すべてのおすすめ
詩人が詩を書けば
そこには一つの表現が生まれる
余人はそれを見て
そこに何か、美しいものの根拠があるような
錯覚をするが・・・それは間違いだ
詩人が知っているのは僕達に与 ....
泥を沈めた水田が
澄んで
さかさまに写す
熊笹
イタドリ
蕗
ヒメジョオン
ミズナラ
ブナ
岳樺
胡桃
落葉松
槐
ヤチダモ
山はまだ若い緑で
ふんわりと盛り上がって ....
ゆで卵じゃなかった
130610
普段着のまま尻端折る
本のページの隅を折る
この次に出会ったときには
もっとイケメンになっているはずだ
....
ゴリゴリと命を削り生きてみる
飛び散るのは、魂の欠片
それが言葉だろ、詩だろ
季節の企みはいつも残酷で
美しい踊り子達が咲き競う
真夏の舞台に素裸で引き出され
お前も踊れと囃されている
毒で相手をとり殺す化け物と
囃されている
あるいは
冬枯れて朽ちた安穏と
....
笛吹きケットルが壊れて
笛吹かずケットルになってしまった
笛を吹かない笛吹きケットルは使い難くて仕様がない
ケットルを買い変えようと思った矢先のこと
突然 笛吹かずケットルが言った
....
赤とんぼ 無数に浮かぶ 夕まぐれ
あの石切り場 遊び呆けて つまづいて
ちょっとこころをおいてきた
指切り忘れて ふりかえる
鼻水垂らしたあいつやら しょんべんちびったあいつやら
みんな ....
海のない街に錨を下ろす
ジェーンは恋をする 素敵な恋
書きかけの日記のなか 彼との恋がはじまる
スイートジェーンは恋をする 重いビートの恋なんだ
日々は韻を踏んでやってくる 軽いステップで春のように
スイー ....
ケチャップ切らしちゃってと
大人の笑顔で彼女は言った
僕の目の前に置かれたのは
ケチャップがのっていない黄色い肥満体だった
まあいいさとスプウンを入れたのだが
腹から出てきたのは ....
閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕
時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる
ベビーカーのハンドルに止まったちょうち ....
濡れて花 あざやかに
なびく風 匂い立つ
雨そそぎ しめやかに
夏を待つ 水無月の
その色は 深く濃く
ひかりの雨 纏う ....
顕微鏡で神を覗く二匹見つかった
多孔質の美しさが祇園精舎の鐘の声とともにさも永久不変なものと対峙するように
赤い舌を震わせ懸命に【au】の発音を試みては痛々しい失敗を繰り返した
だがそれは抗不安薬による副作用に違いなかった
....
風になびくしなやかなロン毛
枯れ木のような長身の体躯
痩せた頬 ニヒルな口元
あいつは武蔵野の小平市あたりの
砂塵の中から姿を現わすと
背にしていたソフトケースから
フェンダー・ストラ ....
現代詩がわからなくなってきた週末
その神殿は太陽に向かって開かれていた 聖餐に若い処女が捧げられた
雨が大地を潤す頃 僕の大好きな人は太陽に嫁いで行った そこは太陽の王国だった
神話は陽光に満たされ 北国の花嫁たちが掠奪さ ....
みんなの寝しずまるのを待って
腕をきるので
みんな寝ない
みんなの起きるのを見はからって
眠りにはいるので
みんな起きない
だんだんできてゆく
柵のそと側へのがれてみると
そこはぐるぐ ....
質素な食事は
タマンキとその弟子たちにとって
いつものことだった
タマンキには
スプーン五杯の
ゴッツァン海産のチョウザメの卵と
ブドウの搾り汁を発酵させた飲み物一樽と
小麦を丸めて焼い ....
摂氏零度付近で繰り返す
憤りと自己批判
つい今しがた晴天だったはずも
霰の降る未熟さ
頭を垂れるつららになれたらと
空を仰いでみた
雪解けの光沢に偽りはないのだが
春の陽射しは強すぎ ....
いつか交わる平行線がある
し ご と を し の ぎ
こ こ ろ こ か げ に
み え ぬ わ き み ち
と き が と け だ し
美しく病んだ六月の背中で
僕らは夢か ....
あっちゅと畑で取ってきた
モンシロチョウの卵は
タイミングが悪く
キャベツの葉が萎びるまでに
孵化しなかったので
学校で廃棄処分になりました
モンシロチョウの卵を
....
薄い日常の積み重ね
毎日毎日の積み重ね
ほんの数ミリでも
五〇年過ぎれば一八〇〇ミリ以上
厚みを持って人を越える
人知の及ぶ範囲。
一八〇センチの人の高みは
薄い日常の積み重ね
....
インディペンデンスを望んだ亀は地平線に向かって歩む
燃え尽きない幻想を追って疾走する夢を見ながら
彼に自嘲は似合わない悲壮がよく似合うのだ
孤独な亀は金色の月をのぞむそして嘆息する
世界は ....
君が
はじめて私の手を離し
自分の羽根で
よちよちと
はばたいていった日のことを
母は忘れることができない
君はとうに
逞しい翼をひろげ
上空の風に乗り
母には見ることもできない ....
肌をなぞってください、つーっと、
電気がはしるまで
そしたら、きっと忘れてあげるから
光では消える
だから 灯りを
照らすという意志が欲しい
だから 灯りを
ともすという力が欲しい
だから 灯りを
暗いものが見えるだけでも
心の灯り
たきつけているのは ....
カランと氷が泣いたなら
グラスの水滴なぞります
なにが足りずに欠けるのか
なにを足せば満ちるのか
欠けた夜空の三日月 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34