すべてのおすすめ
風が色を脱いで
凪と転生したのでようやく
息をつける嵐のあとの
藍色の雨のなか
隣に誰の無く
歩く傘を持つ手がそ
っとふるえるのは
これは
弱さじゃないよ
、と聞くものも無く ....
晴れわたっていなさいね
かなうのならば、
かなう限りは
おまえの空を
喜びなさいね
馳せてゆきなさいね
どこまでも
どこまでも
たやすく
他人を切り捨てぬ ....
それは見覚えのある匂いだった
忘れてしまったわけではない
ただ興味が失せてしまっただけ
冷ややかな笑み、その後味は甘酸っぱく
放課後に校則違反をした君のように
柔らかく、透き通っていた
....
大通りを一本奥へはいった
ラーメン屋の先の三叉路の角っこに
その八百屋はあるんだ
狭い軒先に段ボールが並べられ
曲がったキュウリや
太さも大きさもまち ....
あっちゃむいて、ほい! あっちゃむいて、ほい!
たまには向きおうてもええんちゃうん?
こっちゃむいて、ほい!
ひとつ ひとつの
哀しみと
ひとつ ひとつの
喜びを
透明の結晶にして
華のように
星のように
この躯に降り注げ
言葉にならないコトバを
小さく折り畳んで
胸の ....
めざまし時計の音がいつもより二分ずれ
階段をころげ落ちる木の葉が回る
床に面した開き扉と
射しこんだ光線のかもしだす朝
洗濯したてのシャツをさっさと着替え
喉に通らぬパンを無理に押し込んでか ....
雪が降るね
私の中に
あなたの窓に
世界に
信じるのは簡単
みんな私を
通り抜けて
世界は
雪が
地表に舞い降りて
アスファルト
地下に抜ける
もう
キミは雪では ....
歯ぎしりでイルカが集まる
ひどい罵声が飛んでくる
いきなり物が飛んでくる
わたしも避けながら 投げかえそうとする
むこうでは 言葉が渦を巻いていて
次の言葉が 今にも襲い掛か ....
河の岸辺の柔らかき
柳の枝で縛り留め
貴女と私の幸せを
永遠にしたい
ただの一時さえ
繋ぎ止められはしないと
河は歌う
早瀬の石を撫でながら
おお
....
空から落ちてくるものたちで
世界が成り立つとしたならば
わたしたちはみな一部なのだ
遠い昔
かたわれを探し歩いた
海に続くこの道に
冷たい魂が落ちてくる
やっと逢えたと思ったら
....
夜更けの
海には誰もいない
遠くに架かる橋の上で
季節の外れた蛍みたいに
車の光が通り過ぎては消え
動きの止まった観覧車が
隣で寂しく朝を待っている
砂浜へと歩き
波の寄せ ....
教習車で好きな子の家の前を通る
前略 神社の境内のながい石畳の階段を歩いて きずきました
わたくし カドウ域フェチなのでございます
鳥はイキモノの可動域を知らせてくれる
「愛(う)い奴 もちと 近こうよれ」と おもうほ ....
今日も歩いていると
いつの日かの私が
朴訥と佇んでいる
でもなんだか薄皮で安ごしらえ
色もくすんで生気がないが
手を広げて空に向かって伸ばし
かかとを上げて
....
全自動
機械化された巨大な工場から
生み出されていくコンビーフの缶
ねじをくるくる回すように
側面の皮を剥ぎとっていけば
感覚がむきだしにされていく
フォークで突き ....
己が一番美しい時に
化粧を覚えた少女は
素の顔を誰にも見せぬまま
女となり
老女となり
やがて
横たわる冷たい屍となる
その顔に
再び恭しく施される
化の粧
唇に置かれた紅 ....
イルミネーションに着飾った
賑やかな街をぬけて
ヒンヤリ静まり返った冬夜の住宅街を
君と僕は二人きり
ふざけあいながら歩いてる
頬に突き刺す冷たい風に視界の街灯が滲むけど
僕の ....
私は道についてよく考える
別にどうってこともないような
つまらないことをいろいろと……
フェリーニの「道」という映画を
レンタルビデオで観たことがある
ジェルソミーナという 頭は弱い ....
蚊の鳴く声に起こされる
繋がりなんて無いと思っていた
見えないものは信じないと
決め込んでいた
飛び交うのは
想像したくないものだと
決め込んでいた
見えないものは
ふれあえないものだと
勝手に案じて ....
カップがソラだとしたら
コーヒーが注がれて
夜が来る
苦い夜がニガテであれば
ひとすじのミルクが注がれる
銀の匙は使わない
やがて白い雲は 時間に溶けてゆく
どこかに月が隠れて ....
前田ふむふむ
鳥が飛んでいる
ひとつの銃弾から
ひとが生まれる
羽が砕かれ
動かない鳥のなかから
声が生まれる
声は
夜の輝きである
ひとりが声をあげれば
....
友よ 教えてくれ
いったい何処へ行くのだろう
君とは長い付き合いだ
離れてはいても仲間たちと繋がり合っていた
私は決して孤独ではなかったが
すぐ側にいた君と親しくなるのに時間はかからなか ....
讃辞
あなたのセーターは暖かそうだ
あなたの体は温かそうだ
あなたの体温は優しそうだ
心が優しそうだ
犬
霧雨がそぼ降っている
門灯はあかあかと
門扉は堅く閉ざされ ....
突風だか竜巻だか
しんないけど
奴の進路を塞ぐように
四つんばいの格好で
お尻の穴を目一杯広げて
待ち伏せしてやるの
奴の破壊力と
あたいの吸引力
どっちが上か
勝負してやる
....
活動休止の理由は
限界を感じたから
本当に活動休止だ
ギャオ
ギャオ
ギャオ
もうハートが疲れた
壊れてしまった
どうして歌う事が出来ないか
黒板に描いて教えましょう
活動休止を選 ....
悲しんではいけないよ
なんて決まり文句
どこでも拾うことはできるけど
悲しみ
そこいらに落ちているもんじゃない
背後から黙ってやってきて
いきなりけられるようなもの
泣いてはいけ ....
枕元に
吾輩は目覚まし鳥を飼っておる
朝六時
けたたましくそいつは鳴く
日に ひとたびしか鳴くことが叶わぬゆえ
遠慮などこれぽちもしない
起きなければならぬ
なんとも理不尽であるが仕 ....
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