
かろうじて ....
紅いやら
黄色いやら
騒いでるんじゃない
山の中に勝手に入ってきて
ジロジロみて
写真撮って
弁当食い散らかして
ゴミだけ残して帰る
観光客たち
俺は
おまえらに怒って
....
ひとの哀しみを
知りたい
深く…より深く
青いビーズの散らばる
大広間に
君と寝そべっていた
手を…手を繋ぎたい…
....
スマホってのが
スマートフォンの略に決まってる?
てめえ、調子にのってんじゃねえぞ
俺の言うスマホはな
スマトラ半島掘り出し物件のことなんだよ
インドネシアの人口
無駄に多いわけじゃねえん ....
「もも色の風だよ もも色の風だよ」
と誰かが言った
そんなはずはない
冬の真っ只中なのだ
「もも色の風だよ もも色の風だよ」
とまた誰かが言う
窓を開け のぞいてみると
確かにもも ....
座礁した船に乗っている
船は岩に乗り上げて
じわじわと水も浸食してきている
私は生と死を同時に思う
におい
においが違う
磯のにおいと共に
「喰われ ....
皆が助けてくれる。
皆が声を掛けてくれる。
皆が救ってくれる。
死んではいけない。
2時間も電話で話して
くれる人がいる。
心配してメールをくれる。
本をくれる。
本当に俺を救える ....
も吉と歩く
何もない冬の午後
も吉と歩く
はたちの頃 一年ほど日記をつけた
何も残せず ただ消えてゆく日々が
とてもこわかった
時間はたっぷりあったのに
いつもの散歩道
....
てのひらひらひら
紅葉ひらりひら
ほぅらほら
どこかでだれかが呼んでいるよ
重なり合った呼吸が
色を濃くしはぜる音
夕焼けが沈んでいくように
どこかに吸い込ま ....
ことばは
しょうじきなのだ
できないときは
できないと
わたしにいわせる
むりなことは
むりだと
わたしにいわせる
わたしよりさきに
いきものなのだ
ことば ....
月曜日が休みになった
連休などありえない流通業で日曜の休日も
夕方は次の日の積み込みに時間を割かれる
小学校と中学校の転入手続きが残っているのだが
嫁さんとの勤務シフトがあわない
ま ....
いろんな天気があって
いろんな空があって
自分で選べるわけじゃないから
ただ黙って歩くしかない
ひとりだと思えばさみしい道も
みんなおなじと思えばがまんもできる
不特定多数のだ ....
その日消えそうなわたしは
透明になって歩いてた
通りすがりの犬が
おん!
と、高いような低いような声で
わたしを見ながらひとこと吠える
“しっかりしろよ”
曲がり角を曲がったら
突 ....
まだ半分しか生きていない
葉書は、
白い壁の長方形の紙の家
うすい、
厚みしかないためにひとりで立つこともできない家
寝転がったまま まだ見ぬ遠い街を夢みているのだろうか
小さな窓がある
そこに灯されるのは あかり ....
みずたまりに映ったあなたの顔を風がゆらす
泣いているようにみえた
笑っていたのに
時のひずみに落ちた時 泣きたくなるのはなぜだろう
水は知らぬまに何処へか蒸発していく
最後に残った泥のよ ....
両手をそっと前に組み
瞳を閉じる少女は
窓から射す日に照らされた母が
膝の上に開いた本の言葉を
じっと、聴く――
*
数十年後、大人になった彼女は
街中のとあ ....
私は亀ちゃんを生んだ
亀ちゃんとは本人の前では決して使わないあだ名
亀ちゃんは本当にゆっくり成長していく
初めて歯が生えたのは一歳三カ月
初めて歩いたのは一歳八カ月
二歳になって ....
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